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現場探訪 優れた工事成績評定の現場、話題の新技術、人材確保に役立つ情報をレポート

表彰工事

急峻な巨石混じりの法面開削を
情報化施工で安全に実施、
大口径の場所打ち杭と精度重視の橋台施工

2017/5/30

回の現場探訪は、平成27年度国土交通省北陸地方整備局の局長表彰を受けた「妙高大橋架替下部工事」。この工事を受注された田中産業株式会社にて、土木部部長の池田一之さん、 当工事の現場代理人・高橋英之さん、監理技術者・瀧澤仁志さんに工事の概要と苦労した点、精度重視の構造物施工の取組等についてお話しを伺いました。

【工事概要】
工事名 妙高大橋架替下部工事
橋台躯体工(A2橋台)、場所打杭工(径2m、長さ20m) 9本、
道路土工 1,200m3、作業土工 6,500m3、法面工 1,100m2
発注者 国土交通省 北陸地方整備局 高田河川国道事務所
工期 平成26年10月23日~平成28年1月8日
受注者 田中産業株式会社
施工場所 新潟県妙高市大字熊堂地先
請負金額 180,144,000円
監理技術者 瀧澤仁志氏
現場代理人 高橋英之氏
Q 今回の工事概要について簡単にご説明ください。
写真1)土木部 池田 一之部長

写真1)土木部 池田 一之部長

昭和47年に国道18号妙高市大田切川に架設された妙高大橋(PCコンクリート橋)が、平成21年の橋梁補修工事の際に、PCケーブルの腐食・破断が見つかり、架け替える必要が生じました。長さ203mの2径間のトラス橋で、今回の工事は上越市側のA2橋台の構築となります、橋台には高さ7mのトラスが載る計画です。

大田切川の斜面が急峻で開削すると崩落しやすい地盤でした。斜面を慎重に開削して作業基盤まで掘り下げてからのオールケーシング工法による場所打杭(直径2m、9本)とコンクリート橋台、法面吹き付け等、工期は1年2ヶ月でした。

Q 今回の工事で苦労されたことは何ですか。

当初の発注計画では場所打杭を作業構台から施工していく予定でしたが、地山が相当固く、支持杭施工に時間がかかる、費用も嵩むこと、工期の問題、杭の空打ちも15mにもなり、精度の確保も非常に難しいといった問題でした。そこで発注者に構台を設けなくても可能な工事を提案することにしました。

Q 具体的にはどのような工事を提案されたのですか。

作業構台を設けずに工事を進めるにはどうしたらよいか、施工方法をいろいろ検討しました。急峻な地山を15m程開削していくにはどうしたらよいか、積雪時期に掘削工事に取りかかることや、礫混じり土であるため相当大きな礫があるのではないか。杭打ち機械の配置、工事用車両搬入路、鉄筋かごの組み立て場所は何処にするか等検討し、作業土工(1次掘削)で地山を8mほど下げて場所打ち杭作業ヤードを設けました。

検討時間と打合せに説明する資料も作り協議に約2ヶ月かかりました。施工方法の見直しと合わせ杭基礎は径2.5mの6本から径2mの9本に変更となりました。

地山の掘削には3DCADを利用して丁張りなしで施工しました、砂礫の大きさも数10センチ程度だと見込んでいたのですが、実際には3mほどの巨石が発生したため、掘削面を崩さないよう、破砕処理しながら掘削を行いました。

杭の施工も直径2mのオールケーシングで、杭径以上の岩もあったのですが最新式のハイパワー型全周回転掘削機を使用したことにより、時間がかかりましたが掘削を行うことができました。

写真2)1次掘削状況

写真2)1次掘削状況

写真3)場所打ち杭施工基面

写真3)場所打ち杭施工基面

Q 表彰理由のひとつとなった精度の高い現地測量について説明してください。

現場の地質は妙高山噴火に伴い体積した砂礫の多いもので、ボーリング結果でも現地盤から1mでN値20と硬い地盤であり、木杭(きぐい)による丁張り設置が困難でした。砂礫混じりの地山で法面の切り直しがきかない土質で、冬季の施工で1日に50センチも雪が積もるようなところなので、日々丁張りかけることもできない、曲線と小段もある形状でした。そこで、情報化施工技術に着目し、起工測量した基準点座標、変化点座標のCSVデータを基に、3次元測量データ(3D)を作成しました。マシンコントロール用自動追尾トランシットと全方位プリズム・コントローラーを丁張り代わりに、一人の職員とオペレータでリアルタイム測量を行うことが可能となると共に丁張設置の必要もなくなりました。作業性も良く、切り土の精度も向上しました。

写真5)マシンコントロール用3次元測量データ(3D)

写真5)マシンコントロール用3次元測量データ(3D)

写真4)施工ヤード内

写真4)施工ヤード内

写真6)マシンコントロール用自動追尾式トランシット(SPS930)・全方位プリズム・コントローラー
写真6)マシンコントロール用自動追尾式トランシット(SPS930)・全方位プリズム・コントローラー

写真6)マシンコントロール用自動追尾式トランシット(SPS930)・全方位プリズム・コントローラー

写真7)リアルタイム測量実施状況

写真7)リアルタイム測量実施状況

Q 杭と橋台構築で新技術など対応したことは何ですか。
写真8)無溶接(ゼロ溶接)金具「ゼスロック」使用状況写真8)無溶接(ゼロ溶接)金具「ゼスロック」使用状況

道路橋示方書の改定により鉄筋組立においては、溶接による組立は鉄筋の断面欠損・品質変化を招くことから一切してはいけない事となりました。本工事においても適用されており場所打杭工の鉄筋かご組立では無溶接工法で組立を行いました。前の現場でゼスロック(NETIS登録KT-120088-VE)という組み立て用の無溶接金具を使った経験がありましたので今回も使いました。示方書改定前の溶接鉄筋かご組立と同等に堅固に組立を行うことが可能でありましたし、近年では鉄筋かごを組む熟練者が少ないと言う状況ですが、この工法を使用したことにより組立作業が容易となり熟練者が少なくても鉄筋かごを組み立てることが可能となりました。

写真9)止水性ひび割れ誘発目地材トリガージョイント写真9)止水性ひび割れ誘発目地材トリガージョイント

橋台の壁部は、温度応力解析をもとに、誘発目地としてトリガージョイント(NETIS登録CG-080014-VE)を2カ所設置しました。ひび割れは数本発生しましたが、最大ひび割れ幅を有害ひび割れとされる0.2mm以下に抑えることができ効果がありました。コンクリート打設は秋で、型枠点検・清掃・打設管理・養生等、基本的なことを確実に行うことで品質の良い橋台を作り上げることができました。

また、橋台は支承部箱抜き箇所の施工規格値は厳しいので、箱抜きは紙製ボイドでなく鋼製円型型枠を使用しました。鋼製円形型枠を使用することにより堅固に固定することができました。コンクリート打設時の変位もなく出来形精度の向上につながりました。

Q その他、今回の工事で工夫されたことはありますか。
写真10)仮設水汲み場設置状況写真10)仮設水汲み場設置状況

作業ヤード法面下の北国街道は、掘削作業中の落石等が懸念されたため通行止めを行いましたが、通行止め区域内に山菜採りなどで立ち入る人が予想されたため、万が一の落石に備えて大型土嚢を積み対応しました。ゲリラ豪雨等の雨水対策には現場の雨水が下の市道に流れるように、法面にパイプを這わせて流末対策を行いました。

通行止めした市道に、わき水「大田切清水」がありましたので町内会長さんと相談し、工事中もわき水が利用できるように自動ポンプを設置し配管をして仮設水汲み場を作り対応しました。工事完了時には町内会長さんからも感謝されました。

Q 高橋さんが現場責任者を担当する際に日頃心がけていることなど教えてください。
写真11)高橋英之さん(現場代理人)

写真11)高橋英之さん(現場代理人)

まず無事故で現場を完了させることが第一条件だと思っています。出来ばえ・品質の良いものが出来上がったとしてもたった一つの事故でその成果はゼロになってしまうと日ごろから経営者より言われています。

当たり前のことですが、日々変わる作業環境に対応できるよう現場に常駐して安全管理・品質管理に取り組むようにしています。また、作業員の方にやってもらうというよりも一緒に造り上げるということを意識して現場管理を行っています。

Q 瀧澤さんから監理技術者をめざす若手技術者にメッセージをください。
写真12)瀧澤仁志さん(監理技術者)

写真12)瀧澤仁志さん(監理技術者)

一つの現場に従事して、現場代理人・監理技術者として無事故で工事を進めていく上で、大きな責任が伴いますが、多くの人たちとの繋がりがあり、協力業者の方たちと造り上げた構造物が完成した時には、充実感と達成感を得ることができます。

最近は、生産性向上としてICT等新しい技術が導入されていますが、若手の皆さんは柔軟に吸収する力があるので、大いに活用し活躍できると考えています。 これからの建設業を一緒に盛り上げて頑張っていきましょう。

まとめ

新しい妙高大橋ということで注目されている中、最新の測量技術、杭基礎の施工方法、地元協力など現地条件を克服しながら、急斜面に大きな橋台を安全に造りあげた池田さん、瀧澤さん、高橋さんの経験談を伺わせていただき参考になりました。

(文責:CONCOM事務局)

取材協力

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