ConCom 会員ログイン

ConCom 掲示板

こんなときはどうしよう? 今さら聞けないこんなこと これって正しいの?

建設現場で直面する課題、日ごろの作業の疑問、資格試験の相談など。みなさんで盛り上げてください。

掲示板を見る

建設産業図書館の優待利用方法 ConCom会員限定での優待利用です

お役立ちリンク集 日々の作業で使える情報へ一発リンク

ご意見・お問い合わせ ConComへの要望・ご質問はコチラから

現場探訪 優れた工事成績評定の現場、話題の新技術、人材確保に役立つ情報をレポート

表彰工事

現場条件に応じて機械を使いこなし、
メンバー固定で3ヶ月昼夜連続工事を完遂。

2016/01/28

成27年度国土交通省中部地方整備局の局長表彰を受けた「平成25年度国道19号鳥居トンネル修繕工事」。この工事を施工された吉川建設株式会社 現場代理人の鈴木功治さんと監理技術者の村澤孝之さんにお話を伺いました。

【工事概要】
工事概要 鳥居トンネル内 天井板等撤去工事
工期 平成26年2月27日 ~ 平成26年10月20日
発注者 国土交通省中部地方整備局飯田国道事務所
受注者 吉川建設株式会社
施工場所 長野県木曽郡木祖村薮原~塩尻市奈良井
請負金額 384,480,000円
現場代理人 鈴木 功治
監理技術者 村澤 孝之
工事内容についてお聞かせください。

国道19号鳥居トンネル(2車線 全長1783m、交通量約1万8千台/日)の天井板等撤去工事です。天井板は1枚約100kgのALCパネル8847枚で、レール上を動く構台2基(プロテクター工法)を使って、片側交互通行用の通行帯を確保しつつ、人力で撤去するというものです。構台は指定仮設です。一般車を交互通行させながらの工事は、東北で一例あるくらいの全国でも珍しい工事でした。

  • 写真1)構台(プロテクター)の製作(左)と設置(右)
  • 写真1)構台(プロテクター)の製作(左)と設置(右)

写真1)構台(プロテクター)の製作(左)と設置(右)

昼夜連続工事を3ヶ月されたとのことですが、一方で工期は8ヶ月あります。
事前の段取り検討から交通管理者との協議、検査まで様々なステップがあったと思います。
一番ご苦労されたことは何ですか。

写真2)現場代理人 鈴木功治さん

写真2)現場代理人 鈴木功治さん

国土交通省は前年の暮れからこの工事による片側交互通行期間をアナウンスしており、『5月連休後着手、お盆前完成』は至上命題でした。規制期間は決まっていたので、トラブルなく工事を進めるための準備に苦労しました。

2月27日に契約をしましたが、道路交通法の80条協議など事前協議はすでに国土交通省と警察の間で調整がついており、大筋で話が変わることはありませんでした。しかし、現地に立てる案内板の設置位置や病院・介護施設等の緊急車両の通行方法の確認、トンネルを通行する歩行者や自転車の搬送方法など、細かな確認作業に苦労しました。また、片側交互通行で待ち時間が15~20分程度になることが予想されたので、待ち時間中のドライバーによるゴミのポイ捨てや、渋滞で住民のクルマが出入り出来なくなることなども予想され、沿線住民との協議もありました。3月・4月は、こういった細かな調整作業で忙殺されました。

またこの準備期間中に、想定される技術的なトラブルを洗い出し、対策を二重、三重にとることを考えました。絶対に事故を起こさないことが第一、かつ工期厳守であったので、段取りに狂いが生じてもすぐに代替措置ができるように準備をしました。それには現場の人間の数や機械に余裕を持たせることが大事であると考えました。なにかあった時のバックアップや、客観的に監視する目にもなるからです。

現場の状況把握(交通状況、構造物の劣化状況等)はどのようにされましたか。

地元ですので大型車の通行が多いなど交通状況はよくわかっていました。歩行者は多くないのですが、最近は自転車によるツーリストも多いので、搬送用のマイクロバスを準備しました。

別発注の工事で弊社が鳥居トンネルの補修を行っており、国土交通省からも35年分の補修履歴等をいただいていたので、トンネル内の施設配置状況や劣化状況は事前に把握することができました。

担当技術者だけでも相当数の方が現場に関係されています。
協力業者も含めて現場のマネジメントでどのような工夫をされましたか。

写真3)監理技術者 村澤孝之さん

写真3)監理技術者 村澤孝之さん

天井板撤去中は昼チーム5名と夜チーム5名でメンバーを固定しました。昼は監理技術者、夜は現場代理人をリーダーとし、1号基担当、2号基担当、誘導員担当、事務担当の各5名で、工事終了まで固定パーティとして短期決戦に挑みました。昼と夜の交替時には朝礼で申し送り事項の引継ぎを行いました。

ガードマン・交通誘導部隊も隊長を固定しました。天井板の撤去時には、昼30名、夜30名いましたが、それぞれの隊長に指導を徹底させました。交通状況や撤去した天井板を運搬するユニックの運行状況などの確認は、交通誘導員と各技術者が連絡を取り合う方法をマニュアル化して徹底しました。

多くの人間がトンネル内で作業をしているため、作業自体の安全管理も徹底しました。トンネル内をバックで走行すると事故のリスクが高まるため、工事用車両は前進走行を基本としてバックでの走行は最低限としました。万が一に備えて、CO計測器や酸素パックも常備していました。

段取りを検討する上で工夫された点は何でしょうか。
また、発注者側に提案された事項はありますか。

地域の幹線道路を片側交互で規制する工事ですので、一般車両や地域住民の方に出来る限り迷惑をかけないようにすることと、無事故無災害・工期厳守を段取り検討の最優先事項としました。

当初案では構台を両坑口からトンネル中央に向けて発進させる予定でしたが、これをトンネル中央から両坑口に向かって発進させる段取りに変えました。
構台を組む場所が片側の坑口付近にしかなかったため、当初案では組みあがった構台を逆側の坑口まで運ぶ必要がありました。また、撤去作業終了後には構台を外まで出すという作業が残ることにもなります。そこでトンネル中央から明るい坑口に向かって作業し、坑口にたどり着けばミッション完了という手順にしました。わかりやすい目標がある方が作業員の士気を高めるだろうと考えたからです。

また、坑口部には換気用の機器と整流板があり、当初案では天井板の撤去に先立ってこれらを撤去する必要がありました。トンネル中央部からスタートすれば、換気用機器を利用して換気された状態で作業を行うことができるため作業環境の改善ができます。換気用機器等の撤去は最終段階で天井板の撤去と一緒に行えばよいので、工程の短縮にも繋がります。こうしたことも段取りを変更した理由の一つです。

次に技術的な工夫として、構台(移動式プロテクター)の改良を行いました。
当初案では、撤去した天井板はユニックのクレーンで積み込むことになっていましたが、狭い空間でブームを旋回させることに伴うリスクを考え、小型のクレーンを構台に取り付けて使うことにして、ユニックのクレーンは万が一に備えての控えとしました。

当初案では、歩道部の手すり、壁を通る通信ケーブルなどは一旦撤去して良いという指示でしたが、復旧するという工程それ自体をなくすため、歩道部の手すりの高さにある構台の発電機を上部に設置し直し、さらに障害物をやり過ごすために構台の両端部に伸縮機能を追加するなど、構台に改良を加えました。これで手すりやケーブルなどを存置したままで工事を進めることができました。

写真4)ハンドリフトを使用した天井板撤去作業

写真4)ハンドリフトを使用した天井板撤去作業

天井板撤去の際にはハンドリフトを使いました。人力での繰り返し作業ですから、作業員の疲労を減らせば、事故のリスクが減りますし、サイクルタイムも向上すると考え採用しました。このハンドリフトは工事が公告された時点で弊社の松本支店の部長が情報収集していたものを教えてもらいました。やはり普段から新しい技術や機材にアンテナを張ることが重要だと感じます。

写真5)簡易電光掲示板

写真5)簡易電光掲示板

交通誘導用の簡易電光掲示板を8箇所に設置しました。電光掲示板自体は高速道路等でよく見かけると思いますが、インターネットを通じて、表示される文面の入力・変更ができるように提案しました。現場でトラブルが起こった時には、スマートフォンからでも速やかに全ての掲示板の表示換えを同時に行うことができるので、迅速な対応が可能となります。

既存構造物の補修や撤去等の工事が増え、標準的な工法がないケースも想定されます。
発注者側の積算体系や工期の設定に関してご意見をお聞かせください。

今回のような工事は一般ユーザーに不便をお願いすることになるので、事前の広報活動をしっかりと行う必要があり、このことを踏まえた工期設定が必要だと考えます。今回はその期間が約3ヶ月だったのですが、5ヶ月くらいは欲しいと思いました。
今回の工事はいままでに類似工事がなかったため、発注者の方でコンサルタントも交えた打合せ会が何回も開催されています。そして変更も柔軟に認めていただきました。情報をオープンにして共有し、みんなで知恵を出しあうことが大事だと思います。

【広報活動・交通誘導に要した設置物等】
設置物 数量 現場からの最大距離
広報看板 42枚 80km
横断幕 24枚 74km
高さ制限センサー 4基 8km
簡易電光掲示板 8基 74km
最後に鈴木さんが現場代理人として普段から取り組んでおられることなどをお聞かせください。

現場代理人として常に考えていることは、現場を問題なく、トラブル等なく終らせることです。特に、地域住民と融和をはかれるように配慮しています。設計照査の段階で地域性を含んだ検討を十分に行い、発注者にも理解を得てから着手するようにしています。また、工事期間中は地域行事等にできる限り参加し良い関係を保てるようにしています。

(文責 森田悦三)

取材協力

関連記事

2017/05/30

表彰工事急峻な巨石混じりの法面開削を情報化施工で安全に実施、大口径の場所打ち杭と精度重視の橋台施工

今回の現場探訪は、平成27年度国土交通省北陸地方整備局の局長表彰を受けた「妙高大橋架替下部工事」。この工事を受注された田中産業株式会社にて...

2017/03/31

建設ツール建設工事の「すぐれもの」山口県コンクリート施工記録データベースの活用

建設工事の品質確保と生産性の両立。建設技術者の皆さんは日々、その両立に苦労されていると思います。そこで、CONCOM「現場探訪~建設ツール~」では、...

2017/02/27

表彰工事地盤改良等の大幅な設計・工期変更も、発注者との連携で対応。情報化施工(GNSS)も積極的に採用し、工程・出来形管理も万全。地域住民待望の堤防が完成。

今回の現場探訪は、平成27年度国土交通省近畿地方整備局の局長表彰を受けた「大川地区上流築堤工事」。この工事を受注された株式会社平和建設にて、当工事の監理技術者であり...