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2014/05/28
まず、今回の工事の概要について、金沢市企業局建設部建設課の川崎邦弘主査にお伺いしました。
金沢市の下水道事業は昭和37年から着手し、市の重点施策として積極的に整備を進めており、平成25年度末普及率は97%を超えています。平成27年度には面的整備を完了する予定であります。
本工事箇所を含む森本地区は、本市の北端に位置し、閉鎖性水域である河北潟に近く、石川県の「河北潟生活排水対策重点地域」に指定されています。この地区の下水道整備により、市民の憩いの場である河北潟及びその流域を流れる用排水路の水質改善が期待されています。
本工事は、φ300mmの下水道本管の推進工事(約250m)と、φ200mmのサービス管の開削工事(約270m)を同一路線で行ったものであります。
本工事の当初設計では、一般的な塩ビ管での直線推進工法を予定していましたが、現場の再調査により、一部区間でレジンコンクリート管でのカーブ推進工法を施工することとしました。この工法を採用することは、金沢市では初めての試みであり、金剛建設さんでも初めての施工とのことで、多少の不安もありましたが、十分に研究を行い、綿密な協議を重ねたことで適切な現場管理が実施され、問題なく所定の出来形、品質を確保することができました。
また、現場は工事時間帯に路線バスが一日4~5本通行する道路でありますが、十分な道路幅員がない上に、工事中の迂回路が確保できないところでしたので、路線バスの通行に支障がないよう施工方法について創意工夫がなされました。
本工事は、推進工事を完成させた後、同一路線で開削工事を行うため、工事期間が長くなりました。このため、周辺住民から「いつまで工事をしているのか」「同じ場所で何をしているのか」との質問や不安が予想されましたので、工事の内容を解りやすく表現した看板を掲げたり、地元住民へ週に一度、翌週の工事箇所や一般車の迂回案内を配布するなど、工事に関する周知に積極的に取組まれました。丁寧な対応に努めたことで住民の協力もいただき、苦情もなく工事を完成しており、こうした住民生活への配慮に力を入れて取組んでいる姿勢も評価につながりました。
さらに、工事関係の書類整理、資料整理が丁寧でわかりやすくまとめられていた点や、工事検査時において、必要な提出資料に加えてそれを補足する資料も準備するなど、説明能力や受検態勢にも優れていました。
今回の推進工事においては、一部の区間で当初予定していた塩ビ管を立坑位置の制約からヒューム管に変更することになりましたが、管勾配が変更できない状況からヒューム管が使えず、より管内面の平滑性が良くヒューム管に比べて管外径がひとまわり小さいサイズの推進機を使用できるレジンコンクリート管を採用することになりました。しかし、レジンコンクリート管によるカーブ推進工法(ラムサス工法)は、初めての試みであり施工に対して不安な点もありました。そこで、推進機械の地中での動きや遠隔操作版の見方、地上での磁気探査機器の操作方法などへの対応について、下請さんに任せ切りにはせず、下請さんとの協議を何度となく繰り返し行いました。結果、問題なく工事を完成することができました。
当現場は、推進工事がメインの工種ですが、立坑内作業中に近隣の住民から、「いつまでも同じ穴の中で何の作業をしているのか?」との質問があり、推進工法といっても理解してもらえないので、推進工法をトンネル工法と命名し、住民の方々には、解りやすい説明看板を二か所に設置し、興味をもってもらうようにしました。また、チラシを独自で作成し周辺住民の家を一軒々廻って説明を行いました。配ればいいだろう、ということではなく内容を説明することで住民の方々に理解を頂き、苦情もなく工事を完成することができました。
開削工事は3月下旬から始まりましたが、地下水位が高く1.2mほど掘ると地下水が湧き出てくることから、地下水を汲み上げるウェルポイント工法を行いました。住宅の周りは田んぼや畑があるため、廻りの排水路は農業用水として利用されています。農繁期(3月~5月)でもあったことから地元生産組合長と協議し、自主的に水質調査を行うとともに排水経路の計画をたて、農作物に影響がない成分であることを確認し排水を行いました。この地域の地下水は鉄分が多いので、地元企業としてその周辺環境にはとても気を遣いました。
交通に対しては、基本は通行止めによる作業が条件でしたが、推進工事における立坑作業時は、誘導員の配置計画や二分割の覆工板を提案し、片側開口による作業を行い、路線バスや一般車の運行路線の道幅を確保したことで、片側交互通行ができるよう工夫しました。開削工事においては、路線バスが通行する時間帯だけ鉄板を敷いて作業を一時中止し道路を開放、また鉄板を戻すなどを繰り返す作業があり大変苦労しました。また、作業が終わる夕方5時には仮舗装で復旧し、道路を開放するようにしました。
いかにして苦情のない現場に仕上げるか、特に通行止め工事を極力控えて、路線バス、一般車の通行ができるようにするかを考えるのに苦労しました。
また、施工計画書の作成においては、施工箇所の過去の気象記録やハザードマップ等を調査し、災害発生時の避難体制を迅速・的確に組めるようまとめました。
金沢市への書類関係の提出は電子納品で行いましたが、画面上では一部分しか見えなかったり、全体の流れが把握しにくい等の問題があるため、紙ベースでも提出しています。紙ベースの書類を作成するに際しては、目次やインデックス等を使用し、見たい資料がすぐに見られるよう整理しました。紙ベースにすることで、書類の見やすさに加え、メモやマーキングができ、疑問や要所などを自身の手で書き入れたり、事前チェックや検査に対する確認書類として役立つなどのメリットもあるので、そんな思いも感じて頂けたのではないでしょうか。
地域住民とのコミュニケーションを第一に考えながら、監督員とは毎日のように連絡や現場での確認を行っていました。また、経験豊富な上司の意見を取入れ、下請さんとの間でも意思疎通を図るなど、関係者全員が一体となって取組めたこと、地元住民の方々にも理解頂き協力し合えたことが評価に繋がったと思っております。
現場においては、住民相手の気持ち・立場になって仕事をすることが、一番だと思っております。日ごろから、現場内であればだれにでも頭を下げるようにし、挨拶に心がけ、建設業界のイメージを少しでも和らげ、住民との和を造ることが大事で、和によって仕事もスムーズに運び、問題を解決する糸口となると思っております。
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