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現場監理の達人 現場監理に役立つチェック項目を、工程ごとにご紹介

集合住宅編
第34回 給排水衛生設備工事、
空調換気設備工事-4

2017/09/28

合住宅建設における工事監理者の業務を主体とした「現場監理の達人 集合住宅編」では、全37回にわたり工種ごとの工事監理のポイントについて、専門用語の解説や事例写真を使いわかり易く解説しています。工種別の工事監理ガイドラインもPDF形式でダウンロードできますので、ぜひ業務に活用ください。

ここでの監理者の心構え

備工事は大きく電気設備工事と機械設備工事に分けられます。機械設備工事には、給水工事、排水工事、空調工事、保温工事、ガス工事、消防設備工事、衛生器具工事などが含まれます。建築工事を統括する現場代理人がいますが、設備工事会社でも現場代理人が選任されて、設備工事全般を施工管理し、建築工事や他の専門工事との調整をしながら進めます。

監理者は建築、機械設備、電気設備の各現場代理人を集めて定例会議を開き、仕様の決定や変更事項への対応などを協議しながら工事監理をします。たとえば設備機器が変更になれば、建築工事の納まりが変わったり、電気の容量が変わったりすることがあります。建築工事、電気設備工事、機械設備工事は相互に関連しているので、監理者は総合的な検討が重要になります。

監理者は機械設備工事では、施工計画・施工図、設備工事会社が行なう試験・検査の記録、実際の設備機器の機能の有効性や設備機器の取付け状態などを確認します。

8.ダクト工事、保温工事

ダクトは排気ダクトと給気ダクトがあります。ダクトは曲がった部分に空気がぶつかると、抵抗により送る風量が減少するので、鋭角に曲げないように加工します。ダクト内の水蒸気は冷えて結露するので、キッチンのレンジフードの排気ダクトは保温材を巻いています。

ダクト工事
  • ダクト工事

    奥にユニットバスがあり、浴室、洗面所の排気ダクトが見えます。

  • ダクト工事

    キッチンのレンジフードのダクトは保温材を巻いて、水蒸気による結露を防いでいます。

ダクトはLGS(軽量鉄骨材)に接触していると、換気扇などの振動が伝わって音が出ることがあります。間仕切りを横断する部分のダクトに保温材を巻いて、ダクトが接触することを防いでいます。

LGSとの接触防止
  • LGSとの接触防止

    LGSの間仕切りが施工される箇所に保温材を巻いています。

  • LGSとの接触防止

    LGS施工後のダクトの部分です。保温材でダクトが直接LGSに接触することを防いでいます。

ダクトの吊りボルトをLGSの吊りボルトと兼用すると、換気扇などの振動が伝わって問題となることがあります。ダクトはコンクリートスラブから単独に吊っています。

  • ダクトの端部の固定
    ダクトの端部の固定

    ダクトの端部が動かないように、木材でLGSに固定しています。

  • ユニットバスの上部の間仕切り
    ユニットバスの上部の間仕切り

    ユニットバスの天井内の間仕切りにボードを張っています。貫通部分には保温材が巻いてあります。

9.換気設備工事

集合住宅は気密性が高いので、壁の各所に換気口を設けています。換気口を取り付ける位置に、躯体工事中にスリーブを入れておきます。スリーブ回りは漏水の弱点になりやすいので、シーリングで防水しています。

■外壁側スリーブ
  • 躯体のスリーブ孔
  • スリーブ回りのシーリング
躯体のスリーブ孔、スリーブ回りのシーリング
ベントキャップ
ベントキャップ

換気口の蓋をベントキャップと呼び、ベントは空気・煙・蒸気などを抜くための通気孔いう意味です。

  • 外壁面のベントキャップ
    外壁面のベントキャップ

    外壁面では雨水などが入らないようにカバーを付けて、周囲をシーリングしています。

  • ファイヤーダンパー
    ファイヤーダンパー

    防火区画を貫通するダクトには、防火用のダンパーが付いています。火災時にヒューズが熱で溶けてダクトをふさぎます。

■室内側スリーブ
部屋側のスリーブ孔
部屋側のスリーブ孔
  • 器具取付後
    器具取付後
  • 換気ガラリ
    換気ガラリ

    換気口は開閉ができるようになっています。

10.空調機取付工事

分譲集合住宅の住戸では、空調機が設置できる取付下地、コンセント、配管用スリーブなどを準備し、機器は居住者が購入する形式が一般的です。管理人室、集会場などの共用部では空調機を付けておくこともあります。

  • 空調機工事1
    空調機工事1

    空調機はスラブからボルトで吊ります。振動が伝わる恐れがあるので、LGSなどのボルトと兼用しません。

  • 空調機工事2
    空調機工事2

    LGSの開口補強を行い、ボードを開口に合わせて切断します。

  • 空調機工事3
    空調機工事3

    カバーの取り付けを残して、設置を完了します。

  • 空調機工事4
    空調機工事4

    仕上工事後にカバーを取り付けて完成しました。

空調機工事5
空調機工事5

共用部の室外機は屋上に設置し、パイプシャフト経由して、下階の空調機と接続しています。

11.キッチンの設備工事

キッチンの設備工事は、ダクト工事、保温工事、給排水工事、ガス工事、電気設備工事が関係しています。工事の流れを説明します。

■レンジフード工事
  • 1.キッチンのダクト・保温
    1.キッチンのダクト・保温

    レンジフードの部分は、4本の吊りボルトが設置されています。

  • 2.レンジフード部分
    2.レンジフード部分

    ダクトが施工されて、保温材が巻かれています。

  • 3.レンジフードの取付け
    3.レンジフードの取付け

    ボードが張られ、クロスの下地処理(パテ処理)が終わっています。

  • 4.レンジフードの完成
    4.レンジフードの完成

    クロスが張られ、レンジフードが取付けられました。

■キッチン下部の工事

給排水、ガス、電気の配管は、床の墨どおりに配管されています。同じタイプの住戸は、同じパターンで配管しています。排水管は太い方がシンクで、細い方は食器洗い機です。

  • キッチンの配管(左側)
    3キッチンの配管(左側)
  • キッチンの配管(右側)
    キッチンの配管(右側)
床張り後
床張り後
  • キッチン完成
    キッチン完成

    左からシンク、食器洗い機、ガスレンジが並んでいます。

  • 給湯のパネル
    給湯のパネル

    ユニットバスの給湯、追炊きもこのパネルできます。

「給排水衛生設備工事、空調換気設備工事の確認」ができる工事監理ガイドラインをダウンロード

工事監理では、「工事と設計図書との照合及び確認」が求められていますが、具体的に何を確認するのかは明確ではありません。どのような確認事項があるのか、体系的に理解し、しっかりと確認していただけるように、工事監理ガイドラインの「確認項目及び確認方法の例示」をご提供します。工事監理にご活用ください。

PDFファイルをご覧になるには、Adobe® Reader®がインストールされている必要があります。インストールされていない場合は左のアイコンからダウンロードが可能です。

原稿協力

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