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現場探訪 優れた工事成績評定の現場、話題の新技術、人材確保に役立つ情報をレポート

表彰工事

地盤改良等の大幅な設計・工期変更も、
発注者との連携で対応。
情報化施工(GNSS)も積極的に採用し、
工程・出来形管理も万全。
地域住民待望の堤防が完成。

2017/2/27

回の現場探訪は、平成28年度国土交通省近畿地方整備局の局長表彰を受けた「大川地区上流築堤工事」。この工事を受注された株式会社平和建設にて、当工事の監理技術者であり平和建設の代表取締役社長でもある國府久益さん、現場代理人・北川雅文さんに工事の概要と苦労した点、情報化施工への取組等についてお話しを聞きました。

【工事概要】
工事名 大川地区上流築堤工事
築堤盛土、地盤改良工(深層混合処理、中層混合処理)
発注者 国土交通省近畿地方整備局福知山河川国道事務所
工期 平成26年7月1日~平成28年3月30日
受注者 株式会社平和建設
施工場所 京都府舞鶴市大川地先
請負金額 717,951,600円
監理技術者 國府久益氏
現場代理人 北川雅文氏
Q 今回の工事の概要について簡単にご説明ください。
写真1)平成26年11月22日の堤防沈下の様子(写真提供:福知山河川国道事務所)

写真1)平成26年11月22日の堤防沈下の様子
   (写真提供:福知山河川国道事務所)

当初の設計では、平成26年7月~平成27年3月を工期とした日本海に注ぐ由良川の京都府舞鶴市大川地先の築堤盛土と植生工、側溝等の付帯工事、追加施工で深層混合処理を行うといったものでした。築堤工事としてはごく一般的なものだったと思います。

しかし、着工から4か月程経った平成26年11月22日に、同じ由良川の大川地区下流の近接する別の築堤工事現場で、施工中の堤防が約70mにわたり最大で約8m沈下する円弧すべりが発生しました。幸い人的被害・公共施設等への被害はありませんでしたが、地元の新聞にも取り上げられましたので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

弊社の工区も、すでに深層混合処理工を施工中でしたが、この沈下によって築堤工事が一時中止となりました。すぐに新たな土質調査が実施された結果、当初想定していた地盤定数よりも部分的に値が低い箇所があることがわかり、中層混合処理工など、地盤強化のための設計変更が行われました。

Q 設計変更された工事は、当初設計とは大幅に変更になったようですが、受注者としても戸惑ったのではないですか。
写真2)國府久益社長(監理技術者)写真2)國府久益社長(監理技術者)

そうですね。入札の際には、ごく一般的な築堤工事を想定していましたから。実際、設計変更の際には、発注者の福知山河川国道事務所より、「築堤盛土するためには、地盤強化などの追加対策が必要となるが、工期なども含め、築堤盛土が可能かどうか」といった話があり、“乗りかかった船”ではないですが、最後までやり遂げたいという気持ちが強く、新たに必要となった地盤強化も含め、引き続き施工させていただくことにしました。

また当該地区は、平成16年の台風23号、平成25年の台風18号をはじめ、過去から大きな洪水被害にたびたび見舞われ、工事着工時の平成26年も天候不順などもあり、しばしば施工予定現場が冠水し、排水作業が絶えませんでした。このような地域ですから、堤防の完成は地元の永年の悲願でも有り、今回の工事の開始時にも、住民の皆様から支援の声をいただいていたので、そうした地元の人の期待にも応えたいという思いもありました。

Q 地盤対策の検討によってどのような工法を採り入れましたか。
写真3)転石等の障害物

写真3)転石等の障害物

深層混合処理の工法としては、「CI-CMC」工法を選択しました。この工法は「NETIS」にVE登録されていますし、同じ大川地域での施工実績が多いこと、土質に合わせた改良材を使用して施工できることから弊社で提案させていただきました。結果、弊社が求める工程管理ができたこと、品質面でも所定以上の強度を確保することができたと思います。

また、事前測量で深層混合処理工位置を明示、数か所のボーリング調査を実施し、転石を除去しました。最終的に2,500㎥の障害物が出ましたが、これはスケルトンバケットを装着したバックホウで掘り起こし、運搬用のダンプを横付けして積載し、計量してすぐに仮置き場に運搬する流れを作って行いました。作業ロスなくスムーズに処理できたと思います。

Q 築堤工事の締固めの管理に「GNSS」を活用していますが、これは平和建設側から提案されたのでしょうか。

そうです。弊社では平成25年度に福知山河川国道事務所管内で築堤盛土を施工した時から「GNSS」を活用した締固めを導入しています。

Q GPS等の衛星測位システム「GNSS」を活用した情報化施工は、国土交通省の掲げる今話題の『生産性革命』の方針とも相まって、築堤工事の締固めの管理にも採り入れられていますが、導入経費や技能者の対応力といった点で、手を出せないでいる建設会社も多いと聞きます。コンコムの読者の中にも、興味はあるけどなかなか・・・という技術者がいると思います。すでに汎用的に使用している現場技術者として、導入のメリットや注意点などお聞かせください。

弊社では、品質確保を最重要視して、転圧完了箇所の過転圧防止と転圧不足箇所をなくすことを目的に導入しました。施工中の手戻りがほとんど無くなることでロスのない工程進捗が望め、施工管理も行いやすい事もあります。また、オペレーターも機内のナビゲーションで簡単に進捗を確認することができますので、作業効率も向上します。

確かに導入費用の負担は大きいですが、実施工で作業効率がよくなると言うことは、進捗率の向上、人件費の削減、工期の短縮等につながり、結果としては費用対効果の高い施工につながるのではないでしょうか。

実際に作業するオペレーターも、デモ施工を含めた説明会を約半日、実施工初日に再度操作方法の説明及び確認をする程度で、だれでも操作は出来ますから、2~3日で大丈夫。1週間もすれば一人前です。オペレーターの中には、パソコンはあまり得意ではないという人もいますが、画面を立ち上げた後は、タッチペンで操作するだけです。その日の施工箇所(測点)を選択すると、仕上がっている層厚まで表示してくれますし、次に施工する層を選択すると施工幅まで確認できます。

図1)締固め回数分布図

図1)締固め回数分布図

写真4)オペレーターの確認画面

写真4)オペレーターの確認画面

現場監理者の立場でも、施工側との意思疎通が出来て、打合せ等も時間短縮で行えます。また、施工順序についても同時に話が出来ます。こうした効率化は、感覚ではありますが一日あたり1.5時間の時間短縮につながっていると思います。タイトな工程管理をする上で、この1.5時間は非常に大きいです。

導入の際の注意点としては、基地局の設置場所の確認が重要です。基地局と現場の通信距離は、直線で約10kmまでとされていますが、山間部では障害も多いので、基地局から現地までの間に障害物がないか確認しなければなりません。障害がある場合は、現場付近の安全な場所に基地局を設置すると良いでしょう。またGNSS等のICT技術については、いろんなシステムがありますので、性能はもちろん、操作のしやすい、データの見やすい機種を選択することが重要です。

その他、初めて導入する際には、国土交通省からも管理要綱が出されていますので、確認することをお勧めします。

※参考:TS・GNSSを用いた盛土の締固め管理要領(平成24年3月/国土交通省)
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/kensetsusekou/it/jyouhouka/06ShimekatameSekoukanri_20120329.pdf

Q 「GNSS」に限らず、今後はさまざまな情報化施工の導入が進められていくと思います。
北川さん個人でも平和建設さんの方針でも結構ですので、今後、どのようなICT技術の導入に興味を持っていますか。
写真5)北川雅文さん(現場代理人)写真5)北川雅文さん(現場代理人)

MC(マシンコントロール)です。ブルドーザの排土板やバックホウのバケットを油圧制御することで、一定の仕上がりになりますから、非常に興味がある所です。「特定のオペレーターしか操作できない機械」から「概ねのオペレーターが操作出来る機械」への転換です。

現場監理者としては、新技術の講習等があれば、積極的に参加してスキルアップをめざしたいと考えています。1度の講習で理解できなければ、2度3度と参加して覚えることです。ICT技術の導入は、作業員の疲労軽減につながり、事故発生率も減少してくると考えていますので、積極的に取り組んでいきたいと思っています。

Q 今回の工事は、着工直後に近隣工区での築堤沈下による一時中止、大幅な設計変更等、工程管理は非常に大変だったことは想像できます。無事に工事を終えた今、何がポイントだったと思いますか。

発注者と施工方法や工程について、毎週のように確認できたことが大きいと思います。

福知山河川国道事務所の出張所長をはじめ建設専門官、事業対策官も頻繁に現場に入って、この工事に向き合っていただけました。工程の遅れや課題を即座に共有して検討し解決するため、毎週最低1回は大川地区関連の全ての受注者と発注者が顔を合わす「リカバリー会議」も建設専門官と事業対策官と私の3人で立ち上げました。この会議により現場の状況を現場で確認して即決断していただけたことは、工程管理の大きなサポートとなりました。

工事が中断していた期間に、梅雨・台風の時期を迎えましたが、発注者と全施工業者が集まり、出水期間中でも家屋への浸水被害を最小限に留めるため、昭和57年の台風10号時の実績河川水位(約5.8m)より高い位置まで土のうを積む緊急水防対策を行いました。こうした目に見える取組が、近隣住民との信頼関係につながり、理解と協力が得られたことも安全に工事を終えられた要因のひとつだと思います。

工期末の3月には、築堤の完成を祝う地元の記念植樹も当工区で行われました。

写真6)緊急水防護岸対策(大型土のうを積み上げ)

写真6)緊急水防護岸対策(大型土のうを積み上げ)

写真7)記念植樹の様子(写真提供:福知山河川国道事務所)

写真7)記念植樹の様子(写真提供:福知山河川国道事務所)

Q 最後に北川さんが現場責任者を担当する際に日頃心がけていることは何ですが、これから現場代理人・監理技術者をめざす若手技術者にメッセージをお願いします。

安全第一、健康第一です。

良い体調で仕事に臨むことで、事故率も軽減すると思っています。また、現場のルールをしっかりと決め、みんなでそれを実行することです。

現場は季節や天候に左右されやすい辛い時もありますが、ひとつの現場を完成させた時の喜びは何物にも代えがたいです。どんな仕事にも一生懸命に取り組んで、目標を達成してください。

まとめ

今回の取材で驚いたことは、地方の建設会社にも確実に情報化施工の波が広がっているということでした。国土交通省が提唱している「生産性革命」「働き方改革」が浸透することは、建設業の将来にとってとても意義のある動きだと思います。

また、北川さんが取材の中で土木のやりがいを話していた時の言葉

“土木の仕事は『Google Earth』に残る仕事ですから”

スーパーゼネコンのキャッチコピー「地図に残る仕事」と同様に、土木のやりがいと魅力をストレートに伝えられる言葉だと思いました。

(文責:CONCOM事務局)

取材協力

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