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表彰工事

現場状況を踏まえた適切な提案と半日レスポンスで利用者、発注者、受注者三方よしの成果
~ 女性技術者登用モデル事業 ~

2016/03/30

成27年度国土交通省関東地方整備局の局長表彰を受けた「御前山環境整備工事」。この工事を施工された高橋建設工業株式会社の現場代理人 大武誠一さんと社長の高橋順子さんにお話を伺いました。

【工事概要】
工事概要 環境護岸 100m
根固工 コンクリートブロック158個 ほか
工期 平成26年10月2日 ~ 平成27年3月30日
発注者 国土交通省 関東地方整備局 常陸河川国道事務所
受注者 高橋建設工業株式会社
施工場所 茨城県東茨城郡城里町御前山
請負金額 76,572,000円
現場代理人 大武 誠一
この工事の特徴をご説明ください。

工事内容としては階段式の親水護岸をつくるというものですが、仕事の仕組みの面で通常と違っていました。

一つは、詳細設計付きの工事ということです。

二つ目は女性技術者登用モデル事業に指定されており、工期の半分以上で女性技術者を常駐させなければならない、という条件でした。

今回の工事に際して特に重視したことは何でしょうか。

写真1)現場代理人 大武誠一氏

写真1)現場代理人 大武誠一氏

工事名でもわかるように、工事場所は御前山県立自然公園に隣接し、道の駅「かつら」も併設されています。県内・県外を問わず多くの方が、花見、水遊び、キャンプなどで訪れます。

ですから、工事中の安全確保が一番です。それから、詳細設計の結果、矢板工の追加などがありましたから、工期が大変に厳しく、工程管理に気を遣いました。花見に間に合わせてほしいという地元の強い要望ですから、工期厳守です。先ほどお話ししたように詳細設計には50日の期間が与えられていたので、実質的な工期は12月から3月までということになります。

工期は厳しいが、優れた河川景観になじむ質のよい護岸を作りたいとも考えました。これが三つ目です。

積極的で適切な提案が多数あったことが高く評価されています。詳細設計の段階も含めてどのようなことを提案されたのですか。

現地を見て、災害復旧で設置されたと思われる根固めブロックの並びが乱れていることに気づきました。ですから、今回の階段護岸工の前面には矢板を打って洗掘を防ぐ必要があると判断し、詳細設計の中で提案しました。

ところで、実際に矢板を打った際に川底からも根固めブロックが出てきました。既設護岸の根固めブロックだと考えられました。今回の工事でも階段護岸の上流側の水衝部に護岸工をつくることになっていたので、そこにブロックを転用することと再度の洗掘を防ぐため袋詰石を追加することを提案しています。

それから完工間際に管理用通路の舗装が終わったのですが、その次の日に大雨が降って隣接する公園側から土砂が流れ出て舗装面に堆積するという事態が起こりました。管理用通路ではありますが来訪者がハイキングコースとしても使っていますから、舗装面に土砂が流れ込まないように雨水の流れを変えるためのドレーン工もすぐに提案しました。管理の手間を少しでも軽減できるし来訪者に気持ちよく使ってもらえるように考えた結果です。

景観対策としてはどのようなことを提案されたのですか。

写真2)階段工・現場打ちコンクリート部の施工状況

写真2)階段工・現場打ちコンクリート部の施工状況

工事場所は「関東の嵐山」とも言われるところですから、見栄えも大事なことと考えました。

工期が厳しかったので階段護岸には洗い出しの二次製品を使ったのですが、階段護岸の一番下だけは普通にやれば現場打ちのコンクリートになります。しかし、それでは構造物としての一体感がなくなって階段がいかにも浮いたものになってします。そこで二次製品メーカーにお願いして同じ玉砂利を調達してもらって現場打ち部分のコンクリートの表面にその玉砂利を埋め込みました。

連接ブロックの現場打ち部分でも、現場で顔料を練り混ぜて周辺の色合いになじませる工夫もしています。

工期が厳しい中でいろいろな提案をされていますね。現場がうまく回った要因は何でしょうか。

写真3)追加された矢板工と笠コンクリートの据え付け

写真3)追加された矢板工と笠コンクリートの据え付け

まずは発注者側の設計変更審査会の判断がスピーディだった点です。もちろん当方からも例えば、矢板の笠コンクリートに二次製品を使った場合の工期短縮効果について資料を作って説明させてもらうなどの努力はしましたが、半日レスポンスともいえるようなスピードで判断をしていただいたことが大きかったです。

二点目は、会社の方針として出来る限り直営施工体制を取っています。弊社のような規模ですべての作業を直営でできるわけではありませんが、土工などは直営でやっておりオペレーターも代理人も同じ情報をもっている。代理人である私の指示を待つということではなく普段からみんなで意見を出しあって作業効率を上げようとする雰囲気が社内にあります。今回の工事でも橋の下の作業がありましたので、こちらから求めなくても小回りのきく機械を使ったらどうだろうか、というような意見が出てきました。要員配置の融通も利きます。

高橋さんが女性技術者として参加されています。いかがでしたか。

折角、現場で働くのだから自分にしかできない提案をしようと考えました。

運動会で場所取りをする時になにを重視するか。日陰があるといいなと考えますね。この工事区間の河岸には自生している樹木があり、みなさんが休憩するときの木陰になっていたのです。そこで工事に支障のない高木は存置すべきとの提案をしました。

完成後に現地に行って皆さんが木陰で休んでおられる様子を見てうれしかったです。地元の皆さんにも喜んでもらえました。これは、女性だから、ということではないと思いますが。出来た後の使われ方を想像して仕事にあたる姿勢が大事だと思いました。

安全対策としてどのような工夫をされましたか。

写真4)立ち入り防止柵とネット

写真4)立ち入り防止柵とネット

家族連れの多いところですから立ち入り禁止柵を二重にして、さらに子供さんの手が届く部分は柵にネットをかぶせました。金属板よりけがをしにくいポリエステル性メッシュネットを使っています。

今回の工事は女性技術者登用のモデル事業です。女性も含めて新しい人材に入職してもらうためには、高橋社長としてどのようなことがらに取り組むべきとお考えですか。

写真5)高橋社長

写真5)高橋社長

女性技術者に関して言えば、今回のような取り組みを各事務所で継続してもらいたいと思います。今回の工事の応札者は弊社を入れて3社でしたので、やはり少ないように思いました。一過性でなく粘り強く続けていただくことが大事だと思います。

それから、週休二日制ですね。天候に左右されやすいなどの問題があるわけですから、確実に休めるように余裕を持った工期設定をお願いしたいし、工期短縮に効果があるので二次製品を標準仕様にしてもよいのではないでしょうか。今回の工事では多くの部材で使用を認めて頂きましたが、型枠が不用になって環境に優しいなどのメリットがあり仕上がりも美しいですから、二次製品の活用ももっと進めていただきたいと思います。

公共事業に対する社会の理解を深める努力も大事です。理解が深まると関係者のやりがいが大きくなり、若者が入職する動機付けになるのではないかと考えます。

最後に大武さんが技術者として普段から取り組んでおられることをお聞かせください。

現場代理人として常に考えている事は、安全第一(無事故・無災害)で現場を問題なく、トラブル等なく終わらせることです。特に地元住民も含めて関係者方々との融和をはかれるように配慮しています。

図1は道の駅「かつら」のホームページのトップです。高橋社長が想像されたとおり木陰でみなさんが団らんしておられます。こういう丁寧な仕事の積み重ねこそがインフラ整備に対する市民の理解を深め、さらに若者の入職、やりがいを育てる方策のように思いました。

図1)道の駅「かつら」ホームページより

図1)道の駅「かつら」ホームページより

(文責 森田悦三)

取材協力

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