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表彰工事

山中湖畔沿いに木製デッキのサイクリングロード
整備、観光客に対する安全配慮、地元ボート業者
との工事調整に万全を期して完成

2017/8/30

回の現場探訪は、平成28年度国土交通省関東地方整備局の局長表彰を受けた「山中湖自転車歩行者道設置その5工事」。この工事を受注されたタカムラ建設株式会社にて、専務取締役の堀内靖さん、当工事の現場代理人・監理技術者の高村正光さんに工事の概要と苦労した点、安全を第一にした施工の取組等についてお話しを伺いました。

【工事概要】
工事名 山中湖自転車歩行者道設置その5工事
工事概要 自転車歩行者道設置162m
桟橋下部工、上部鉄骨構造、木製デッキ、擁壁工、坂路工
発注者 国土交通省 関東地方整備局 甲府河川国道事務所
受注者 タカムラ建設株式会社
工期 平成27年3月24日~平成29年3月31日
施工場所 山梨県南都留郡山中湖村山中地先
請負金額 244,620,000円
監理技術者 高村正光氏
現場代理人 高村正光氏
Q 今回の工事概要について簡単にご説明ください。
写真1)堀内靖専務取締役

写真1)堀内靖専務取締役

富士箱根伊豆国立公園内に位置する山中湖畔には湖岸約14kmを一周する自転車・歩行者道が計画・整備されてきました。当工事は湖畔を通る国道138号沿い2kmの事業区間のうち昨年度まで完成した場所から、約160m延伸した区間の工事です。ここには遊覧貸しボート業者さんが使っている桟橋が3箇所あり、また工事区間沿いに来訪者用の駐車場が隣接しています。湖面側に片桟橋型で木製デッキプレートの自転車歩行者道を整備し、緊急車両が国道から砂浜に下りられるように坂路を1箇所設けました。

Q 自転車歩行者道に木製デッキを使った理由はどのようなことですか。

砂浜沿いに湖上にせり出すように自転車歩行者道を造りました。水辺で環境のよいところなので、景観への配慮と湖積阻害の対応などから景観検討委員会が設置され、片桟橋型式、床材は木製デッキで設計したと聞いております。 

Q 構造はどのようなものですか。

湖岸の既設擁壁を下幅1.1m、天端幅0.55m、高さ2m前勾配4分の増厚コンクリートで連続154m施工、天端に湖面側へ鉄骨横桁を6mピッチで張り出しました。片桟橋の支柱は擁壁から3m前面の位置に6mピッチで建て、幅2m、長さ3m、厚さ0.5mのフーチングコンクリートで支えています。湖岸の「白龍の松」を守るため9m幅に拡幅した44mの区間は橋構造です。ここは支持力が足りないので鋼管杭(杭径600mm、杭長さ7m)を基礎にしています。水面に建つ鋼製支柱は防食のためコンクリートで巻き立ててあります。片桟橋の支柱は18箇所、橋構造の支柱は20箇所あります。支柱を鉄骨フレームでつなぎPC床版を載せて、床面は木製のデッキプレート、防護柵はワイヤー式で展望阻害にならないようにしています。

図-1)標準断面図

図-1)標準断面図

写真2)着手前の写真

写真2)着手前の写真

写真3)木製デッキと防護柵(湖岸側から撮影)

写真3)木製デッキと防護柵(湖岸側から撮影)

写真4)木製デッキと防護柵(湖岸側から撮影)

写真4)木製デッキと防護柵(湖岸側から撮影)

Q 各工程の工夫について教えてください。

掘削工:増厚コンクリート、フーチングを造るため、湖面際を2m程掘削しました。大型土のうで水切りをしましたが、水面下で地下水も有るため水中ポンプで常時排水することになりました。

写真5)湖面水を大型土のうで水切り

写真5)湖面水を大型土のうで水切り

写真6)掘削底面と排水状況

写真6)掘削底面と排水状況

コンクリート工:増厚工の基礎は砕石敷きですが、地下水がにじみ出て型枠の墨出しが出来ず、発注者と協議して無筋コンクリート15cm厚への変更を承諾してもらいました。
既設擁壁の増厚は、前面側の型枠を建てるには背面の型枠が無いため、通常のセパレータで型枠固定は難しく、専門の業者さんと相談し既設擁壁に突き刺したアンカー鉄筋を掴む金具を取り付けて、そこからセパレータで型枠をセットしました。また、曲線区間の型枠は天端の長さと底面の長さが異なるので精度よく組み立てるのに苦労しました。

写真7)アンカー鉄筋を掴む金具とセパレータ

写真7)アンカー鉄筋を掴む金具とセパレータ

写真8)増厚コンクリート型枠組立

写真8)増厚コンクリート型枠組立

生コンクリートは現場から5分程度の所にある自社プラント工場を使いました。冬季のコンクリート打設では工場側でも温水を使ってコンクリートを練り、温度低下に対応しました。現場と自社プラントが近いことはとても有効だったと思います。

曲線区間の出来型:工事区間160mのうち半径160mの曲線区間長が130m、直線区間長が30mで、曲線区間の割合が約8割もあります。特に曲線区間では鉄骨フレームを正確に架設しなければならないため支柱の位置・高さ、擁壁天端の桁受け支承部など測量は何回も行い出来型管理基準・規格値に注意しながら施工しました。

特に「白龍の松」の拡幅場所では、支柱基礎であるφ600㎜の鋼管杭と防食用コンクリート(400㎜×400㎜)が施された支柱とが50㎜以上ずれてしまうと鉄骨の組立が不可能になってしまうため、1本毎に打設前、打設中、打設完了時に測量を行い施工しました。また鋼管杭の打ち込みはバイブロハンマーで行うことから、鋼管杭を打込み過ぎてしまうことが懸念されたため、発注者と協議を行い、設計より500㎜長い鋼管杭を使用して打設完了後に所定の高さで杭頭部を切断し基準高の精度の確保を行いました。

写真9)曲線仕上げの増厚コンクリートとフーチング

写真9)曲線仕上げの増厚コンクリートとフーチング

写真10)曲線の鉄骨フレーム

写真10)曲線の鉄骨フレーム

Q 木製デッキの施工状況について教えてください。

曲線区間での木製デッキの施工は、事前にPC床版に中心線及び基準の横断線の墨出しを行った後に外周長さと内周長さを確認し、木製デッキの部材の端部の幅の寸法を曲線に合わせて加工した材料を使用しました。

木製デッキは非常に固いハードウッドを使用しました。根太材に固定するねじ穴は先に穴開けをする必要があり、そのぶん大工さんの手間はかかりましたが、この木はささくれもトゲもできない特徴があり利用者の方も安心して通行できると思います。

写真11)木製デッキ墨出し

写真11)木製デッキ墨出し

写真12)根太材設置

写真12)根太材設置

写真13)デッキ張り

写真13)デッキ張り

Q 今回の工事で苦労されたことは何ですか。

 工事箇所は山中湖を展望する場所で大型観光バスが次から次と来られる状況でした。海外からの旅行客も多く、日本語だけでなく英語、中国語の表記の立ち入り禁止テープを使用するなど安全管理に重点を置きました。しかし展望のよい場所なので立ち入り禁止区域に入って写真を撮る人も少なくなく、常に注意していなければなりませんでした。

写真14)英語、中国語 注意表示

写真14)英語、中国語 注意表示

写真15)英語 立ち入り禁止テープ

写真15)英語 立ち入り禁止テープ

写真16)高村正光さん(監理技術者)

写真16)高村正光さん(監理技術者)

工事区間には3軒の貸しボート業者さんがあります。工事を円滑に進めるために毎日廻って工事区間、日数を説明し、迂回路を設けることなどの要望を聞き取り、施工ヤードのことなどで協力をしてもらいました。話しをしていくなかで、自転車歩行者道を設けることで貸しボート桟橋に行くことが出来なくなるという問題が見つかりました。これに対しては機能補償をしなければならないため、桟橋の設置場所、構造など、貸しボート業者さんの要望を聞いて事務所と調整を図り了解をいただきました。

また、工期の最初の段階で「白龍の松」の対策が必要なため、事務所で検討を行うこととなり、この区間は一部一時中止となりました。修正設計と河川協議の結果、松を迂回するため歩道幅も拡げて片桟橋から橋型式となりました。一時中止解除後は鋼管杭の確保や施工段取りもタイトで、坂路の護岸ブロック積擁壁など工事量が多いこともあり、この区間の工程管理は厳しかったです。

Q 高村さんが現場責任者を担当する際に日頃心がけていることなど教えてください。

お客様の要求している事を把握して、常に使用する人の事を考えています。 また、より良いものを完成させるために、周りの人たちと色々意見を出し合いながら楽しく仕事をすることを心がけています。

Q 高村さんから監理技術者をめざす若手技術者にメッセージをください。

建設業は世界に1つだけの物を創る仕事です。将来自慢することができるモノづくりをしてください。

工事中は外国人観光客に大変気を使ったこと、地元ボート業者さんに日々訪問し、工事協力していただき完成させたことなど教えていただきました。取材したおり湖岸沿いの完成した区間を歩いてみましたが、国道沿いを湖面を見ながら安心して歩くことができました。木の感触は柔らかく眺望も遮られず景色を楽しむことができ、高村さんはじめ工事関係者の方々の努力のおかげでよい道ができたと思いました。

関東地方整備局HPに、現場で活躍されている技術者さんを紹介している「技術者スピリッツ」コーナーがあります。第77話に高村さんの記事がありますのでご覧いただければと思います。

(文責:CONCOM事務局)

取材協力
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