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表彰工事

突然のコンクリート剥離落下にも
新技術を積極的に取り入れ迅速に対応、
安全にも留意し高品質の補修を実施

2016/07/28

平成27年度国土交通省九州地方整備局の局長表彰を受けた「日田地区橋梁耐震補強外工事」。この工事を施工された明大工業株式会社の現場代理人・監理技術者の團塚進己さんにお話を伺いました。

【工事概要】
工事概要 橋梁耐震補強・補修工事、アスファルト舗装工事、防水工事、塗装工事
工期 平成25年10月16日 ~ 平成27年2月27日
発注者 国土交通省 九州地方整備局 大分河川国道事務所
受注者 明大工業株式会社
施工場所 大分県日田市天瀬町大字桜竹地先外
請負金額 358,495,200円
監理技術者 團塚 進己
現場代理人 團塚 進己、原 一夫、河野 俊也
この工事内容の特徴をご説明ください。

当初は交通量の多い現道(10000~25000台/日)の橋梁2橋(鋼桁、橋長140m、240m)の耐震補強と炭素繊維による床版補修を主とした橋梁補修工事でしたが、補修工事の準備段階で、近隣にある別の橋梁(鋼桁、橋長230m)の床版のコンクリート片が剥落するという事象があり、急遽その橋梁の補修も追加されました。補修用の足場組み立てまで、1ヶ月強の時間を要しましたが、その間24時間監視をし、更なるコンクリート片の剥落がないように注意を払いました。

また2橋も改めて損傷調査をしたところ、損傷が激しいので、新たな補修の提案も行いました。このため、工期も当初の5ヶ月から、1年5ヶ月に延長されました。

コンクリートが剥落した橋梁
剥落したコンクリート片

写真1)コンクリートが剥落した橋梁(左)と剥落したコンクリート片(右)

今回の工事に際して特に重視したことは何でしょうか。

これらの橋梁を詳細に点検すると、床版が想定以上に痛んでいることがわかりました。このため、TEC−DOCTOR(学識経験者)による現地診断が行われ、緊急補修・措置の必要な箇所を抽出、その結果に基づき補修を行いました。また、コンクリート片の剥落により第三者被害の発生の恐れがあったため、剥落を起こさないことを特に重視しました。

写真2)損傷の激しい床版写真2)損傷の激しい床版
写真2)損傷の激しい床版
新工法、新技術が採用されていますがこれらは発注者側から指定されたものですか。

当社から提案しました。

写真3)ピンニング・ドライ工法写真3)ピンニング・ドライ工法

クラックが床版を貫通しており、床版内に降雨等による水分がありました。そのまま炭素繊維シートをコンクリートに接着して補強を行うと、浸透水等によるシートの膨れや剥離現象を起こす恐れがありましたが、緊急的に補修を行う必要があり、対策工法を検討しました。

ピンニング・ドライ工法(NETIS登録KK-020043-VR)を提案したのは、ドライロックピンをコンクリート内に埋め込むことにより、有孔部から不必要な水分を脱水し、繊維シートとコンクリートの接合補強としてアンカー効果も期待できるからです。

写真4)ショーボンドハイブリッドシート工法写真4)ショーボンドハイブリッドシート工法

コンクリート片の剥落により第三者被害の発生の恐れがあったため、何らかの剥落対策工法を用いる必要がありました。このため、補強用繊維設置、接着剤塗布、上塗りの3工程が一度にできるため、工期短縮とコスト縮減が期待できる特殊ラミネートシートを用いた剥落対策工法であるショーボンドハイブリッドシート工法(NETIS登録TH-010017-V)を提案しました。

現道工事ということでどのような事項に留意されましたか。またそのために取った具体策はどのような内容ですか。

交通量の多い現道で、片側交互通行で夜間作業も行いましたので、工事を行っていることをドライバーの皆さんに早く気付いてもらうために、LED掲示板を設置し、周囲に農地等が無かったので工事照明も極力明るいものにしました。

写真5)LED掲示板、工事照明写真5)LED掲示板、工事照明
写真5)LED掲示板、工事照明
品質管理の面で留意されたことは何ですか。そのために取った具体策はどのような内容ですか。
写真6)着色したプロテクトシルCIT写真6)着色したプロテクトシルCIT

鉄筋腐食している爆裂前のコンクリート床版の延命、断面補修後の再劣化防止のために、鉄筋腐食抑制工法「プロテクトシルCIT」(NETIS登録HR-060004-V)を採用しましたが、これは通常、無色透明な鉄筋腐食抑制材なので、発注者に確認してもらうために、メーカーに依頼して着色した材を用い、塗布したことを目視できるようにしました。

また、当社の品質証明員に毎日現場に来てもらい、品質確保に努めました。

工期の中で、代理人が團塚さん、原さん、河野さんと3人交代されています。どのようなお考えで体制を組まれたのでしょうか。

本工事は橋梁劣化の激しいもので、また工事も1年半と長期にわたりましたので、当社の技術者に補修の現場の経験を積ませるのに非常に良いと考えて、私以外の2人を代理人にしました。

局長表彰を受賞された要因をどのようにお考えですか。

交通量の多い現道での工事を無事故で完了し、品質も良好だったことが、主な要因だと思いますが、それ以上に緊急対応が評価されたのだと思います。

工事を開始したのが平成25年10月16日でした。コンクリートの剥落が起こったのが10月30日で、まだ着工準備の期間でしたが、足場の資材、技能者を大至急集めて、緊急対応しました。これができたのは、日頃から協力会社と良好な関係を保てていたからだと思います。

最後に團塚さんが監理技術者として日頃から取り組んでおられることなどをお聞かせください。また公共事業の将来展望が厳しい中で、地方のコンサルタント業界、建設業界はどのように技術力を向上させるべきとお考えですか。
写真7)團塚進己 工事部課長写真7)團塚進己 工事部課長

橋梁耐震補強・補修工事とは、生活に重要な橋梁の維持や災害時のライフラインとしての役割を果たすために行う工事ですが、現道工事となり、通行される方々や近隣住民の方々には、何かとご迷惑を掛けてしまう状況が多いです。

そこで、いかに必要な工事であるかという事の理解を得る説明と、第三者へのストレス軽減という事に常に取り組んでいます。

その努力の結果、現在まで大きなクレームもなく、近隣住民の方々にも会社名や顔を覚えて頂き、非常に良好な関係を築けています。

建設業界は3Kとも言われますが、公共事業は皆がより安全で快適に生活出来る様にと行っています。一般には理解されにくいとは思いますが、私は橋梁のプロとしての自覚を持ち、日頃から技術の研鑽を行っています。

だんだんと、これまでの自分の経験を次世代へと引き継いでいく立場になりつつありますので、日常の業務は勿論のこと、現場見学会や資格習得を目指している方への添削・指導および技術講演会等の講師として参加し、技術や思いを伝えています。その中で、公共事業の魅力を少しでも感じて貰えれば良いと思います。

何事にも辛い面もありますが、それよりも面白い面を伝える事が出来れば、業界の発展や若者の技術力向上にも繋がっていくと感じています。

(文責:濱田 俊一)

取材協力

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