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建設現場の安全管理とマネジメント 現場で事故を起こさないための現場管理とマネジメントを学ぶ

第7回
建設業の形だけにならない
安全管理について(7)
重機災害の防止について

2014/06/26

はじめに

回は「ヒューマンエラーの防止」について述べたが、今回は「重機災害の防止」について移動式クレーンを中心に述べる。

クレーン機能付きパワーショベルについて

両系建設機械であるパワーショベルは、ブームとバケットを備えており、本来の機能である掘削作業以外に、クレーンの様に物を吊ったりする作業にも使用されることが多い。これらの作業は、安全装置も無く危険な作業もあり、一部の作業を除いて“用途外使用”として禁止されている。そこで、最近、クレーン機能付きパワーショベルが登場し、作業現場に導入されることが多くなってきている。現場では重宝されているが、管理者としてその運転・操作等を理解しておかなければいけないことも多々あるので、以下にそれらについて述べる。

1 当該機械使用時の労働安全衛生関係法令等の取扱いについて

(1)法令上の位置付けについて

① 当該機械は、「荷を動力を用いて吊り上げ、これを水平に運搬すること(以下、「クレーン作業」という。)を目的とした機械装置と認められるものであり、労働安全衛生法施工令第1条第8号に掲げる移動式クレーンに該当するものとする。

② 当該機械に係る構造要件については、車両系建設機械構造規格及び移動式クレーン構造の両方が適用される。

(2)当該機械を用いたクレーン作業について

当該機械を用いたクレーン作業は、労働安全衛生規則第164条に規定する「車両系建設機械の主たる用途以外の用途」での使用に該当しないこととする。

なお、クレーン機能を備えない車両系建設機械を使用する場合であって、作業の性質上やむを得ないとき又は安全な作業の遂行上必要なときに、車両系建設機械にフック等の吊り上げ用の器具を取り付けて行う荷の吊り上げ作業は、従来と同様「主たる用途以外の用途」での使用に該当することとする。

2 パワーショベル使用時の注意事項

(1)パワーショベルをクレーン仕様として使用した時

① 水平地盤での使用等

パワーショベルの運転手は傾斜地での作業に慣れているため、とかく傾斜した地盤で玉掛け作業を行ったり、荷を斜めに吊りながら移動したり、吊り荷を旋回させながら移動したりしがちである。

クレーン作業は常に水平な場所で行い、旋回しながらの移動も禁止しなければならない。また急旋回等は避けなければならない。

② クレーン機能への切り替え

運転手によってはクレーン機能への切り替えを忘れて玉掛け作業を行う場合が往々にして見受けられる。クレーン機能にしなければ安全装置も働かない。パワーショベルはクレーン機能への切り替えを行うと橙色の回転灯が点滅するようになっている。

玉掛け作業を行う際は忘れずにクレーン機能への切り替えを行うよう関係者に指導しなければならない。

(2)本来の掘削作業等で使用するとき

① 運転手の動きの確認

管理者は、運転手の動きをよく確認しなければならない。パワーショベルの場合、運転手によっては、バックし始めてから後ろを振り向き、後部の確認をしたり、旋回し始めてから旋回方向の確認をしているような場面を目にすることがある。管理者は運転者の動きよく確認し、必ず「周囲の確認を優先する」よう指導しなければならない。また、人が寄ってくる可能性の少ない広い現場で重機作業を行っている場合でも、普段から周囲の確認を優先し、周囲確認がクセになるように指導することも大切である。

② 合番作業者への指導

親杭横矢板工法等の掘削作業では、パワーショベルの他に合番作業者も矢板の取り付け作業等で掘削面に入る場合がある。安全衛生規則第158条(接触の防止)では「車両系建設機械の運転中は、接触のおそれのある個所に作業員を立ち入らせてはならない」とされている。そこで、コーンバーの短めのものと、カラーコーンを2つ用意し、コーンバーを持ち上げればカラーコーンも持ち上がるように固定して合番作業員に渡し、それを各自持ち歩き、移動しても常に重機側に置くよう指導する。根気良く指導すれば、うまく使用してくれるようになってくる。このコーンバー等が邪魔になったら、もうそこに作業員が入ってはいけないのである。

移動式クレーンの安全装置について

図1) 移動式クレーン安全装置の種類図1) 移動式クレーン安全装置の種類

移動式クレーンの事故を防止するため、色々な安全装置がある。にもかかわらず転倒事故等が発生しているのが現状である。なぜ事故が絶えないのかを考えてみたい。

1 移動式クレーンの転倒原因

(1)地盤補強不足

キャタピラーやアウトリガー設置個所の地盤は必要に応じて鉄板や地盤改良により補強をしなければならないが、補強を怠ると地盤が沈下して転倒する。

(2)キャタピラー及びアウトリガーの張り出し不足

最近の移動式クレーンは張り出しが不足しても、その張り出し長さで過負荷防止装置が作動する機種もあるが、原則として全部張り出さなくてはならない。

(3)フック巻過防止装置の改造

空頭制限の無い場合、巻過防止装置を縮めてしまったり、ひどい場合は防止装置の機能を止めてしまったりして事故は発生する。

(4)過負荷防止装置(モーメントリミッター)の解除

作業半径が大きく過負荷防止装置が働いたときに、クレーンの移動を面倒くさがり、過負荷防止装置を解除して移動しないまま無理に作業を行い転倒する場合がある。また一度解除した後に復帰するのを忘れたまま作業を続けて転倒する場合もある。意識的に常に解除しているような悪質な運転手も散見される。特にクレーンリース会社ではなく、他の専門工事業者が持ち込む移動式クレーンに、たまに見受けられる。

機械にあまり知識の少ない土木・建築の職員は、この安全装置が機種によって違う事もあり、この装置に関する知識が少なく、クレーンの運転者任せにしがちである。

(5)ブーム巻過防止装置の故障

この装置が故障してブームが破損した事例もあった。常日頃からの点検不足が原因とおもわれる。

2 移動式クレーンの安全装置等に関する安全対策

(1)地盤補強対策

事前にクレーン作業を行う地盤の調査を行い、必要に応じて補強をする。

(2)キャタピラー及びアウトリガーの張り出し不足

アウトリガー等を張りだせない作業もあるが、そのような場合は、張り出し長さに応じて作動する過負荷防止装置付きのクレーンを使用するべきである。

(3)フック巻過防止装置の改造

この装置は、常に作動するようにしておくべきであり、絶対に殺してはならない。

(4)過負荷防止装置(モーメントリミッター)の解除

写真1)割り箸を使った悪質な例写真1)割り箸を使った悪質な例

この装置には解除キーがある。このキーは、故障したときに必要になるもので通常の作業では必要ない。クレーンリース会社によっては、キーを会社で保管し、運転手に持たせないようにしている会社もある。クレーンの現場への入場時にキーを預かる等、作業中は運転手が持たないようにするような管理が必要である。そして担当職員は(写真1)のように運転席の装置上に、番線や割り箸、その他の不自然な物があるときには、安全装置の解除が行われていると疑ってみること。この写真の場合のキーは、右に回すと解除され、手を離すと左に自動的に戻り、安全装置が作動するようになるものであった。戻らないように割り箸を挟んでいたのである。このような悪質な行為を発見する為には、ある程度の知識が必要。その為には普段から運転手に「どれが安全装置で、どうしたら解除されるのか」を教えてもらうとよい。

(5)ブーム巻過防止装置の故障

この装置は故障することがある。過去に運転士が横を向いているときに、衣服が引っかかり巻上げが進みすぎて、ブームが破損したことがあった。本来リミッターが働き停止するはずだが装置が故障していて作動しなかった。そこで二重の巻過防止装置が必要となり、取り付けるクレーンが出てきている。始業時等の点検を確実に行いたい。

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