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建設現場の安全管理とマネジメント 現場で事故を起こさないための現場管理とマネジメントを学ぶ

第8回
建設業の形だけにならない
安全管理について(8)
熱中症について

2014/07/29

はじめに

熱中症について

回は「重機災害の防止」について述べたが、今回は「熱中症」について述べる。

近年、地球温暖化の影響なのか記録的な猛暑が発生し、時には体温を超える気温も多々見受けられ、建設作業員の熱中症による災害も増加傾向にある。死に至ることもあり、非常に恐ろしい疾病であるため、日々熱中症災害の防止に努めなければならない。そのためには熱中症のメカニズムを良く理解し、日々の予防管理を適切に行なうことが大切である。現場で働く作業員にここまで詳しい安全教育は必要ないかもしれないが、現場の管理者として、この程度の知識は持っておくべきである。その熱中症について以下に述べる。

1. 熱中症とは(知識を持つこと)

中症とは、高温下で発汗や循環機能に異常をきたし、体温の調節がうまくできなくなることによって起こる様々な身体の不調を総称した症状のことを言い、下記のような種類がある。

1) 熱虚脱・熱失神

高温多湿の中で、発汗による脱水と末梢血管の拡張によって血液の循環量が減少し、脳に血液を十分に送ることができず、全身倦怠感、脱力感、めまい等を感じ、症状が進むと突然意識が消失したりする。体温は正常であることが多く、発汗が見られ、脈拍が増加し、弱くなる等の症状がみられる。

2) 熱疲労

高温下で多量の発汗により水分・塩分の補給が追いつかず脱水症状になり、血液が濃くなり、心臓に負担がかかる等により脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気、失神等の症状がみられる。心拍数や呼吸数は上昇し、血圧は下り、体温は平熱か高くても40℃は超えない。

3) 熱痙攣

高温下では水分と塩分が失われる。塩分の補給を行わずに水分だけを多量に摂取すると血液中の塩分が減少し、手、ふくらはぎ、足、太もも等の筋肉に周期的な筋肉の収縮痙攣が生じ、筋肉が硬くなって緊張し、痛みを感じる。(夏のゴルフ場で足がつってくるのも熱痙攣発症の合図かもしれません)

4) 熱射病

極度の高温下で脳に障害が生じ、体温調節機能が失われることにより発症する。体温が40℃以上に上昇し、発汗は見られず皮膚は乾燥し、おう吐や意識障害、意識喪失等がみられる。

全身臓器の血管が詰まって、脳、心臓、肺、肝臓、腎臓等、全身の臓器障害を合併することが多く、死亡率も高まる。

2. 熱中症予防対策(発症しないようにすること)

1) 作業員に対する教育

熱中症には前記のような種類があり、死に至る危険な病気である。

食事や睡眠を規則正しく取る。

水分や塩分の補給をこまめに行う(塩分補給は忘れることが多い)。

気分が悪くなったら(めまい、吐き気、頭痛等)我慢せず、すぐに職員や職長に申し出る。
我慢をして重症になったり、帰宅後に重症化することもある。(我慢強い人が発症しやすい)

二日酔い、徹夜明け、その他体調不良は熱中症になりやすいので(午前中に発症する場合はこのようなケースが多い)その場合は作業開始前に必ず申し出る。仕事に迷惑をかけるからと遠慮してはいけない。

周りに気分の悪そうな人がいたらすぐに職員・職長に申し出る。

教育にあたっては、たまにしか現場に来ない左官工や応援の作業員等についての教育が抜けないようにすること。

2) 健康状態の確認

管理者は朝礼時や現場巡視時に作業員に対して一声かけて健康状態の確認を行う。

3) 気象状況の把握

気象状況から気温や湿度等の確認を行い、猛暑時は各作業現場の作業環境(同じ現場でも特に温度が高くなる場所もある)及び作業状態も確認し、熱中症発生の恐れがあるかどうか判断し、恐れのある場合は、作業状態の変更等(作業時間の短縮や休憩時間の延長など)、防止対策を徹底する。

4) 連絡体制の整備と救急訓練の実施

救急のための連絡体制を整備し、救急訓練も実施する。訓練については、最寄りの消防署とも訓練方法等を相談しておく。また、救急の際の119番以外に連絡する直通電話があるかを聞いておく。直通電話の方が対応が早い場合がある。

5) 作業環境の整備
作業環境の整備

日陰や休憩所の冷房等を設置し、適切に休憩が取れるようにしておく。

通気性や吸湿性の良い作業服や作業帽を用意する。(最近は熱中症防止グッズが多くある)

室内作業等は通気・換気を良くする。

作業開始時間を早め、朝の涼しいうちに作業を開始する等の作業状態を調整する。

6) 備品等の整備

水分や塩分の補給のためのスポーツドリンク、塩飴、塩タブ、生理食塩水(0.9%)、冷水機や身体を冷やすための氷、及び冷たいおしぼり、保冷材等を用意しておく。(冷蔵庫にスポーツドリンクを入れておいてもいつの間にか無くなる。非常用と大きく表示をしておく。)

関係者が気象状況の把握ができるよう簡易型WBGT計を用意する。(値が28度を超えたら要注意。)
WBGT値とは → 暑熱環境による熱ストレスの評価を行う暑さの指数で、乾球温度、湿球温度、黒球温度により算出される。

3. 熱中症発症時の対応(発症しても重症にしないようにすること)

1) 一人にさせない、すぐに病院へ搬送
熱中症発症時の対応

気分が悪くなった人を一人にして休憩させたりしてはいけない。症状が軽度に見えても急に症状が悪化する場合がある。しばらく様子を見ていたりせず、素人判断しないですぐに救急車を呼ぶか、病院に搬送すること。

2) 救急車が来るまでの対応

涼しい処で安静にし、衣服を緩める。そしてスポーツドリンクを飲ませるとよいが、熱痙攣の場合は、塩分の補給のため、みそ汁を飲ませたり、生理食塩水(0.9%)を飲ませてもよい。

体温が40℃を超えて皮膚が熱くて乾燥している場合は熱射病が疑われ一番危険な症状である。氷で冷やす、水をかける、首やわきの下に冷たいおしぼりや保冷材を入れる、濡れタオルを体に当てる、うちわで扇ぐ等により体を冷やすことが大切。近くに水や氷が無かった場合は、清涼飲料水でもよいから口に含んで全身に吹きかける。清涼飲料水が冷たくなくても冷却効果がある。また意識が無い人に飲料水を飲ませると気道に流れ込んでかえって危険な場合もある。もし吐いたりした場合は、気道を詰まらせないよう横向きに静かに寝かせるようにすること。

4. その他の知識

1) 梅雨明けだけではない

熱中症は暑さにまだ慣れていない梅雨明けに急に暑くなった日に起こりやすいといわれている。涼しい中で休んだ夏休み明けにも多く発症している。夏休み明けにも注意が必要。

2) 塩分を忘れがち

熱中症にならないように水だけを飲んでいると、血液の塩分濃度が下がり、水が飲めなくなって脱水症状になる。これを自発的脱水と呼ぶ。塩分の摂取も忘れずに行う必要がある。塩分と共に糖分も摂取すると疲労の予防にもなる。

3) 持病のある人は注意

高血圧症の人は塩分の、糖尿病の人はスポーツドリンク(糖分)の摂取し過ぎに注意が必要。

4) 熱中症になりやすい人

① 体の大きい人

肥満、筋肉質にかかわらず体が大きいと負担も大きくなる。

② 我慢強い人

我慢強い人は「もうちょっとで一服の時間だから」「もうちょっとで終わりだから」と我慢しがち。そのため昼前とか一服時間、作業終了の直前に発症することが多い。

③ 体調不良の人

二日酔い、寝不足、疲労、風邪、下痢等の体調不良だと体温調節機能も低下する。

④ 過去に熱中症を経験している人

脱水症状になりやすい体質の可能性がある。

⑤ 女性より男性

男性は女性の1.6倍の発生数がある。

5) 高温の天気予報に注意

35℃を超える天気予報が出たら注意が必要。特に体温を超える予報がでた場合は作業の変更等も視野に入れる必要がある。

6) 屋内にも注意

高湿度下の屋内で作業を行った場合、汗をかいても蒸発せず体内に熱がこもり、熱中症になる可能性がある。屋内では換気を良くする必要があり、可能ならば冷房装置を設置する。

5. まとめ

何度も記しますが、熱中症は、死に至る恐ろしい災害です。

  • 作業員は具合が悪くなったらすぐに上司に申し出ること。
  • 管理者は、気分の悪くなった人の申し出があったら軽度でもすぐに病院に連れて行くこと。一人にして様子を見ていてはいけない。

この2つを徹底し、熱中症災害を防いでいただきたい。

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