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2013/04/22
今回は前回に引き続き、実際の砂防工事の現場において、受注者・発注者が取り組んでいる安全対策の事例をご紹介します。
現場で作業を実施している最中に、前回ご紹介した監視員やワイヤーセンサーなどの監視機器などにより土石流の発生を検知した場合、連絡や監視機器と連動する警報装置の作動を確認し、作業員は作業を中断し、速やかに安全な場所へ退避する必要がありますが、作業員の作業場所や作業の状況により、退避の方法やルートなどが変わり得ることを認識しておくことが必要となります。
作業員の避難計画を検討するに当たっては、検知した土石流発生の情報を作業員に伝達するための連絡体制を定めるとともに、想定する土石流の流速、監視員や監視機器による土石流発生の検知位置と工事現場との距離により、作業現場に到達するまでの時間を算定し、情報伝達に要する時間、退避ルートと退避場所の設定を行います。
砂防工事では、現場が狭隘で、退避場所へのルートが平坦でない場合が多いほか、法面などでの高所作業や、床掘など周囲の見通しが制限される状況下での作業も多いことから、現場環境や作業状況、気象条件によっては、退避に当たり階段の昇降や迂回が必要となる場合があり、また、稼働中の重機のオペレータや重機に近接して作業を行う作業員に対し、声やサイレンの音・明滅などによる土石流発生の情報が迅速・確実に伝わるかなどの点にも留意する必要がありますので、事前に検討・立案した避難計画の妥当性については、工事の進捗による現場環境の変化も踏まえつつ、避難訓練を通じて確認・検証を繰り返し、適切な退避ができるように平常時から万全を期することが重要となります。
第1回で紹介しましたが、平成8年12月に新潟県と長野県境の蒲原沢で発生した土石流災害を契機として、土石流の発生を考慮した砂防工事の安全対策に関する取り組みの強化が図られています。
その一環として、主に直轄工事を対象に、受注者・発注者それぞれ取り組んでいる砂防工事の安全対策や施工技術に係る取り組みを関係者が共有し、意見交換を行う場として、「安全施工技術研究発表会」が開催されています。
様々な条件下の現場における優れた取り組みや創意工夫に触れ、様々な立場や視点からの議論を深めることを通じて、現場に携わる受注者・発注者それぞれの技術者が研鑽を積み重ね、施工に係る技術の向上はもとより、安全対策に対する理解の醸成と労働災害の未然防止につなげることをねらいとしています。
言わずもがなですが、このような場の有無にかかわらず、安全な工事の実現には、受注者・発注者それぞれが現場と真摯に向き合い、日頃から相互のコミュニケーションを密に重ねることが効果的であると考えています。
特に砂防工事については、厳しい自然環境のもと、土石流や土砂流出、斜面崩壊などの危険にさらされながらの作業となりますので、適切な安全対策を検討し、着実に実行する上で、受注者・発注者がコミュニケーションを通じて現場の置かれた状況についての共通理解を形成することが大切となります。
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