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現場探訪 優れた工事成績評定の現場、話題の新技術、人材確保に役立つ情報をレポート

表彰工事

公園利用者の安全に最大限配慮しつつ、
並行するさまざまな他工事の工程を調整し、
工期中の無事故を達成。

2018/02/27

回の現場探訪は、平成29年度国土交通省九州地方整備局の局長表彰を受けた「平成28年度 国営海の中道海浜公園維持管理工事」。この工事を受注された株式会社 九州緑化産業にて、当該工事の現場代理人・友清晃さん、監理技術者の伊藤敏夫さんに工事の概要と公園維持管理工事における安全対策等についてお話を聞きました。コンコムの現場探訪では、造園業種の表彰工事を取材するのは今回が初めて。造園関連の技術者のみなさんには、ぜひ参考にしていただきたいと思います。

【工事概要】
工事名 平成28年度 国営海の中道海浜公園維持管理工事
工事内容 樹木剪定、枯損木・高木伐採、機械除草、除草剤散布、基盤改良、チップ化、樹幹注入、止水工、舗装工、区画線工 一式
発注者 国土交通省九州地方整備局 国営海の中道海浜公園事務所
工期 平成28年4月1日~平成29年3月31日
受注者 株式会社 九州緑化産業
施工場所 福岡県福岡市東区大字西戸崎(海の中道海浜公園内)
請負金額 125,928,000円(税込)
監理技術者 伊藤 敏夫氏
現場代理人 友清 晃氏
Q 今回の工事の概要について簡単にご説明ください。

海の中道海浜公園は、東西に約6km、面積約300haにおよぶ広大な敷地を有する国営公園です。プールやキャンプ場、フラワーミュージアム、動物の森等、一年を通してたくさんの来園者が訪れます。今回の工事は、そうした広大な敷地において、国営公園の公園管理センターが管理している部分を除くエリアの維持管理を行う工事となります。工事内容も、樹木剪定から枯損木・高木伐採、除草といった樹木・草木の管理から、園路の整備まで、多種にわたる作業を行います。

図1)海の中道海浜公園マップ(国営海の中道海浜公園ホームページ)

図1)海の中道海浜公園マップ(国営海の中道海浜公園ホームページ)

国営海の中道海浜公園ホームページ
https://uminaka-park.jp/
国営海の中道海浜公園マップ
https://uminaka-park.jp/cmn/pdf/park_map_all.pdf
Q 公園の維持管理工事と土木や建築工事の違いは何でしょう?

土木工事や建築工事は、構造物の完成というゴールに向けて作業を積み上げていくものですが、公園の維持管理工事は、カタチのある完成というゴールはありません。もちろん、一年という工期の中で、計画された作業を確実に終了させるというゴールはありますが。特に国営公園のような広大な敷地を有する公園維持管理工事では、いかに適切に、効率よく整備を行うかがポイントになります。このため作業場所や作業内容も、気象状況や他業者の作業進捗等によって、常に変更を加えていくことが求められます。またその間、作業現場のすぐそばに、常に一般の公園利用者がいるという点も、土木・建築工事とは違います。ですから、作業員を事故から守ることに加え、利用者の安全対策も公園維持管理工事の大切なポイントではないでしょうか。

Q 今回の工事で特に重視したこと、注意したことは何でしょうか?
写真1)樹幹注入作業

写真1)樹幹注入作業

当公園は海に面し、景観の優れた場所にあります。今回の工事でも、一年を通して訪れる来園者がその景観を楽しめるようにすることを第一に考えました。枯損木や支障枝の伐採、老朽化した看板を見やすく建て直す等、来園者目線の景観整備に配慮しました。また、松林の景観を維持するために、松枯れを防ぐマツの樹幹注入作業も行いました。10年ほど前に、害虫が発生して、多くのマツが枯れてしまった時には、せっかくの緑が茶色に変色してしまうことがありました。松枯れは景観を著しく損ねることになりますので、樹幹注入には多くの時間を割きました。さらに園内には、外来種の樹木「ニセアカシア」が数多く繁殖していて、これらの抑止対策として、約1000本を伐採しました。
さらに、園路の歩きやすさ、案内板の配置等も来園者目線で観察し、見通しの悪い箇所の改善、案内板の表示の改善も行いました。

Q 工事期間中の公園利用者の安全管理が必須かと思いますが、工期中、どのような対応で利用者の安全確保や事故防止を行ったのですか?
写真2)消防署を招いての訓練

写真2)消防署を招いての訓練

基本的には来園者の利用していない区域で作業を行いますが、重機や工事車両等の移動の際には、利用区域を通る必要がありますので、特に子供やお年寄りの来園者には注意しました。また、移動のスピードが速い自転車利用者は、想定外の動きをすることもあるため、作業員全員で注意を払いました。おかげさまで、一年という工事期間中、事故やトラブルもなく工事を終えることができました。
夏場の「サンシャインプール」オープン期間は、シャトルバスも園内を通行するため、工事車両に走行規則の順守を徹底するとともに、来園者にもこちらから積極的に挨拶や声がけをすることで、作業中であることを認識していただけるように努めました。
また最近は、九州でも自然災害が多く発生しているため、日ごろの安全訓練に地元の消防署を招き、公園内で事故が発生した際の消防への連絡方法の確認、ケガ人への対処方法等を学び、万一の事故発生に備えた準備を行いました。

Q 工期中に想定外のトラブル等はありましたか。またその対策としてどのような対応をとられましたか?
写真3)伊藤 敏夫さん(監理技術者)

写真3)伊藤 敏夫さん(監理技術者)

写真4)TACCS工法を用いた止水処理

写真4)TACCS工法を用いた止水処理

平成28年の4月に発生した「熊本地震」は福岡でも震度5を記録しました。この地震の影響で、「マリンワールド(アクアリウム)」の地下に埋設されているボックスカルバートの継ぎ目がズレ、毎分80リットルの漏水が発生してしまいました。弊社では、過去このような事例に対応した実績が乏しく、社内において対応策を検討するとともに、事務所からもアドバイスをいただきながら、いかに早く、確実な止水ができるか、またマリンワールドの運営に影響がないか等を考慮し、『薬液注入』を行いました。結果的に、漏水は止まり、現在も正常に稼働しています。地震という想定外の事象によるトラブルではありましたが、弊社にとっては、非常に意義のある経験であったと思います。

参考資料
Q 工期中に他の整備工事も多数行われていたと思います。そうした他工事との調整等でご苦労はありましたか?
写真5)友清 晃さん(現場代理人)

写真5)友清 晃さん(現場代理人)

写真6)安全対策会議

写真6)安全対策会議

工事期間中には、私たちの維持管理工事とは別に、施設の改修や整備、設備改良等、さまざまな工事が進められていました。多い時には10以上の業者が作業をしていたと思います。そうした中、安全対策の代表として関係業者をとりまとめるため、弊社の伊藤をリーダーに、私、友清が事務局を務め、関係業者を集めた安全協議会や安全パトロールを行いました。現場に新規入場してこられる業者には、その都度、連絡をとるなど、事務局としての仕事にもかなりの時間を費やしました。
また、業者ごとに管理している工程を、インターネット上の共有フォルダに掲示して、他の業者が今日、どんな工事を行うのかを把握し、作業ロスを少なくする工夫をしました。例えば、Aという業者の作業によって、Bという業者の作業動線となる園路が通行できないことがわかっていれば、事前に両社と協議して、作業場所の変更を検討していただいたりすることもできます。こうした安全管理や工程の進捗・変更については、毎日のように発注者に報告しました。自社の工事管理だけでなく、各工事業者との調整も事務局として重要な役割でした。

Q 友清さんが現場責任者を担当する際に日頃心がけていることは?

作業内容に合わせて、常に少しでもケガを負うリスクを減らすように考えています。高木の剪定作業のような高所作業だけでなく、目の前の作業にどんな危険が隠れているか。どうしたら事故やケガを防ぐことができるか。作業の前に必ず担当作業員と打ち合わせをし、一日を無事故で終えて帰宅してもらえるように心がけています。

Q これから現場代理人・監理技術者をめざす若手技術者にアドバイスがあれば

今後も建設業界では高齢化が進むと思います。若手が熟練の年輩者に指示をする際にも、どうしても遠慮がちになってしまいます。しかし、そうした遠慮が後々のケガや事故につながる可能性もあります。「あの時、指示しておけば良かった」と後悔しないように、遠慮せずに話し、また逆に年輩者の意見を聞くことによって、事故が未然に防がれることもあるはずです。現場に関わるすべての人とのコミュニケーションこそ、安全な作業への第一歩だと思います。

おわりに

今回、表彰工事としては初めて、造園工事を採り上げました。特に「海の中道海浜公園」のような国営公園は、敷地も広く、また工事期間中も来園者が施設を利用するケースが多いため、工事関係者だけでなく、一般の方への安全配慮が大変だと感じました。 一番驚いたのが、今回の工事の現場代理人を務めた友清さんは、入社当初は営業職に就いていたそうですが、あるきっかけで現場に出ることに。そこから実務経験を積んで、造園施工管理技士の資格を取ったそうです。学歴要件ではなく、実務経験で受験資格を得て、監理技術者として活躍する。友清さんのケースは、その成功事例でもあると追記しておきます。

取材協力・資料提供
国営海の中道海浜公園ホームページ

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