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表彰工事

ベテラン・若手の役割分担で
充実した施工体制と優れた工事品質を実現

2015/05/28

成26年度国土交通省北陸地方整備局の局長表彰を受けた「金沢港(大野地区)防波堤(西)(改良)築造工事」。その工事について、発注者である北陸地方整備局金沢港湾・空港整備事務所・高橋伸一副所長、伴孝宏企画調整課長、高木良久保全課長、受注者である株式会社北都組・工事部工事課本宮茂さん、濱田祐輔さんにお話を伺いました。

【工事概要】
工事名 金沢港(大野地区)防波堤(西)(改良)築造工事
基礎工;80.1m(捨石200~500kg/個;1,570m3)(捨石30~200kg/個;1,017m3
被覆工;79.8m(テトラポッド4t;872個)
消波工;80.0m(テトラポッド64t型;281個)、(シーロック60tB型;144個) 外
工期 平成25年3月11日~平成25年10月11日
発注者 国土交通省北陸地方整備局金沢港湾・空港整備事務所
受注者 株式会社北都組
施工場所 石川県金沢市大野町地先
請負金額(税込) 153,090,000円
監理技術者 本宮茂
現場代理人 濱田祐輔

まず、今回の工事の概要について、北陸地方整備局金沢港湾・空港整備事務所・高橋伸一副所長、伴孝宏企画調整課長、高木良久保全課長にお伺いしました。

この工事の概要と局長表彰の対象となった理由をお示しください

本工事は金沢港の防波堤の港外側に消波ブロックを設置するもので、日本海特有の冬期の荒波で防波堤前面の洗掘による波浪増大や堤体の沈下が生じて越波が増えているため、港内静穏度を確保するためのものです。

かみ合わせ良く消波ブロックが据付けされた点と、ケーソンの壁補修の工種追加にも積極的に対応して、工期を超えることなく対応された点などが評価されました。

  • 写真-1 日本海の荒波と金沢港(大野地区)防波堤(西)写真-1 日本海の荒波と金沢港(大野地区)防波堤(西)
  • 図-1 横断面図図-1 横断面図
消波ブロックの「かみ合わせ」について、どのように評価されるのですか

海の中の作業ですから陸上部の工事とは自ずと異なり、厳密な出来高管理基準があるわけではありません。しかし、工事の進捗に応じて発注者側の潜水士が必ず出来高を確認します。また、普段の作業の様子もしっかり監督していますから、それらを踏まえた評価ということになります。安全対策が充実していた点も評価しましたが、安全対策が充実されていたから、消波ブロックを据え付ける作業班は自分の作業に集中できてよい仕事につながったということもいえると思います。そういう施工体制全般の水準が高いことが明かであったということですね。

では、施工者は、どのような工夫をされたのか、株式会社北都組・工事部工事課本宮茂さん、濱田祐輔さん、営業部長の木原学さんにお話を伺いました。

今回の工事に着手するにあたって何がキーポイントとお考えだったですか?

写真-2 技術検討会

写真-2 技術検討会

三点あります。

60tB型シーロックは北陸地方で初採用のブロックでした。当然、我々もはじめての扱いとなるので、メーカーに講習を依頼し、施工例や模型などをつかって据付方法や吊り方等について協力会社の職員とともに関係者全員で受講しました。その結果を踏まえて、均一にかみ合わせ良く据え付けできるようCADでシュミレーションして、10メートル当たりの消波ブロックの個数を記載した割り付け図を作成しています。また本工事箇所中間部には防波堤の断面変化点があり、これに伴い、消波ブロックは64t型テトラポッド区間から、60tB型シーロックへと規格変更されることから、断面変化点については模型を使ったシミュレーションを実施し、据付順序等の検討を行いました。

二点目は、工程管理が重要だと思いました。この工事の発注時には他にも多くの同様な工事が発注されており、作業船や大型クレーン、捨石等の調達が困難だったのです。特に捨石の調達には苦労をし、必要量を全量確保・敷設してから消波ブロック据付を行うと工期を超える恐れがあるので、通常は1工種がすべて終わった時点でまとめて出来形検査を行うのですが、これを分割して検査を行う工程計画を立てて発注者と協議しました。捨石がセットできたロットからブロックを設置するようにしました。この工程管理には発注者の理解が不可欠であり、協力いただけたので大変にありがたかったです。

三点目は気象情報の早期入手です。海上工事では、波高及び風速が施工性、精度に大きく影響するため、発注者提供の海象情報の他、有料の民間海象情報サービスも活用することで、気象・海象の現況や変化予測に努めました。場合によっては作業員さんに土日の作業もお願いすることもあるので、情報の入手とスピーディな判断は、関係者の福利にも貢献できます。

  • 写真-3 監理技術者 本宮茂さん写真-3 監理技術者 本宮茂さん
  • 写真-4 現場代理人 濱田祐輔さん写真-4 現場代理人 濱田祐輔さん
事前の潜水調査で工夫した点はどのようなことですか?

前年度の施工箇所すりつけ部や本工事区間の底面(基面)部について、通常の深浅測量のほかに水中ビデオ及び写真撮影を行いました。深浅測量では海底の凹凸について判別できますが、それが砂なのか、石やブロックの飛散物なのか、それとも危険物か何かなのかは判断できませんので、これらの画像情報は、発注者との協議や会社内の段取り、打ち合わせをスムーズに進める上で大変に有効でした。通常はここまではやりませんが、今回の工事で施工性及び確実性向上のために工夫した事項です。

また、この事前調査で既設ケーソンの下部に直径1m強の穴があいているのを発見しました。直ちに発注者に報告するとともに、補修工法についても当社の経験を提案しました。

技術者3名体制を取られた理由はなんでしょうか?

本工事の主工種であるブロック据付は、大きく分けると2つの作業になります。一つはブロックの仮置場から積出岸壁までの陸上運搬作業、もう一つは海上での運搬・据付作業です。これにさらに発注者や港湾管理者、利用者等との協議・調整という業務が入ります。この3つの業務を安全かつ円滑に行うため、それぞれに技術者を配置する3名体制としました。

監理技術者である本宮は、社員の中で豊富な港湾工事経験を持っており、主に海上作業での施工管理や技術的指導・監督を行いました。同時通信無線を使用し、海上のクレーンオペレータと防波堤上の作業員との連絡を密にしたり、クレーンからはタグラインを使用し、ブロックの振れを抑えながら施工するなどの工夫をしています。

対外協議・調整や事務全般を主に担当する現場代理人には、若手の濱田を抜擢しました。入社3年目でしたからやや荷が重かったかもしれませんが、将来は我が社の港湾部門における中心的立場として育ってもらいたいとの期待を込め、直轄港湾工事の進め方や全体像を理解するのに最適なポジションに配属したところ、見事期待に応えてくれました。

もう一人の技術者は陸上作業を主に担当しつつ、2人のサポート役として臨機に対応しました。

充実した安全管理も3人のチームプレーだったわけですね

写真-5 レーダー反射器

図写真-5 レーダー反射器

ブロックの積出岸壁が港内の入り組んだ箇所であったため、航路をまたいで据付箇所まで搬送するのですが、現場は既設護岸や防波堤で死角となり、入出港する船舶と作業船が互いを現認しづらい。このためタンカーなどの船舶入出港予定や他の海上工事の作業船情報を事前に入手するとともに、台船入出港時には、防波堤上に見張り員を配置して港内外を監視し、船舶等の動静把握や一般船舶優先を徹底した行合調整を図りました。小型の漁船やプレジャーボートはレーダー等の設備を備えていないものも多いため、目視による監視を強化しました。また、積み出し基地離着岸並びに航路横断時には、視認性の高いLED表示器を搭載した安全監視船を配備、電光表示による文字や絵を併用して、より明確な注意喚起を行い他船舶との衝突防止に努めました。

さらに据付や航行中の衝突防止のため、潜水士船、測量船には航海用レーダー反射器を設置し、大型船等からの視認が困難な小型船舶の位置を明確に示すように工夫しました。このように3人で上手く連携しながら、無事故で工事を竣工することができました。

地域貢献は濱田さんの考えが反映してるそうですね。
どのような考え方に基づき取り組まれましたか?

金沢港で毎年催される「港フェスタ金沢」に、金沢港工事安全連絡協議会として協賛し、我々もスタッフとして参加し地域住民との交流を図りました。

今回の催しの一つに「金沢港見学バスツアー」というものがあり、このコース途中で我々の工事のブロックヤードに立ち寄っていただいて事業の概要や防波堤の役割について説明するとともに、仮置きされている消波ブロックにツアー参加者が絵を描き、港湾構造物に親しみを持っていただくようにしました。

通常はこれで終わるのでしょうが、私は、参加者の皆さんが絵を描いたブロックを港外海中の最前面に据え付けするように手配して、さらに実際に海中に据え付けられている写真を撮って「金沢みなと会館」に展示していただきました。海洋土木構造物は他の土木構造物と異なり、役に立っている姿が一般の方に認識されにくいため、みんなが絵を描いてくれたブロックが金沢港を守っていますよ、ということを積極的にPRしようと思ったわけです。市民の方々に港湾工事の重要性等について理解を深め、身近に感じていただく一助になったと思っています。

写真-6 ペイントブロック

写真-6 ペイントブロック
技術者として日ごろから心がけていることや若い技術者に期待することなど
一言お願いします。

1つの工事が完成するまでには難しいこと、大変なことも沢山あります。特に港湾工事は、土木工事の中でも特殊な分野です。作業船を用いた海上作業では、波や風による船舶の“揺れ“を考慮することが、施工管理や安全管理の上で必要不可欠です。時化が続き、思うように工事が進まず、気が焦ることもありますが、施工を急ぐあまり判断を誤れば、船舶の退避が遅れ大災害に繋がる危険もあります。だからこそ、的確な情報収集と状況判断が重要だと日頃より心掛けています。そうして苦労した分だけ、無事に完成した時の達成感は大きくなります。

東日本大震災での津波被害の記憶も新しい中、故郷や大切な人達を災害から守り、安心で快適な暮らしを支える上で、港湾工事は欠くことのできない重要でやり甲斐のある仕事だと思っています。

これを読んだ皆さんが、同じ土木技術者としてこれからも誇りを持って頑張っていけるよう、何かを感じていただけたら幸いです。

取材協力

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