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建設ツール

建設・配管用工具工場見学

2013/02/21

設現場で職人さんの技術を支える「工具」の製造工場を紹介します。工具といってもその大きさや使用シーンなどは様々ですが、今回紹介する株式会社松阪鉄工所(以下MCC)さんが製造するのは、鉄筋を切ったり曲げたり、配管の継手を締めたり、樹脂のパイプを切ったりする作業用工具です。私はこれらの工具の仕上がり(商品)を拝見して、ある程度部品を集め、流れ作業的に加工したり組み立てているのだと想像していました。でも実際に工程を見せていただくと、鉄の塊から商品になるまで、じつに多くの工程を熟練の手によってひとつひとつ手作りされていました。とくに、対象物を切ったり掴んだりする鉄の部分の製作工程では、もともと大正時代から続く、鋳造所だったMCCさんならではのこだわりを随所に感じることができました。

工具のバリエーションと用途

  • 鉄筋を切る工具。MCCが日本で高いシェアを占め、現在も主力の商品です
  • 水道やガスの樹脂製の管を切るカッター。かつてはノコギリで切っていたガタガタの切り口も、この工具により切粉を出さずにスパッと直角で滑らかな切り口が実現しました。
  • 六角ナットを回す工具。工具を挿し替えなく反復運動することで六角ナットを早く締め付けできます。
  • 水道管やガス管など、継手の締め付け用工具。配管の太さによって口開きが調節できる仕様になっています。

鉄筋を切る、曲げる工具。ボルトクリッパと併せて、ビルの建設現場で必ず使われる工具です。

工場豆知識① ライフラインの材質に合わせて工具も対応。

エンビカッタは、かつて「水道管といえば鋼管」だった時代から移り変わり、塩ビの水道管が普及し、1970年代にMCCが塩ビ管切断用として国内で最初に作った工具です。またポリエチレンカッタは、地震に強く柔軟性のあるガス管が求められ、素材がポリエチレンに変わったことから開発された工具で、阪神淡路大震災後に需要が増えました。まさに、様々な時代のニーズが新しい工具を生んでいます。

製造工程

鋼材

棒状の鉄(鋼材)を工具の鉄部分の大きさに合わせて一定の長さに切り分けます。
材料である鉄は、一流鋼材メーカーから仕入れた良質なものだけを使用しています。鋼材の品質にこだわるのは、含有する炭素が少なかったり、ニッケルが多いなど成分が不安定だと、常に同じ条件で熱処理を施しても品質の異なるものが出来てしまうからだそうです。

鋼材メーカーから納品された長い鋼材と切り分けられた鋼材。

加熱

切り分けられた鉄の棒が炉に運び込まれ、約1000℃以上の高温で加熱し、鉄を柔らかくしていきます。
炉の中に一本一本寝かされ、約15分ほど加熱されます。

鍛造(型抜き)

熱く焼かれた真っ赤な鉄をハンマーでプレスし、成形と同時に鍛錬することで材料の性質を向上させます。この工程では、鉄工所らしいガンッ!ガンッ!という大きな音が鳴り響きます。このあと、製造する工具に合わせた型で型抜きしていきます。
熟練の職人さんがリズムよく鉄を打ち、棒状の鉄はあっという間に成形されます。

金型に抜かれて出てきた鉄はまだ真っ赤な状態。しばらくするとすぐに鉄色になります。

工場豆知識② 金型も自社で製作。その型は約350種類。

工具の鉄の部分(刃やハンドル)の金型は、用途によって形や大きさが異なる全ての製品に対応するため、約350種類以上あります。それら全ての金型を自社で製作し、金型が摩耗しても修復(レシンク)も自社で行っています。


  • ラチェットレンチの本体部分。

  • パイプレンチの上あご部分。
焼鈍(焼きなまし)

鍛造された鉄(工具の鉄部分)を金属組織に歪みのない軟らかい状態にする工程で、温度を上げた丸い炉の中で3時間保持し、一日かけてゆっくり冷まします。
丈夫で安定した鉄に仕上げるための焼きなましの炉。

工場豆知識③ 鉄を鍛えるひと手間「焼鈍」。

中国製などの安価な工具が増える中にあって、一流メーカーの良質な鋼材を使うことと同様に、丈夫な工具を作るために譲れないのがこの焼鈍の工程だそうです。鉄を焼きなますことで明らかに組織が安定化し、結果的に刃こぼれや磨耗が防げるので多少価格が高くても現場の職人さんに長く愛されているのだそう。

切削加工

加工は鍛造だけでは施せない刃の切削や、歯の加工(対象物をしっかり掴むためのギザギザ)、穴開け、ハンドルの取り付けなどを行う工程です。
ギザギザの歯にするため、鉄のカッターが削っていきます。かけられている液体は切削液とよばれる油で、これをかけることで鉄同志が強くこすれあう時に帯びる熱を冷まします。

コーナーレンチの本体に施された歯の加工。

ボルトクリッパの本体部分とハンドル部分の接続、さらにハンドル部分にわずかな曲げも施しているところです。

焼入れ、焼戻し

ここで鉄の強度が必要な部品については、800~850℃に加熱した後、急速に冷却して焼入れを行います。さらに適切な温度に再び加熱し焼戻しを施します。最適な焼入れ、焼戻しを行うことで鉄に必要な強さと耐久性が得られます。
高温で熱せられて出てきたボルトクリッパの刃の部分。

表面処理

洗浄液や黒染め液などの薬品が入ったプールに浸けられ「黒染め」を施します。これは
錆びないようにするための表面処理です。また、持ち手などのデザインとして、赤や黄、青などの色に塗装します。塗装は「静電塗装」と呼ばれ、静電気を帯びた塗料を吹き付け、製品に塗料が吸い寄せられる無駄のない方法です。

  • パイプレンチの黒染め前と後。
  • エンビカッタの塗装前と後
研削加工

より切れ味が求められるエンビカッタなどの刃のみ、手作業で刃先の研削加工が施されます。
カッター類の刃先の精度は、熟練の職人さんの腕の見せどころです。

組み立て・梱包

すべての加工を終えると、全パーツを揃えて組み立てに入ります。組み立てというと、大量に流れ作業で行うイメージですが、MCCさんでは、パーツの接合や、ネジ締め、グリップの取り付け、検査まで、すべてを高い技能を持った一人の工員さんが一貫して組み立てます。さらに、パッケージラベルを貼り、箱詰めも同じ工員さんが行います。

  • ボルトクリッパの部品と組み立て。1番下は完成品。
  • コーナレンチの部品と完成品

工場豆知識④ 欠品の無いようにする生産システムと、一人で最後までの組立ライン。

商品アイテム数が約800種類にも及ぶMCCさんでは、同じ製品を毎日作っているわけではなく、どの製品も常に決められた数のストックを保ち、在庫が減った数だけ(売れただけ)作っておくという生産の方法をとっています。過剰在庫を持たず、ひとつひとつ丁寧に作りたいという考えもあるからだそうです。また、組立から梱包まで一人で行うのも、多品種少量生産でお客様にタイムリーに商品を提供するためだからです。

エピローグ

まさに建設や土木の現場で、工具は職人さんの片腕といっていいでしょう。かつてそれをよく心得た職人さんはその機能を最大限に生かしつつ、丁寧に扱い、手入れをし、年季の入った工具を使っていました。しかし、どうしても壊れてしまった時には修理に出します。
もちろんMCCさんも修理や刃の交換など、アフターサービスはしっかりと対応してくれます。そんな長く使える工具であることが、MCCさんの、もっと大きな表現をすれば、「Made in Japan」の工具の良さなのです。
工具が様々な工程でたくさんの技術によって手作りされていることを知ると、ぜひ建設現場の方には、自分の大切な工具をより一層大切にしてほしいと強く感じました。

取材協力

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