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表彰工事

基本に忠実なコンクリート施工管理を実施。
産学官一体の取り組みで美しく良質のコンクリート構造物の実現

2016/11/29

成27年度山口県優良建設工事表彰を受けた「主要県道山口宇部線 単独道路改良(県道)工事 第2工区」。この工事を施工された熊野舗道工業株式会社 監理技術者の佐藤節也さんに工事の概要と工夫した点等を伺いました。

【工事概要】
工事概要 路体盛土、路床盛土、地盤改良工、函渠2基
工期 平成26年1月14日 ~ 平成26年10月31日
発注者 山口県防府土木建築事務所
受注者 熊野舗道工業株式会社
施工場所 山口県山口市佐山由良 地内
請負金額 90,219,960円
現場代理人 三好 由恭
監理技術者 佐藤 節也
工事内容をご説明ください。

主要地方道山口宇部線と宇部防府線の交差する「由良インター」の接続ランプ改築工事です。これまでは宇部方面のみのハーフランプでしたが、周辺の地域住民や産業団地に立地する企業等の利便性の向上や、広域交通ネットワークの構築による地域連携の促進などを目的としてフルランプ化されることになり、この工区では山口方面のONランプを新設しました。

今回の工事で特に重視したことはなんですか。

コンクリート打設の時期と勾配に関することです。

立木の伐採からとりかかり工事用道路を設けながら切土、盛土と、横断函渠を2カ所造りました。地質調査結果から函渠基礎の地盤対策が追加されたことで、函渠本体の施工が当初予定の3月から5月に延期となりました。この延期によって品質確保に特に重点を置く必要のある側壁、頂版及び翼壁のコンクリート打設時期が6月下旬から7月中旬となったため、7月以降のコンクリート打設については、暑中コンクリートとしての対策を行う必要がありました。

また、C-2号函渠については、函渠縦断勾配が8.76%と急勾配であったため、コンクリート打設時の生コンの流動対策として、スランプの管理に重点をおいて作業を行いました。

図1)C‐2号函渠構造

図1)C‐2号函渠構造

具体的にどのようなことを行いましたか。

まず、6月中旬以降に打設を行う箇所については、コールドジョイント防止のため、発注者の承諾を得てAE減水剤を標準型から遅延型に変更した配合としました。また、日中の気温が最高になる14時から15時までに打込みを終了できるように、生コンクリート製造工場と出荷時刻の調整を行うことで、打設開始時刻を約30分前倒しでき、15時以降から速やかにコンクリート養生を行えるようにしました。さらに、ひび割れ防止に有効な抑制対策として、発注仕様の誘発目地設置だけでなく補強鉄筋の追加を行いました。

図2)C‐1号函渠・C‐2号函渠 誘発目地配置図

図2)C‐1号函渠・C‐2号函渠 誘発目地配置図

山口県では「施工状況把握チェックシート」により、打設前の準備から養生までの各工程におけるチェック項目が定められています。これに記載されたチェック項目は本当に基本的な事ばかりですが、基本的な事項を遵守するということがコンクリート構造物の品質確保を行う上で、とても重要なことだと思います。

その他にも、当現場では沈みひび割れやPコンから発生するひび割れ防止のため、通常のPコンより25%程度、直径の小さいタイプを使用しました。これにより、躯体コンクリートへの欠損を小さく出来るため、沈みひび割れの防止だけでなく、縦方向にPコンからPコンへつながる、貫通ひび割れ防止にも効果がありました。

写真1)Pコンサイズの比較

写真1)Pコンサイズの比較

写真2)脱枠後の状態

写真2)脱枠後の状態

また、型枠底部及び型枠継目からのセメントペーストの漏れによって生じるジャンカを防止するため、シール剤により、型枠の隙間を充填しました。これにより、底版と側壁の打継ぎ目の仕上がりが良く、緻密なコンクリートが出来ました。

写真3)シール剤充填状況

写真3)シール剤充填状況

写真4)脱枠後の状態

写真4)脱枠後の状態

品質管理として、山口県のHPからダウンロードできる「コンクリート施工記録シート」を活用しました。まず、温度計測ですが、コンクリート温度を計測することは養生方法及び型枠解体時期の検討を行うための参考データとなるため、両カルバートとも、先に打設を行う1ブロックの頂版部に温度計センサーを設置しました。

コンクリート温度の計測期間は、打設日を含めて4週間、28日とし、打設日から1週間は朝・昼・夕方の1日3回、デジタル温度計により温度計測を行いました。温度計測の結果、コンクリート打設日の翌日に49.5℃の最高温度を記録し、それ以降、1週間で外気温と同程度まで降下しました。それ以降は、コンクリート温度が外気温の変動に同期するように推移していることがこのグラフから読み取れます。この結果から、以降の湿潤養生期間も1週間としました。

図3)コンクリート温度と外気温の測定結果(C‐1号函渠)

図3)コンクリート温度と外気温の測定結果(C‐1号函渠)

また、「施工状況把握チェックシート」や「コンクリート施工記録シート」を活用し、コンクリートの温度計測やひび割れ調査を実施することにより、打設時間の管理及び運搬台数の調整、ハンチ部分の打ち止め時間の検証、養生方法、期間の確認等を行いました。そこでチェックされた問題点を改善することで、ひび割れ抑制を意識した対応を行うことができ、次のコンクリート打設作業へフィードバックを行うことも出来ました。

写真5)完成後のC-2号函渠

写真5)完成後のC-2号函渠

この現場で新技術の採用はありましたか

函渠基礎部の地盤改良で採用したパワーブレンダー工法、バックモニター付きのバックホウや、クッションドラムと併せて使用した車両用保安防護体など、NETIS情報を参考にし、積極的に採用しました。

写真6-1)パワーブレンダー工法:セメントサイロ・プラント:(左)

写真6-1)パワーブレンダー工法:セメントサイロ・プラント

写真6-2)パワーブレンダー工法:攪拌混合状況

写真6-2)パワーブレンダー工法:攪拌混合状況

今回の工事で、苦労したことをお聞かせください。

函渠本体のコンクリート打設時期が梅雨時期となり、工程がこれ以上遅れると、梅雨明けの暑い時期にコンクリート打設を行うことになるため、週間天気予報や梅雨前線の動きを毎日チェックし、工事の進捗状況を見ながら、コンクリート打設日を決定することに、特に苦労しました。また、施工中もスマートフォンにより雨雲の動きを常に確認し、雨除けのシートなどを事前に準備して作業を行いました。

また、工事用道路をつける位置の近くには大きな通信用鉄塔が建っていました。さらに、その先の現地盤はらくだのこぶのような起伏があり、そこから盛土に使う土砂を1万㎥搬入する他に、鉄筋を積んだ大型トレーラも入れなければならず、工事用道路の位置づけが大変でした。その際、通信用鉄塔のそばを通らざるをえず、変位を起こしては大変な事になるので、鉄塔管理者と協議し、4箇所、反射シートを貼らせてもらい、トータルステーションにより動態観測を行いましたが幸い変位はありませんでした。

写真7)反射シート

写真7)反射シート

写真8)動態観測状況

写真8)動態観測状況

写真9)施工完了

写真9)施工完了

山口県のコンクリート構造物品質確保システムについてお聞かせください。

山口県では平成17年から、産学官一体でコンクリート構造物のひび割れ抑制対策に取り組んで来ました。その中で実構造物を対象とした試験施工が行われ、工事関係者が積極的かつ一丸となってコンクリート構造物のひび割れ抑制対策に取り組む協働体制が構築されてきています。

データベース化されたコンクリート施工記録などに基づくPDCAサイクルも確立され、施工者はもとより、発注者、設計者、製造者、それぞれの立場の方の品質確保に対する意識が変わってきたことを感じています。そして、現在ではその取り組みの成果が「コンクリート構造物品質確保ガイド」として集約され、広く活用されています。私自身も山口県主催の現場見学会などに参加し、様々な時期に造られたコンクリート構造物を見る機会がありますが、山口県のコンクリート構造物の品質が、この10年間の取り組みで格段に向上していることが実感できます。

評価されたのはどのような点でしょうか。

構造物の出来映えや品質確保に対する取り組みが評価されたことは、結果的なものだったと思っています。私は当時、由良IC安全衛生協議会の会長も兼務していましたので、隣接工区の現場代理人の方々と、合同で安全パトロールを実施したことや、地域住民の皆様への工事に対する理解を深めるために広報紙の配布を行ったこと、地域貢献として周辺の生活道路の清掃作業を行ったことなどにより、事故や苦情の発生もなく工事を完成できたことが評価された点だと思います。

今回の工事で、佐藤さんが学んだことはありますか。

常に基本に忠実に各工程を行うことが、最短で工事を完了させる最良の方法だということです。これは、重要構造物の築造工事だけでなく、どの工事にも言えることで、ちょっとした気の緩みや測量ミス、養生不足、脱枠・支保工解体時期の短縮などが、後から取り返しのつかない欠損や手戻りに発展する可能性があるからです。

佐藤さんが現場責任者を担当する際に日頃心がけていることや取り組んでいることをお聞かせください。
写真10)佐藤氏

写真10)佐藤氏

「ものづくりは人づくり」これは、私が現場を行う上で一番大切にしていることです。現場内はもとより、発注者と受注者のコミュニケーションにおいても、駆け引きではなく、お互いの信頼関係のもとに、一つのものを造り上げる意識を共有することが出来たなら、地域と未来に貢献する「ものづくり」ができるということです。

やはり、ものを造るのは人間です。お互いがお互いを信頼できる人間関係を築くことが、良いものを造るために一番大切なことだと思います。

これから現場代理人・監理技術者をめざす若手技術者にメッセージをお願いします。

私の師匠の受け売りですが、「NOと言える技術力」という言葉を贈りたいと思います。これは、ただ単にNOというのではなく、経験や実績に裏付けされた技術力により、工事をより良い方向に導く力を身につけて欲しいということです。

ただし、これには責任がつきまといます。その重圧を乗り越え、自分自身が納得できる仕事を完成させた時の達成感は、なにものにも代えられないものがあります。山口県のHPには、私を含め先輩達が過去に行った工事での、コンクリートの品質確保への取り組みが掲載されています。これらが、未来の現場代理人や監理技術者の方々に、少しでも役に立てればと思っています。

佐藤さんからは、良いものを造るために基本を忠実に行うと同時に様々な工夫をしていること、現場内外でのコミュニケーションを大切にすることを教えていただきました。

また、技術の伝承ということにも取り組まれており、山口システムで実践されたことを取りまとめ、県内の講習会の場でお話しをされているそうです。山口県HPに公開されておりますのでご覧ください。

(文責:CONCOM事務局)

取材協力
参照

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