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表彰工事

積極的に技術提案し難工事をクリア
錯綜する現場環境の中で、
無事工期内に増築工事等を完成

2015/03/30

成26年度国土交通省中国地方整備局の局長表彰を受けた「厚狭税務署増築その他建築工事」。その工事について、発注者である中国地方整備局営繕部保全指導・監督室・鳥居義彦室長、受注者である新光産業株式会社・沖将介建設事業部建築部長、竹重信臣建設事業部建築部工事グループ課長代理にお話を伺いました。

【工事概要】
工事名 厚狭税務署増築その他建築工事
工期 平成25年1月30日~平成26年1月31日
発注者 国土交通省中国地方整備局営繕部
受注者 新光産業株式会社
施工場所 山口県山陽小野田市鴨庄111-1
請負金額(税込) 127,680,000円
監理技術者 竹重信臣

図1)工事平面図

図1)工事平面図

まず、今回の工事の概要について、中国地方整備局営繕部保全指導・監督室、鳥居義彦室長にお伺いしました。

本工事は厚狭税務署の既存庁舎の一部を使用しながら、事務棟とエレベーター棟の増築及び既存庁舎の模様替を行ったもので、庁舎の増築部分と一部の模様替部分を完成させ、部分的に業務を行いながら施工しました。

庁 舎(事務棟) 鉄筋コンクリート造 2階建 210.84m2 増築1棟
庁 舎(EV棟) 鉄筋コンクリート造 2階建  16.74m2 増築1棟
庁 舎(既存棟) 鉄筋コンクリート造 2階建 623.16m2 模様替一式
車庫・倉庫    鉄骨造       平屋建  54.90m2 増築1棟
構内外構整備(アスファルト舗装)             改修一式

この工事が局長表彰の対象となった理由はどのような点が挙げられますか?

写真1)鳥居義彦室長

写真1)鳥居義彦室長

工事期間中、既存庁舎を使用しながら、無事故で工期内に完成させたことが挙げられます。来庁者が多い繁忙期に、庁舎を使用しながら外構工事等を進めましたが、工事エリアをうまく区分し、来庁者の安全に十分配慮しながら工程管理を行いました。また、敷地内への工事車両の出入りを極力少なくするように資材はなるべくまとめて搬入するような工夫を施していました。

当工事は既存庁舎の南側に増築する工事で、夏場に空調の効かないまるで温室のような環境での作業となりましたが、屋外日陰テントを設置する等熱中症対策に努め、職人不足の中、工期内に完成したことも評価されました。

厳しい作業環境が重なった中で、出来ばえ、出来形も非常に良好でした。

写真2)熱中症対策

写真2)熱中症対策

さらに、発注者の方針を良く理解し、環境負荷低減、リサイクル、近隣住民に対する説明責任を果たしていました。

その他に何か特筆する点はありますか?

写真3)誘導員の配置

写真3)誘導員の配置

入居官署の要望により、繁忙期の来庁者の増加に対応して、臨時の窓口を増設しました。その際段差をなくすために、取り外し式の簡易スロープを設置したり、身障者用の駐車スペースを確保し、そのための案内看板や誘導員を配置し、利用者の利便性と安全性を確保しました。

また、書庫が工事エリア内にあり、職員の方が工事エリア内に立ち入ることが度々ありましたが、職員の方々の安全管理を最優先にして工事をおこないました。錯綜した現場を良く管理したと思います。

では、実際の施工者は工程管理や品質・安全管理について、どのような工夫、注意をされたのか、新光産業株式会社・沖将介建設事業部建築部長、竹重信臣建設事業部建築部工事グループ課長代理に話を伺いました。

  • 写真4)沖将介建設事業部建築部長写真4)沖将介建設事業部建築部長
  • 写真5)竹重信臣建設事業部建築部工事グループ課長代理写真5)竹重信臣建設事業部建築部工事グループ課長代理
今回の工事を担当されるに際し、ポイントはどこにあるとお考えでしたか?

技術的には、増築棟と既存庁舎の取合いをどうするかだと思いました。

それから、発注者はもちろんですが、入居官署、今回は税務署ですが、税務署のみなさんと協議を重ねて工程計画を詰めて、いかに日常業務との調整を図るかを考えました。

工程管理の面から既存庁舎を供用しながら工事を行うために工夫、
注意されたことをお聞かせ下さい

建物と敷地の一部を供用したまま工事範囲を3段階に分けて施工するという計画を立てました。

STEP1.既存庁舎の食堂他一部を税務業務に供用しながら、
     その他の部分の模様替えするとともに増築棟の新設工事
STEP2.増築棟完成後、既存庁舎の全面改築
STEP3.車庫、外構工事

そして、職員の動線や一般来庁者の動線を妨げないように安全に工事を進めるために、仮設計画図を作成し、工事関係者に周知しました。

図2)STEP1仮設計画図

図2)STEP1仮設計画図

STEP1の仮設計画図

  • 中央の既存庁舎を挟んで、図面上部の黄色塗り範囲が増築棟(EV棟)、下部の黄色塗り範囲が増築棟(事務棟)です。図面左半分の仮庁舎との境界は仮囲いを設置しています。
  • 赤矢印が工事関係者及び工事車両の動線、青矢印が税務署職員及び一般来庁者の動線を示しています。

写真6)ビニールシートで覆いながらの施工

写真6)ビニールシートで覆いながらの施工

工事範囲を区切るための仮設間仕切りの設置作業においても、埃が執務室側に入らないよう、作業範囲をビニールシートで覆いながら施工しました。

税務署庁舎ということで特に気を付けたことはおありでしたか?

確定申告時に増築棟の地業工事(地盤改良)と基礎躯体工事が重なりました。このため敷地内への工事用車両の出入りを極力少なくするように、資材はなるべくまとめて搬入するように専門業者と打ち合わせを行いました。

普段は掘削残土を外部に即座に搬出するのですが、狭い敷地でしたが工夫して躯体工事が終わるまで場内へ仮置き(高さ2.5m)し、ダンプトラック(10t)の出入りを最小限にして交通事故のリスクを低減させました。もちろんゲート付近に交通誘導員を常時配置して安全確保に努めました。

その他工程管理、安全管理面でとった対策があればお話し下さい

周りが住宅地であったので夜間工事は行わず、工事の理解を得るために、節目ごとに説明文を配布し、休日作業を行う場合はその都度説明を行いました。

取り壊しや土工事で使用するバックホウ等の重機から発生する騒音や振動を少しでも減らすことができるように、ゴムキャタピラーのものを採用しました。

技術的に一番工夫されたのはどんなところですか

増築棟と既存庁舎の取り合い部分です。ここのエキスパンションジョイントカバーのクリアランス確保と漏水対策は非常に苦労しました。

エキスパンションジョイント部のカバーは地震時の建物の変位量を確保しながら既存庁舎の外壁の形状に合わせて収まりを検討するのですが、ここを複雑な構造にすると不具合の原因となりやすく将来のメンテナンスが大変になります。当初計画では現場合わせの製作となっていたのですが、着工前に現地を調べると図面と違う部分が見つかったことと設計図や施工図では表現しにくい部分であることから、写真やスケッチを使って代替案を作り発注者との協議にのぞみました。発注者も大変に協力的でお互いが納得するまで議論をしたことが印象的でした。もちろんメールや電話でもやりとりもしました。代替案については将来の保守の際に部品交換が容易に行える事を検討してできるかぎり既製品を使用することを発注者に提案しました。既製品を使用すると工期短縮というメリットもあります。

写真7)エキスパンションジョイントカバー部分の漏水検査

写真7)エキスパンションジョイントカバー部分の漏水検査

同じくカバー部分の漏水対策も苦労した部分です。台風などの横風の場合でも室内に水が入らないようにゴムシートで遮断すること、カバー自体の結露対対策として隠蔽部分にすべて断熱材を吹き付けることを発注者に提案、採用されました。

施工後は設備配管や電気配線の貫通箇所も多数あるところですので、何度も散水を実施して漏水のないことを確認しました。

新技術等の提案をされましたか?

コンクリートの打継処理剤ジョインテックスCT-400を使用しました。従来はコンクリート打設翌日に、打継面のレイタンスを高圧洗浄機等を使用して除去していましたが、打継処理剤を使用することで騒音や粉じんの発生がないし、洗浄水の処理も不要になって、周囲に飛散する心配もなくなりました。

今回優秀建設技術者表彰も併せて受賞されていますが、
どのような点が評価されたとお考えですか?

そんなに特殊な工法や新技術を用いたわけではありませんが、敷地と建物を部分的に供用しながらの工事でしたので、職員の方々、来庁者の方々への配慮を最優先して施工したことが評価につながったのだと思います。安全管理や工程管理はもちろんのことですが、使う人の立場に立って建物の性能、機能最大限高めるよう考えました。

入居官署からの要望事項や図面と現場の相違点を踏まえて積極的に代替案を提案し、発注者との協議を自発的に何度も行い、ひとつひとつ解決しながら、より良い建物を完成できたことが評価されたのではないかと考えています。

最後に、日ごろから心がけていること、工事を終えた感想をお願いします。

工事を進める間に発生する様々な問題点は、発注者、設計者、施工者との間での質疑や打ち合わせ簿のやり取りで解決していきますが、今回の工事で、まず現場の状況を一番良く把握している施工者である自分たちの考えや方針をしっかりと示すことが重要だと改めて実感しました。また、このためには無駄な手間はかける必要はありませんが、必要な手間は省くことなく丁寧に対応することが重要であると実感しました。

取材協力

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