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表彰工事

地元企業として現場の特徴を十分に把握し、
新たな課題にも適切に対応、
新技術を活かし工期内に工事を完遂

2014/06/26

成25年度の国土交通省 東北地方整備局の局長表彰を受けた「岩木川板柳地区掘削築堤工事」。その工事について、発注者である青森河川国道事務所藤崎出張所の工藤節男出張所長、アサヒ建設株式会社の代表取締役対馬金吾さんと当工事の監理技術者である水木武さんにお話しを伺いました。

  • 写真①/施工前(上流側) 写真①/施工前(上流側)
  • 写真②/岩木川板柳地区掘削築堤完成(上流側)写真②/岩木川板柳地区掘削築堤完成(上流側)
【工事概要】
工事名 岩木川板柳地区掘削築堤工事
工期 平成24年8月11日~平成25年3月25日
発注者 国土交通省 東北地方整備局 青森河川国道事務所
受注者 アサヒ建設株式会社
施工場所 青森県北津軽郡板柳町大字板柳
請負金額(税込) 97,125,000円
監理技術者
(現場代理人兼任)
水木 武

段取りよく設計変更指示に対応し工期遵守、
工事振動等にも配慮して苦情なしで施工

まず、今回の工事について、青森河川国道事務所藤崎出張所の工藤節男出張所長にお伺いしました。

岩木川は、世界自然遺産「白神山地」の雁森岳にその源を発し、津軽平野を北上しながら十三湖を経て日本海に注ぐ一級河川です。この地域は藩政時代から水害に苦しめられてきましたが、明治に入って活発な治水運動が展開された結果、明治44年に全国主要河川改修計画の第一期河川に指定され、国の直轄として工事が進められてきました。

  • 工藤出張所長工藤出張所長
  • 図1)岩木川板柳地区掘削築堤工事(平面図)図1)岩木川板柳地区掘削築堤工事(平面図)

本工事は、岩木川の中流にある板柳町から鶴田町の間の右岸に、延長365mの堤防(築堤量12,800m3)を築き上げる築堤工と、その築堤法面4,700m2に張芝、天端に1,640m2のアスファルト舗装等を行うもので、この周辺の右岸側では最後の築堤工となっていました。

この工事が局長表彰の対象となった理由はどのような点が挙げられますか?

表彰理由には、新技術の採用、現場の町道の除排雪・丁寧な広報、一時中止と矢板工種追加に拘わらず工事完成、軟弱地盤で慎重な施工など4点ほどの事由がありましたが、私としては、追加された矢板工法に関する段取りや工程管理が適切で、苦情もなく工期内に工事を完成させていただいたことが一番評価された点だと思っています。

図2)岩木川板柳地区掘削築堤工事(横断図)図2)岩木川板柳地区掘削築堤工事(横断図)

工区内に旧河道が蛇行した部分があってそこが軟弱地盤だったのですが、まさにそこに近接して家屋や営業店舗があったため、盛土の影響により事業損失が発生しないよう対策を図る必要があました。青森河川国道事務所、藤崎出張所、請負者の3者による設計変更審査会が開かれ、この間、一時中止がかかりました。官民境に根入れ長15mの幅広矢板を圧入工法により設置することとなったのですが、アサヒ建設さんは、機械の手配も含めてこの対応が見事であった。

また、築堤の転圧に際しても小型機械を使用し騒音・振動への配慮に努めたり、工事の進捗内容を解り易く説明した掲示板の設置や広報紙を発行するなど、地元との良好な関係構築にも積極的に取組んでいた姿勢も評価されたと思います。

では、実際の施工者は、どのように対応し工事を完成させたのか、アサヒ建設株式会社の代表取締役対馬金吾さんと当工事の監理技術者である水木武さんにお話しを伺いました。

  • 対馬代表取締役対馬代表取締役
  • 水木武さん水木武さん
当初の施工計画にはなかった、軟弱地盤箇所に対し、どのような対応を図りましたか?

発注者と設計変更審査会で軟弱地盤対策を協議しました。結果、圧入で矢板を設置して築堤の影響が民地側に及ばないようにしようということになりました。そこで当社としては必要な機械を手配したわけですが、地元業者として板柳地区の地盤状況についてそれなりの経験をもっており、さらに矢板の根入れ深さが15mと深かったことから、支持地盤まで圧入できないリスクを考慮して、ウォータージェット工法にも転用できる複合式圧入機を選定することとしました。工期に余裕がなかったことから段取り替えの時間ももったいないという判断でした。この判断が奏功したと思います。

矢板の出来形管理には半導体レーザー「パイルレーザー」という機器を採用し、位置決めの正確性や省力化、作業のスピード化を図りました。

複合圧入機では生分解油脂を使用しましたので、水質環境にも優しい対策となり、周辺住民等からの苦情もなく工期内に無事工事が完成できて本当に良かったと思っております。

  • 写真③/ハット矢板とパイルレーザーの固定写真③/ハット矢板とパイルレーザーの固定
  • 写真④/レーザーの照射状況写真④/レーザーの照射状況
施工計画においてその他に苦労したことや創意工夫したことをお聞かせ下さい

築堤用盛り土材の品質管理には赤外線水分計を採用しています。工期に余裕がないことはわかっていましたから、すぐに測定結果が出て使用の可否が判断できて作業指示に反映できるので採用しました。

また軟弱地盤上の土工事でしたから、振動や騒音で地元に迷惑が掛らないようにすることに注意しました。このため、転圧に4tブルを使ったり超低騒音型のバックホーを採用しました。築堤の転圧には15tブルを使うことが多いのですが、機械は小さいほうが振動に有利であるので、現場で4tブルを試験施工し転圧回数などのデータを取っていけることを確認した上で、4tブルを採用しました。作業の手間はかかりましたが。

築堤盛土完了後は、すぐに天端にアスファルト舗装工をしなければならなかったのですが、冬場の施工での品質や施工性の低下が懸念される状況でした。このため、工区全体に鉄板122枚を敷き天端の養生を行いました。結果、除雪時の雪に混合が無く、土羽整形の重機や運搬は敷き鉄板上で作業するため路床盤を傷めず、さらに敷き鉄板を撤去しながら下層路盤を施工することで仕上がりが大変上手くいきました。

  • 写真⑤/敷き鉄板が無い部分 
(歩いただけで盤を傷める)写真⑤/敷き鉄板が無い部分
    (歩いただけで盤を傷める)
  • 写真⑥/敷き鉄板に添った除雪  (雪に土砂混入が無い)写真⑥/敷き鉄板に添った除雪
    (雪に土砂混入が無い)
  • 写真⑦/敷き鉄板上での土羽整形作業写真⑦/敷き鉄板上での土羽整形作業
  • 写真⑧/下層路盤材を積んだクローラダンプ写真⑧/下層路盤材を積んだクローラダンプ

また、工事の概要、作業予定等を説明した掲示板の設置や、工事現場の作業状況、進捗状況、翌月の作業工程を記載した広報紙「板柳築堤だより」(7刊)を月1回発行し、回覧版と一緒に廻してもらい地元住民に対する工事への理解と協力を求めるためのコミュニケーションを図りました。

  • 写真⑨/掲示板写真⑨/掲示板
  • 写真⑩/広報紙(第4号)写真⑩/広報紙(第4号)

新しい技術を積極的に活用しているそうですが

当社では、「創意工夫に徹し研究に努める」という経営方針を採っております。二週間に一回、知識の共有化を図る意味で会社全体の会議を開いていますが、新技術を採用して良かったものについては、会議で報告しあって積極的に活用するようにしています。安全に昇降できて設置の簡単な「自在式安全階段」、埋め立て処分されるごみ溶融スラグを細骨材の一部として有効利用した「エココンクリート二次製品」、油圧ショベルの後方を監視できる「後方監視カメラ搭載油圧ショベル」、重機の危険エリアに入ると作業員、運転手双方に警報を発する「作業員装着警報感知システム」は全社的に採用しています。

今回の工事では、発注者側から出来形の管理をTS(トータルステーション)出来形で行うよう特記事項があり、当社が使用している測量ソフトに連動するTSシステムを採用しましたが、省力化できてとても便利でした。

今回の工事が評価された理由について、受注者としてはどのように考えていますか?

地元企業として地元や現場の状況にも精通していたことや新技術や先進装置の積極的な活用により、設計変更にも迅速に対応でき、苦情やトラブルもなく工期内に工事が完成できたことが高く評価されたのだと思います。

余談ですが、我々の工事が3月に終わってその年の9月の秋の台風18号の出水から右岸地域を守ることができました。うれしかったです。

最後に、監理技術者として日ごろ心がけていること、今回の工事で学んだこと、
若い監理技術者に対してメッセージ等ありますか

現場の責任者として、目的物を無事に完成させるためには安全管理を最優先することは勿論のことですが、工程の日々管理「段取り」をしっかり行うことを心がけています。段取りが悪いと作業ロスや手戻りが発生し工程が遅れるばかりではなく、工事原価まで低下して会社にも損害を与えてしまいます。段取りがよく現場がうまく進捗した時は、達成感を得られ仕事にやりがいを感じられます。

今回の工事で学んだこととして、工事に対する地域住民の理解を得ることが大切だということです。工事の騒音・振動対策、環境対策をいくら実施しても100%無しにすることは出来ませんので、誠心誠意に住民とのコミュニケーションを図ったことが良かったと思います。

昨今、総合評価落札方式の運用で、技術者の能力ということで施工経験と立場により配点されるようになりました。若い技術者にはどんどん配置予定技術者として出ていただき、工事成績評定点の高得点を獲得していただきたいと思います。

取材協力

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