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コスト管理の達人 現場管理にすぐに役立つ10のポイント

事例紹介②
コスト管理を現場に取り入れた企業事例

2015/5/28

コスト管理を現場に取り入れた企業事例

設業界では昔から「段取り八分」という言葉があるように、段取り力が重視されていますが、一方で、コスト管理の仕組みが確立されている企業は少なく、属人的な管理になりがちです。今回は「コスト管理を現場に取り入れた企業」の事例を紹介します。企業規模や置かれている環境を参考に、今後の自社の課題を解決するヒントがあれば幸いです。

事例1:新入社員がまず覚えることは、日報入力でコスト集計!

企業情報 株式会社O建設(九州) 社長38才
土木工事主体 完成工事高約2.8億円、官民比率80:20
特徴 現社長は3代目で創業30年余りの直営施工を会社の強みとして経営し、若い技術者が多い会社です。元請・下請共に公共工事を積極的に受注し、現場施工力と現場管理力の増強に奮闘中です。
取り組み 創業時から生産性向上を意識し、直営施工に拘った施工体制を目指しています。10年ほど前より団塊の世代の熟練技術者が毎年退職する中で「現場施工力・管理力の継承」を長年の課題として取り組まれています。
社長の声① - 現場施工力・管理力を、「見える化」する仕組みを作る

建設業の技術は「経験」から得ることが多く、現場を何箇所完成させてきたか、どのような工種を施工したかが重要視されています。しかし、弊社では現場施工力の高い職人さんの技術を現場で継承するには時間が足りません。そこで、積算で計上されている生産性と実態の生産性を比較管理し、「見える化」することを最優先にしました。日々のコストの積み重ねが自社の生産性であり、これを把握することで「強み」と「弱み」の分析につながり、コスト面からベテランのノウハウを知ることができると考えました。この考えに基づき、10年前から本格的に「見える化」する仕組み作りをはじめました。

社長の声② - 新入社員の最初の仕事は、日報で確実にコスト集計すること

コストを集計する仕組みを作って、もっとも効果が表れているのは新入社員です。最初の現場では、何もかもがはじめて行うことで、勉強するにも「分からないことが、分からない」という状態です。弊社では、時間を守ることや清潔な服装、言葉使いなどの新入社員としての一般的なマナー等とは別に、①現場で発生したコスト(原価要素)は何があるかを把握する ②そのコストは、どの取引先に所属するものか ③そのコストの単価はいくらで、使用した数量はどれくらいか を現場監督に確認し、日報として記録しコストを集計することを入社初日からはじめます。

現場監督の声 - 新入社員にコスト集計させることの成果

コストは何がかかったのかを新入社員に考えさせることは、正直、手が掛かり、『自分でやった方が早い!』と何度も思いました。しかし、続けていくと現場というのは地域によって同じような工種が多く、その工種には、どのようなコストが掛かるのかが自然にイメージできます。また、毎日集計するうちに、原価要素によって取引先がどこであるのか?仕入れ単価はいくらなのか?が分かるようになり、コスト感覚が身に付いた技術者に育ちます。これまでは、コストより1日あたりの作業量の目安が分かることが、技術者のレベルを図る基準とされてきました。しかしこれからの時代は、コストの感覚が身に付いていることが重視されます。コストの感覚とは、生産量と比較してコストの単価や数量が適切かを判断できるものだと思っています。

新入社員の時に、コスト感覚が身に付くと、今後同じような現場を経験する時には非常に強みになると思います。また、その考え方は技術者人生にずっと役立ちます。

導入効果

コスト管理を導入した直後には、「新たに仕事が増えた」という技術者の不満の声も聞かれました。しかし、若手の技術者、特に新入社員を中心に日報からリアルタイムなコスト管理の仕組みを構築し継続してきたことで、今では必須の管理手法となっています。「工期に追われる」のではなく「自分の給料のために」働くことがストレートにわかりますから、「やる気アップ」力も大きいと感じていますし、いつでも数値が分かるというのは強みだと思っています。導入前との大きな違いは、実行予算作成時に算出された利益と最終利益が大幅に違っているということが減りました。これは、予算(計画)どおりにいかない現場がすぐに分かり、全社ですぐにフォローできるようになったことの効果ともいえます。

事例2:
危機管理上必要であると決意し、パソコンで管理することを決意

企業情報 K建設株式会社(中国地方)社長44才
土木工事主体 完成工事高約4.5億円、官民比率70:30
特徴 中山間地域で公共工事中心の建設会社。一般土木工事、建築工事、舗装工事を行い、地元に密着した総合建設会社です。雇用の多くは建設業界で担っている地域でもあり、社員の多くは親子で働いています。
取り組み 現社長への世代交代の時期(9年前)に、実行予算・コスト管理が今後の建設業経営には必要不可欠であると考え、管理システムの導入を決断し、それまで使用していなかったパソコン操作からはじめました。実行予算の作成と(翌日のコストを前もって管理する)予定日報の考え方を中心に、社長自身が陣頭指揮を取り企業内に定着させています。
社長の声① - 最初の取り組み

現場に必要な材料や機械は大変種類が多いため、当初手書きではじめた実行予算の作成やコスト集計では手戻りが多い。パソコン操作を覚えるところからはじめなければ、将来建設会社として残っていけないという危機意識が取組の原点です。実行予算は、担当する現場監督だけがわかっていればいいのではなく、歩掛やコストの単価を社員みんなで共有することが重要だと思います。似たような現場を参考にし、実行予算と比較して結果がどうであったかを、「いつでも」「誰でも」データで見ることのできるやり方・作成方法(標準化)を検証し、保存方法を決めました。

取引先やコストの一覧を作成するときには、事務員さんも協力し会社の取引を見直しました。これも良いきっかけになりました。今では、実行予算の内容なども、事務員さんでも印刷や閲覧ができるようになり、現場への理解度も深くなった気がします。

社長の声② - 予定日報の効果

建設業界は長い間、厳しい受注・競争環境にありました。会社を続けていくためには利益を出さなければならず、どのようにしたら監督さんの士気を下げることなく、生産性を向上させることができるのかが課題でした。現場運営は朝早いうちから段取りを行い、8時には施工を開始できる状況にし、現場が終わると公共工事の場合はたくさんの現場書類作成が待っています。コスト管理は、これまで「やりたくない」仕事のひとつでしたので、このままでは効果を得ることができません。明日の「やる気」につながるコスト管理の方法として導入したのは、実行予算を基に明日の生産目標を明確に持つ、未来のコストを管理するという方法です。過去は変えられないが、未来は変えることができる。明日の目標の数値を達成するためにどんな工夫ができるのか、その過程が監督を成長させ、結果的に利益率も向上してきました。

社長の声③ - 事務員さんにも関わって欲しい

会社は経営者だけでは成り立ちませんし、監督さんも事務員さんもいるからこそ運営がスムーズにいきます。現場の進捗や利益がこれまで知りたくても手段のなかった事務員さんたちも、数字を確認できるようになり、監督さんを今まで以上に身近に感じることができます。

建設会社で利益を生み出すのは「現場」ですが、それをサポートする方たちの理解があると、より企業力が増します。これまで以上に、数値管理上も、また現場から戻った時にほっとできる環境づくりにも事務員さんに積極的に関わってほしいと思っています。

導入効果(事務員さんの声)

予定日報の入力などでコスト管理がスムーズに進むようになって、請求書のチェックや支払いがある程度、事務職員でも可能になり仕事が捗っています。社内の在庫などもコストに換算し、各現場への振り分け作業を行っていますが、これまで見えなかったコストが分かるようになったことで、会社全体の意識が変わり、粗利益率も取り組み前と比較すると5%~10%上がりました。現場の施工と精算が終わり、監督さんの喜ぶ顔を見るのも嬉しいですし、自分も工事に関わった気分になります。社員旅行などで現場の話を聞く時も身近に感じるようになりました。

次号では、新分野への取り組みにもコスト管理の考え方を取り入れた企業の事例について紹介します。

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