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建設関連設備リポート「簡易トイレ」

2013/04/22

設現場では、さまざまな簡易設備は設置されています。その代表的なものが「簡易トイレ」です。簡易トイレは、イベント会場や被災地など建設現場以外の利用も多く、非常に需要が高い設備になっています。建設技術者にとっても欠かせないものの一つですが、その機能についてはよく知られていません。そこで今回の「現場探訪」では、全国有数のものづくり県として知られる静岡県で簡易トイレの製造・販売を手掛ける株式会社ハマネツと、グループ会社でリースを主軸とするべクセス株式会社の両社のご担当者をお訪ねし、知っているようで知らない「簡易トイレ」についてレポートします。

現場でのニーズは「水洗式を快適に使いたい」

建設現場に必須の設備である簡易トイレですが、その歴史を教えてください。

松田大勢の工事人が出入りするゼネコンの現場では昔から簡易トイレを設置していましたが、宅建業界でトイレを常設するようになったにはここ20年くらいでしょうか。それ以前は用を足したくなったら近くの公園やスーパーのトイレを借りる、といったやり方でした。簡易とはいえ、設置すれば、それだけ建設コストに跳ね返りますからね。しかし、近隣対策などで設置が推奨されるようになり、今ではどんな小さい現場でも簡易トイレが設置されるようになりました。

建設現場でのニーズはどうでしょうか。

永井現場でも、室内と同様に水洗トイレで快適に使いたいというニーズはかなり高まっています。弊社の12年前の簡易トイレの洋式の製造出荷率は20%台でしたが、現在は40%になってきました。常設トイレでは60%が洋式です。

簡易トイレは、どういったところでの需要が多いのでしょうか?

鈴木弊社では、リースだけに限りますと大手の住宅メーカーさんが大半ですね。その内、新築現場が約8割を占めます。

設置するタイミングはどうでしょう。

柳谷着工前に地鎮祭を行いますが、その直後くらいに設置するケースがほとんどです。工事が始める前日までには設置します。簡易トイレがなければ工事関係者が用を足す場所がありませんから必須ですね。設置日は工程表の中にも記載されています。

住宅の工事現場の場合は、いろんな業者さんが入れ替わりで作業しますね。

柳谷ええ、ですから竣工までは撤去しません。

水洗タイプもあるが、現場はまだ汲取り式が多い

ベクセス株式会社 柳谷営業本部(新宿)部長

ベクセス株式会社
柳谷営業本部(新宿)部長

現場でのメンテナンスはどうなっていますか?

柳谷掃除道具などはこちらで用意することもありますが、掃除などのメンテナンスは基本的に現場の皆さんにお任せしています。皆さんが交替で行っているはずです。

メンテナンスは大変ですか。

柳谷清掃の手順については常設トイレと変わりません。以前、清掃の際にホースを引き込むのが面倒という現場からの要望があり、清掃の手間を軽減するため、トイレ内に洗浄用ホースをあらかじめ設置したタイプを開発しました。

簡易トイレの種類

簡易トイレの種類

簡易トイレの種類を教えてください。

柳谷一口に汲取り式といっても、大きく分けて本水洗のタイプと足下のタンクに洗浄水を貯めておく従来式タイプの2種類あり、大都市など下水設備が整備されているところでは本水洗になるケースが多いですね。

水洗式にするかどうかは、御社が下調べをして決めるのですか。

柳谷いえ、依頼主さんからリクエストをいただき、私たちはそれに応じて設置しています。下水設備があっても汲取り式にしたいというニーズもけっこうあります。

それはどうして?

柳谷本水洗タイプは下水とつながっているため場所を移動させたくてもできません。その一方、汲取り式は自由に移動できるというメリットがあるんです。工事が始まって、何かの都合で簡易トイレを移動させたい場合でも、簡単に移動が可能になります。汲取りを終えておけば、一人で移動できるくらい軽量に作ってあります。

固定はしないのですか?

柳谷もちろん固定しますよ。移動時は固定を解除します。

松田屋外に設置されることが多いので、素材には耐久性にも優れたFRPや高密 度PEを使っています。軽量で設置や移動が簡単にでき、メンテナンスのし易さも 考えた設計になっており、小物掛けフックや握りバーなどの基本装備はこの時点で設置します。設置する現場やその用途に応じて便器の種類や装備を変えやすく なっています。

FRPなどの軽量素材を使用
FRPなどの軽量素材を使用

簡易トイレの洋式タイプが十分に認知されていない現状もある

簡易トイレの需要に波はありますか?

鈴木波はけっこうあります。私どもは一般住宅が多いので「住宅エコポイント」が終了間近になると、どうしても駆け込み需要が増えます。この先は消費税の増税が控えているので、駆け込み需要が予想されます。

ベクセス株式会社 鈴木中部事業所所長

ベクセス株式会社
鈴木中部事業所所長

ところで、被災地での利用状況どうでしたか?

鈴木昨年はかなりありました。ただ、避難所なのか、現場なのか、設置場所までの情報は把握できていないのが実情です。被災地への供給が集中した時期は、製造部門に増産を依頼することもありました。基本的には必要な数は倉庫にストックとして取り揃えています。もちろん現場から配送センターに戻ってきたら、クリーニング施設で分解し、洗浄して泥を落とすなど、次の発送に備えてメンテナンスを行います。

簡易トイレにも洋式、和式がありますね。

柳谷まだ和式の需要のほうが多いです。ただし、「うちはすべて洋式にして」と指定される依頼主さんもいらっしゃいます。現場を見学する最近のお子さんの中には和式をご存じない方もいますし、しゃがむと膝に負担が掛かるので、座る姿勢が楽な洋式を好まれる職人さんもいますからね。

常設トイレは洋式がほとんどですが、簡易では和式が多い。なぜでしょう?

松田どうしても工事現場では大勢の人が出入りするので、工事関係者の方の中には「他人のお尻がついた便座に座りたくない」という人もいます。リースですから、期間が終わったら撤去して内外を洗浄して次の現場に供給していくのですが、新品の便座というわけにはいきません。その点も和式のニーズが根強い理由かもしれません。そのため最近では衛生面への配慮から、洋式トイレにスプレー式のシートクリーナーを設置するケースも増えています。

なるほど

柳谷加えて言えば、現場で洋式があることを知らない方もいますし、洋式の簡易トイレそのものが、まだ十分に認知されていない現実もあると思います。

シェアを伸ばすためいかに「機能面」を向上させるか

海外需要はどうでしょう?

松田あるにはありますけど、日本メーカーの進出は少ないですね。

株式会社ハマネツ 松田商品開発室長

株式会社ハマネツ
松田商品開発室長

それはなぜですか。

松田いくつか要因はあると思いますが、海外諸国としても輸送コストをかけて輸入するより、自国の製品を使うほうが安上がりというコスト面の事情があります。もう一つはサイズの違いです。アメリカやヨーロッパの製品は、日本製に比べて空間が広い。外国人の方々は日本人よりも体格が大きいですからね、日本製だと狭いので、なかなか輸出には向かないのです。

では、今後この業界はどのようになっていくとお考えですか。

永井市場としてはほぼ行き渡って、縮小傾向にあると思います。そのため、新製品の開発も必要でしょう。どうシェアを伸ばしていけるか。重要なキーワードとして、「機能面の向上」があります。例えば、都市部では本水洗が主流ですが、地方ではまだ8割ほどが汲取り式なんです。汲取り式は臭気の問題があり、近隣対策からも、どうやって消臭していくかは大きな課題になっています。あるいは夏場の密閉した空間は室温が40℃以上になることもあり、その点をどう改良していくか。製品そのものの機能面が向上すれば、縮小する市場の中でもシェアを伸ばすことができるはずです。

確かにそうですね。そのほか現場ではどんな要望がありますか?

松田例えば、テコ式のポンプは、安全靴で踏み込むために故障しやすかったんです。これを改善し、ポンプを踏み込み式に変え、故障は大幅に減りました。また、ポンプが水に浸かっているために寒冷地方でも凍結しにくいという利点もあります。
また洋式も補助レバー式のものを用意し、年配やお子さんでも無理なく水洗できるようにしました。

今ポンプの話が出ましたが、満水でどのくらい洗浄できるんですか?

松田約300回程の洗浄ができます。便器の形状を工夫したので、汚物を流す水流も以前より強くなっています。

顧客ニーズの多様化に即して日々進化する簡易トイレ

臭気の問題はどうですか?

永井最近、排泄物から発生する臭気のほとんどをカットできる機能を付けた簡易トイレを開発しました。

便槽に煙玉を入れた実験

便槽に煙玉を入れた実験

それはどんな仕掛けになっていますか?

松田簡易トイレの下の部分に便槽という排泄物を溜める容器があります。従来は便器内に水を溜めることで水の蓋ができて、それが臭気をカットする仕組みでした。臭気の7割をカットできればいい方です。これに対し、新たに開発したトイレは便槽の内部が二重構造になっていて、気密性も向上させました。便槽に煙玉を入れた実験では、煙が外部にほとんど漏れないという結果も出ています。現在、外部機関に委託して臭気の測定をしており、より性能を良くしてこうと思っています。

室内の温度上昇への対策は何かありますか?

松田外壁に空気層を作り、熱遮断機能を向上させました。

株式会社ハマネツ 永井技術部長

株式会社ハマネツ
永井技術部長

近隣対策はどうでしょう。

永井簡易トイレの臭気は、便槽から臭突管を伝わって上空に逃がすような仕組みになっています。それでも、簡易トイレの近くに民家や会社があると簡易トイレが目に入だけでクレームになったりしますし、いろいろと大変です。簡易トイレの存在が気にならない様にブラインドを立てて見えなくするケースもあるんです。

安全面の取り組みを教えてください。

松田施錠に閉じ込め防止機能を付けたタイプもあり、万が一内部で人が倒れてしまっても救出できます。また、高齢化に伴って最新モデルは、以前のモデルよりも段差を減らして登りやすくしてあります。空間についても奥行きが広くなり快適に過ごせるようになりました。

技術者の働く環境は日々良くなっているんですね。

永井たかがトイレ、されどトイレです。

まったくその通りですね。今後もより快適で安全で衛生的なトイレを期待したいです。本日はありがとうございました!

取材協力

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