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コスト管理の達人 現場管理にすぐに役立つ10のポイント

事例紹介⑤
建設部門の仕組みから、
全社で取り組める仕組みへ育てた!
(企業事例)

2015/10/30

建設部門の仕組みから、全社で取り組める仕組みへ育てた!(企業事例)

スト管理を導入する企業の多くは、実行予算・工程管理・コスト管理の見える化を目指します。しかし、数値管理(特にコスト管理)をする上で会社のルールはなく、担当者のやり方に任せている企業も多いと思います。数値管理をルール化し、会社の仕組みへと定着させるためにはどうしたら良いのでしょうか?本号では、一つの部署のルール化をきっかけとして、全社的に「数値の見える化」に取組んでいる企業の事例を紹介します。

企業:岡山県 S土木 (完成工事高:4億円 元請:下請=80:20)

取り組みまでの背景

I社長が就任した当時は、確定しているのは受注金額だけで、会社全体に「原価の意識」がないことから、現場を客観的に把握できていないことが問題となっていました。建設業者としてこれから先の経営を考えると「今のいきあたりばったりの現場経営から脱却しなければいずれ立ち行かなくなる」という思いがありました。I社長自身も現場のことはわかっても、公共積算の仕組みはわからず、実行予算も組んだことがない状態でした。中山間地域で親子や親戚一同を従業員として雇用している会社としては、リストラなどを行わずに同規模で存続していく義務があり、コスト管理の仕組みを構築することを決意しました。

最初の1年間の取り組み

まずは、「公共積算の理解」と「実行予算作成」から!

会社全体にコスト管理を見える化することは、これまでのやり方を180度転換するほどの改革ともいえるため、まずは自らが理解し、自身がリーダーとなることが1番重要だと考えました。

その当時は公共工事の受注競争がはじまった頃でしたが「急がば回れ」で、「公共積算の理解」から始めました。しかし分厚い書籍の理解は容易ではなく、すぐに公共積算が手軽に実行できるソフトウェアを導入することに切り替え、ソフトウェアを繰り返し使いこなすことで、具体的に積算の成り立ちを学び、実行予算作成のルールを作りました。今では営業を兼ねる社長自身も積算を行い、専務にも積算を学ばせることで、積算のスピード化と正確性のアップを図っています。

実行予算作成をルール化する。

実行予算作成のルール

実行予算作成のルールは、この5点を徹底しました。最初は、監督も不慣れなため実行予算の作成に時間がかかり不満の声もありましたが、社長がリーダーとなって根気強く指導し1年ほどで実行予算をスムーズに作成できるようになりました。

今では、実行予算を作成することで、施工目標を明確化できていることから、仮に作業員が1人増えたとしても監督が把握している数値を変更することで安心して工事を進めることができています。

「予定日報」を確実に入力する。

実行予算の導入とともに徹底したことは、日報のデジタル化です。それまでは日記のように紙で本日の作業内容を報告するスタイルをとっていました。しかし、紙ベースでは修正や分析のときに時間を要していました。そこで、日報をパソコンで入力し管理することにしました。

入力する項目は
① 作業グループ単位で数量と金額を把握した出来高
② 作業グループごとにかかったコスト
の2点です。

作業グループの考え方を知る前は、設計工種ごとに管理を行っており、日々の入力作業だけで大変でした。実際に現場が終わって入力作業にかける手間はなるべく軽減したいということで作業グループによる管理手法としました。

また、日報入力は本日の作業を入力するだけでなく、明日の予定日報も入力する方式を取り入れました。明日の予定日報で予算から算出した出来高分岐点を再確認し、朝礼時には作業員全員に伝え、作業目標の意思統一を図っています。

日報は経営者を安心させるために入力するのではなく、監督以下その現場に関わっている作業員がわかっていることが重要です。監督は、実行予算を現場で共有し、生産性を維持するための最低の作業ラインが見えていなければなりません。予定日報を入力していれば、万一、予算作成時には想定していなかったコストが発生しても、その都度、出来高分岐点を修正することができます。予定日報を継続し次の実行予算作成の際に活かしていくことも大切です。

日報入力が徹底できたら事務員さんの出番です。

請求書は、監督が野帳やメモをめくりながらチェックしていました。繁忙期などは、締め日までにチェックできないこともありました。日報入力がデジタル化されると、事務員さんは日報からコストを集計することができますし、監督は日報と請求の単価や数量の違ったところを確認するだけでよく、事務の効率化を図ることが出来ました。入力漏れやコンクリートの小型割増などはどうしても出てきますが、正確性を増したチェックが可能になっています。

土木部門から運送部門へ展開する。

S土木には、土木部門の他に大型のダンプトラックで砕石などを運ぶ運送部門があります。土木部門で実行予算の見える化ができてきた頃から運送部門でも同じように予算や日報を入力するようにしました。

運送部門の日報入力では、土木工事の常用工事と同じように自社の車両や人員のコストをいつでも把握できるようにしました。運送部門では、日々発生する自社のコスト(原価要素単価)を請求時に見積単価に変換する必要があり、これを一元データで管理するために監督が日報入力したデータから単価を自動的に見積単価に変換して請求書を作成する仕組みを作りました。この仕組みを作るのに大変苦労しましたが、日報入力から請求書作成まで一元管理することでデータの二重入力などの入力ミスを無くすことが出来ました。今では、監督と事務員さんでコミュニケーションをとりながら作業を進め、情報の共有化と作業の効率化が図られています。経営者も現場に即した書類を確認することで安心して会社運営を行えるようになっています。

在庫は、事務員さんが運送部門の砕石などの仕入れ数量から土木部門で使用した数量を引いて数量を管理していますが、煩雑で時間が掛かっていることから簡素化した在庫管理の仕組みを構築することが今後の課題と考えています。

全社でコスト管理を取り組むようになって変化したこと

日報を入力することが定着したことで、作業員もダンプの運搬回数や残土量などを意識するようになりました。監督は、現場では工事全体のことを考えるため個々の作業に目が行き届かないことがありますが、そこを担当する作業員がしっかりとコストの感覚を身につけることで、フォローできるようになりました。

また、リース機械や材料を手配する場合にも、監督自身がこれまでの単価マスタとの違いに気づくようになり、その場で根拠をもった交渉が出来るようになっています。

経営者の役割は、仕組みを作りそれをうまく運営できる体制を整えることに尽きると思います。今の状況に満足せず、将来も残ることができる土建屋としてその時々の課題を解決しながら、未来の目標に向って全社で取り組める組織の強化を図っていきたいと思います。

予算管理・コスト管理の仕組みが整うことで、各部門間でその情報データをうまく活用する工夫が生まれるようになります。事例を参考に、ステップを踏みながら各部門と協議し積極的に仕組みづくりに取り組んでください。

次号では、コスト管理をはじめる上でもっとも重要なルール作りの考え方と決め方について紹介します。

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