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表彰工事

実質工期が短く厳冬期という
悪条件を乗り越えて品質を確保。

2015/09/29

成27年度国土交通省北海道開発局の局長表彰を受けた「網走川改修工事の内 本郷築堤浸透対策外工事」。この工事を施工された吉井建設株式会社の郷右近英宣社長と現場代理人の川尻清輝さんにお話を伺いました。

【工事概要】
工事名 網走川改修工事の内 本郷築堤浸透対策外工事
工期 平成26年6月14日 ~ 平成27年3月25日
発注者 国土交通省 北海道開発局 網走開発建設部 北見河川事務所
受注者 吉井建設 株式会社
施工場所 北海道網走郡大空町ほか
請負金額 250,938,000円
監理技術者・現場代理人 川尻 清輝
まず、工事内容についてご説明ください。

写真1) 川尻清輝さん

写真1) 川尻清輝さん

工事は本郷地区の堤防の浸透対策と上美幌地区及び津別地区の河岸のり面保護工事の3箇所になります。津別地区の工事は法面保護が目的です。本郷地区は地盤の浅いところに泥炭層があり、ここが浸透層となって出水時に堤内地に漏水します。これを防止するため、堤防に遮水シートを敷き詰めてその上を張りブロックで押さえ、さらに覆土して植生する工事です。

いずれも代表的な河川工事のようにも思われますが、
技術者として一番苦労したところはどこでしょうか。

津別地区ののり面工事の工程管理が大変厳しかったことですね。工期は6月から翌年3月までの工事だったのですが、工事区域内で河岸のり面の一部に挙動が観測され、新工法のF300フリーフレームとロックボルトを施工しようと決まったのは9月でした。

河川管理者の方でボーリング調査を行い、円弧すべりの検討もして対策工法の検討が進められたのですが、現地をみるとどの工法を取るにしても河川内に重機を入れて作業空間を確保して逆巻き工法で施工するしかないと思いました。ところが、河川内で切り回しして仮設運搬路などを設置する工事が出来るのは、内水面漁業との関係で7月と1月しかなかったのです。そこで、市役所の水産課と2つの漁業組合に先行して協議を申し入れ、作業空間を確保する工事を済ませておきました。仮設運搬路そのものも大型土のうを使って増水時に土砂の流出が最小になるようするなど、サケ、ワカサギの産卵等に影響が出ないように工夫しました。

そうするとフリーフレームの施工が厳冬期になった訳ですね。

写真2)厳冬期のコンクリート養生

写真2)厳冬期のコンクリート養生

ここは日本で最も寒いと言われる陸別に近いところです。風も強い。そんなところでコンクリートの養生をすることになりますが、現場が急峻な地形であるので、通常のように構造物全体を完全に覆って給熱養生を100%達成することは出来ないと判断しました。そこで凍害防止剤を使って品質確保に万全を期しました。コスト増にはなりましたが「打設後一日目だけは0度以上」を厳守できればあとは地元の建設会社として経験をフル動員してなんとかなると考えた次第です。ジェットヒーターのフル稼働でしたね。夜の見回りも大変でした。

そのほか工程管理で工夫されたことはありますか。

施工した26年度の冬は暴風雪が多く、国道が通行止めになるなど現場が稼働出来ない日も多かったです。「掘削、フリーフレーム設置、ロックボルト施工」という段取りを3回繰り返すことになりますので、天候不良で現場が止まる都度、工程を見直しして重機や人員を増強しました。

のり面崩壊箇所での工事でしたので、崩壊土砂の上部にマーキングしておいて、毎日の始業時に崩壊土砂が動いていないことをノンプリズムのTSで確認することも工程管理で気をつけた点です。TSは役に立ちました。

表彰理由では充実した安全対策も取り上げられていますが、
どのようなことをされましたか。

写真3)避難訓練の様子

写真3)避難訓練の様子

ほかの工事でもいざという時の避難場所や手順を書いたマニュアルを作成しているのですが、今回の現場はいずれも融雪期や台風などでたびたび増水する区間ですから、気象情報の収集も必要だと思いました。コンコムでも取り上げられていましたが、ゲリラ豪雨対策として建設安全気象予報モバイルに登録して、大雨や強風が1時間以内に予想されるとメールで通知がくるサービスを契約しました。想像していたよりメールが多く配信されたので対応は大変でした。

事前準備だけで安心してしまっていざというときに避難行動に移れないのでは意味がありませんから、協力会社も交えてみんなで避難訓練も実施しました。

津別ではのり面の動態観測をしていたのは先に述べたとおりですが、このほかにクレーンの転倒防止のために回転灯付き風速計を現場に設置しました。平均風速が10mを超えると赤色灯が回転し、周囲の作業員に注意を促すものです。

本郷地区の堤防は天端の幅が狭く、ブロック据え付けのために積算上で想定されている25トンクレーンのアウトリガーがちゃんと張り出せなかった。一方、堤防ののり長は長かったですから、35トンクレーンを高水敷に持ってきてそこからブロック据え付け作業を行いました。これも安全上の配慮ですね。

社長は業界でも指導的なお立場で御活躍されています。
公共事業全般でも結構です、ご意見をお聞かせください。

写真4) 郷右近英宣社長

写真4) 郷右近英宣社長

今回の工事は実質的な工期が短く気象条件も過酷な中で、川尻君も含めてみんな頑張っていましたから、現場の努力を発注者に評価していただいて表彰につながったと思います。それは素直にうれしいことです。

ところで私たちは改正品確法に期待するところが大です。質の高いインフラを整備するためには発注者と受注者の間の信頼関係が大事だと思います。当初は標準的な工法と歩掛かりで発注されるにしても、公共事業が行われる現場条件は千差万別ですから、現場条件を正しく考察して受注者はもっとも適切な工法を選択・提案し、発注者もエンジニアとしてそれに応えていく。このような関係がより深まっていくことを期待しています。

最後に、川尻さんが監理技術者として普段から取り組んでいることなどをお聞かせください。

現場を進める上で、監督員や作業員、協力会社の人などいろいろな人の意見を聞くと新しい情報や考え方を得ることが多いです。ベテラン、若手を問わず同じエンジニアとして経験や知識を謙虚に聞くことで、よりよい現場を作っていきたいと考えています。

(文責 森田悦三)

取材協力

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