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現場監理の達人 現場監理に役立つチェック項目を、工程ごとにご紹介

住宅編
第22回
「住宅のクレーム、トラブル対応と判断」
 その2

2014/10/27

宅建設における監理行程を全22回にわたり紹介する「現場監理の達人」。現場監理に役立つチェック項目を進行状況に合わせて工程別に分類し、現場監理に必要なチェック事項をご紹介。具体的・実践的なポイントを、実例を挙げながら写真で分かりやすく掲載してきました。

高品質な住宅を完成させることだけが責務と思われがちですが、現場監理を進める上では、施主、施工業者、周辺住民と、様々な人と関わる場面も多くトラブルも発生しやすいのが現状です。こうしたトラブルを最小限にし、円滑な工事を進められるノウハウをご紹介します。

きちんと証拠を残すこと

宅産業は、クレーム産業とも言われます。クレームはお客様にとってもあまり気持ちの良いものではありません。また、企業にとっても損失を招きかねない非常にデリケートな問題です。そこで、最終回となる今回は、前回に引き続きこの企画の執筆者である清水先生と対談させていただき、住宅業者にとっては切っても切れないクレーム問題についてお話を伺いました。

今回は、施工業者として特に気をつけるポイントを教えてください。

施工のポイントをおさえるには、第1回~20回の内容を見ていただければ大丈夫ですが、施工後の対策として行っていたほうが良いことがあります。例えば、施工中の証拠写真を残すことですね。

①証拠写真/基礎配筋の間隔鉄筋の間隔がわかるように、またチェックを行った証拠となる写真を撮る。スペーサーブロックも、このように1メートル内外に設置していると分かるような写真を撮っておく鉄筋の間隔が分かるように、またチェックを行った証拠となる写真を撮る。スペーサーブロックも、このように1メートル内外に設置していると分かるような写真を撮っておく

証拠写真、でしょうか?

はい。かぶり厚のスペーサーブロックの寸法、スペーサーブロックの配置状況、基礎配筋の間隔、人通口の補強筋の写真は、必ず撮ってください。

それはなぜですか?

万が一欠陥が出て、訴訟になった場合、頭の良い相手側の建築士が突いてくるのはそこなんです。いくら良心的に工事を行っていても、この部分を指摘されると、ほとんどがアウトになります。

それは怖いですね。もう少し詳しく教えていただけないでしょうか。

②証拠写真/スペーサーブロックの寸法スペーサーブロックの寸法が分かるように写真を撮る。6センチだと、捨てコン有る無しに関わらず不陸があった場合に、6センチ以下の部分が生じる可能性が高いが、設計通り施工をしてチェックをしていることを証拠として残すスペーサーブロックの寸法が分かるように写真を撮る。6センチだと、捨てコン有る無しに関わらず不陸があった場合に、6センチ以下の部分が生じる可能性が高いが、設計通り施工をしてチェックをしていることを証拠として残す

基礎の耐圧版のかぶり厚は6センチ必要ですね。ただ、地面の上に砕石や捨てコンクリートを打設して、6センチのスペーサーブロックを置いても不陸ができますから、必ず6センチ以下の部分が出てきてしまいます。建築士が突いてくるのはそこなんですね。耐圧版のコア抜きをして、耐圧版の厚さやかぶり厚の寸法を確認。それが6センチに満たないと「55ミリしかない!」とか、「52ミリしかないから違反だ!」と指摘されることになるんです。それと、基礎配筋の間隔ですが、建築士によっては、例えば20センチピッチの配筋設計となっていたときに、仮にたった1カ所間隔が空いてしまっていただけで「この部分は21センチあるから契約違反だ。強度に問題がある」と指摘してくることがあります。
いまは鉄筋探査機で調べることができますから。

でも、片方が19センチでもう片方が21センチという場合も有り得ますよね。
施工誤差というのは、認められていないんですか?

施工誤差の明確な基準がないんですよ。だから寸分の狂いなく図面通りでなければならない、そうでなければ強度が劣っている、問題が生じる、耐久性が劣ると指摘される場合もあります。裁判官は、完全な素人と思ってください。一般の素人以上に素人と思ったほうが良いです。建築のことは全く分からないので、根拠と証拠を述べて理路整然と説明したほうが勝ちます。現実にこれで裁判に負けてしまった例がいくつか出ています。判例主義なので、今後もこういったパターンは続くでしょう。

先ほどの証拠写真があれば、対応できるということですか?

絶対とは言えませんが、「施工業者としてやるべきことはやっている」という証拠にはなりますよ。当然、写真を撮るくらいですから、意識して施工されているわけですよね。たとえその部分を指摘されたとしても、裁判官に分かるようにきっちり答えることができます。それと、前回お話ししたコンクリートのクラックの中で「耐圧版のスペーサーブロックには7センチのものを使用し、その寸法を測っている写真を残しておくことが大切」という写真とコメントを入れましたが、設計の人に依頼して、この部分は最初から7センチにしてもらっておくと良いでしょう。そうするとたとえ少し下がっても、不陸があっても、6センチは確保できます。

確かに7センチとなっていましたね。
それと、最初におっしゃった人通口の補強筋とはどういうことでしょうか?

これも、構造に強い相手側の建築士なら必ず考えることなんです。この場合にはまず、あるかないかの論点になることが多いです。写真がなければ許容応力度計算をして、「補強筋がないから強度不足だ」と指摘されます。

いまはべた基礎ですよね? それでも問題があるのでしょうか?

べた基礎の耐圧版がダブル配筋なら問題ないでしょう。ですが、ほとんどがシングル配筋ですよね。その場合、人通口に補強筋がなければ、許容応力度計算したときにほぼアウトです。こうして基礎の構造耐力が不足すると、過去には補強ではなく「新規にやり直すしかない」という判例が出たこともあります。基礎のやり直しとは、すなわち建替えです。そこへ引越しの費用やその間の家賃、裁判や調査の費用まで加算されるのですから、新築請負金額以上の金額になってしまうんですよ。

欠陥住宅の調査をしている建築士には、あまり読ませたくないですね(笑)。

正直私もここでお話しすべきかどうか躊躇しましたが、施工会社はこういうことを知らなかったり、指摘されても裁判官を納得させるような説明ができない場合が多いようですから。弁護士として、何がなんでも依頼人を勝たせてあげるんだという行動は理解できます。ですが、建築士には、依頼人と施工業者の両者に公正であってほしいですし、建築関係の法律の意味や実際の施工を考えて意見を述べてもらいたいものです。残念ながら、訴訟になるとどうもそうではない建築士がいて残念に思います。例えば、同じ土の中にもぐっている基礎部分でも、立ち上がり部分は4センチのかぶり厚で良いのに、防湿フィルムまで敷いた耐圧版の下だけは、なぜ6センチとなっているのか、その意味を知らない、考えない建築士が多すぎます。そういうことが分かっていて、建築士としての良識をきちんと持っていれば、指摘内容は変わるのにと残念に思います。

    ③人通口の補強筋例
  • 補強部分の写真を撮る。設計図書に指示が無い場合は、設計から具体的に指示をもらうようにする
  • 補強部分の写真を撮る。設計図書に指示が無い場合は、設計から具体的に指示をもらうようにする

補強部分の写真を撮る。設計図書に指示が無い場合は、設計から具体的に指示をもらうようにする

④保障基準例(PDF)このように亀裂の幅は3ミリとなっている例がほとんどであるこのように亀裂の幅は3ミリとなっている例がほとんどである

おっしゃる通りですね。他には何かありますか?

そうですね。では、施工会社の保証書についてもお話しさせてください。施工会社の保証書を見ると、「基礎、外壁などのヒビは、幅3ミリ以上は保証、それ未満は免責」となっている記載がほとんどです。

そうですね。何か問題でしょうか?

幅3ミリというのは、異常な大きさです。それを0.3ミリとしてください。

なぜですか?
それに、そんなに小さくしてしまうとアフターケアが大変じゃないですか。

⑤引渡し時の注意引渡し時に、保証基準やアフターケアを書面に記し、メンテナンスの必要性をしっかり説明する。サインももらうと良い引渡し時に、保証基準やアフターケアを書面に記し、メンテナンスの必要性をしっかり説明する。サインももらうと良い

でも、実際必要なんですよ。必要なだけの理由がありますから、きちんと詳しく書いてほしいのです。
例えば
「コンクリートやモルタルは、細かい収縮ヒビが必ず生じます。幅0.3ミリ未満のものは防水上も構造上も問題ありません。ただし0.3ミリ以上の幅になった場合、シーリング材による補修にて対応させていただきます。幅2ミリ以上になった場合は、原因を調べて根本的な対応をさせていただきます」
といった内容です。その他にも起こりえる事象について、問題のないケースや問題になるケース、あるいはその場合の対応策を記載したほうが良いです。お手入れやメンテナンスの重要性を記載するとなお良いでしょう。引渡し時に説明して、サインももらってください。

そこまでするとクレームがなくなるということですか?

不信感によるクレームは無くなりますよ。それに、そうしておけば、将来的にはリフォームの依頼がきたり、紹介につながることもあるはずです。建てたら建てっぱなし、アフターは逃げてばかりというのでは、新築がどんどん減り続けるこの時代に、施工店の将来はありません。お客様との信頼関係を築くことが大切なんです。とにかくきちんと説明しておくこと。あとになって、それは問題ないと答えても、信じられないでしょう。最初に納得できる説明があれば、大した問題にはならないことが多いです。最初から「3ミリ幅まで免責」だなんて書いてはダメですよ。施主の気持ちに立って考えてください。建設業者として良心を持ってください。しかるべき修繕には、逃げずに対応すべきです。

なるほど。クレームによる損害や利益喪失を未然に防ぐだけでなく、将来の注文、利益のためにもなるということですね。ところで、近隣対策について何かありますか?

⑥上棟時のレッカー設置時上棟時のレッカー設置前はもちろん、その他道路での作業が生じる場合も、近隣にチラシを配布したり挨拶をすること上棟時のレッカー設置前はもちろん、その他道路での作業が生じる場合も、近隣にチラシを配布したり挨拶をすること

⑦給排水管の取替時給排水管の取替前などはもちろん、その他道路での作業が生じる場合も、近隣にチラシを配布したり挨拶をすること給排水管の取替前などはもちろん、その他道路での作業が生じる場合も、近隣にチラシを配布したり挨拶をすること

⑧地盤改良時地盤改良時や足場の設置・解体時など、重機やトラックが道路に長時間駐車する場合にも、近隣にチラシを配布したり挨拶をしておく地盤改良時や足場の設置・解体時など、重機やトラックが道路に長時間駐車する場合にも、近隣にチラシを配布したり挨拶をしておく

⑨生コン車使用時生コン車やポンプ車が入って道路を使用する場合にも、近隣にチラシを配布したり挨拶をしておく生コン車やポンプ車が入って道路を使用する場合にも、近隣にチラシを配布したり挨拶をしておく

そうですね。少なくとも隣接しているお住まいには、施主からも簡単な手土産を持参して挨拶に行ってもらうことでしょうか。建替えはもちろん、新規に土地を購入していても。施主の連絡先は伝えなくて良いでしょう。施工業者と一緒に行って、何かあれば工事責任者に連絡を、ということで。それから、施工業者が着工前に近隣住民へ挨拶したり、チラシを配ったりするのは当然のことですが、それだけでなくコンクリート打設時、上棟時、道路面の給排水工事時など、少しでも近隣に迷惑を掛けそうな場合には着工後もできるだけ継続すべきです。

回数が多いほど、近隣クレームは少なくなるということでしょうか?

むしろ増えるかもしれません。

増えるのですか? では、なぜ?

たとえクレームが来たとしても、お詫びするだけでおさまる確率が高くなるからです。工事の良し悪しは、素人が外から見ても分かるものではありません。ですから、それよりも職人さんや現場監督の感じとか、そういった人柄に良い印象を持ってもらうことは大事なんですね。先ほども言いましたが、これは建替えやリフォームの依頼にもつながる話です。皆さん、ご自身が建替えやリフォームをする際には、近所の目を気にされますから。

良い宣伝にもなるということですね?

ええ。では、最後にもうひとつだけ。工事中にこういうチラシを配られると良いですよ。

「来週いっぱいで大工工事は終了します。近隣の皆さまには大変ご迷惑をお掛けしました。ささやかではございますが、ご要望のある方には大工のできる30分程の簡単な修繕作業を無料で行わせていただきます。○月○日までにお声掛けください」

これは、クロスの補修やペンキの補修などでも同様に配布することができますね。

もしたくさん依頼がきてしまったらどうされるのでしょう?

こちらが思うほど来ないものですよ。もともと建設業者は地域密着があるべき姿ですから、ちょっと現場を抜けて、対応してあげてください。施主の方が近隣の方から感謝されるかもしれません。そうすれば施工業者を誇らしく思うでしょうし、驚いて友達にも話されるかもしれませんね。業者への信頼はさらに上がり、そこから紹介につながることも考えられるでしょう。このようにきちんと、施主や近隣にお住まいの方々との信頼関係を築いておけば、最初に申し上げたような証拠写真など、使わなければならない局面は避けられるようになるのではないでしょうか。

おわりに

今回で現場監理の達人『住宅編』は最終回を迎えますが、読者の皆さまには約2年間の長きにわたりお付き合いいただき、大変感謝しております。

私はいま、設計事務所の立場で住宅の設計施工監理を行っていますが、過去にはゼネコンで現場監督を務めたことがあります。それだけに、現場監督の苦労は痛いほど良く分かります。

それと同時に、住宅の現場監理や管理が甘いことも感じています。それを良い方向に持って行くのが現場監督の腕であり仕事だと思います。

当社では、スタッフには週間打ち合わせはもちろんのこと、毎日のように現場へ向かわせチェックをさせています。それでも指摘事項や手直し事項、不具合は、どの現場でも生じ続けています。現場監督の仕事は忙しくて大変だと思いますが、品質にもこだわって、胸を張って引き渡しをし、ずっと喜んで住んでいただけるようにと、この『現場監理の達人』が皆さまにとって何かヒントになっていただける部分があれば幸いです。ご愛読いただきありがとうございました。

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