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話題の現場

基礎力を鍛えて、社会の役に立つ
~足利工大 建築・社会基盤学系の教育~

2015/04/23

設業界において人材確保が重要な課題となっており、様々な議論がなされています。コンコムでは読者の皆様の参考とすべく、人材を輩出されている学校関係者に取材をお願いし、将来を担う若者の考え方や教育現場の近況を紹介していきます。

今回、紹介するのは足利工業大学(栃木県足利市)です。同大学工学部建築・社会基盤学系の末武義崇教授にお話を伺いました。

まず、簡単に足利工業大学をご紹介ください。

末武義崇教授末武義崇教授

「本学には、昭和42年に開学された工学部と平成26年度開学の看護学部の2学部があります。大学院も設置しています。このうち、工学部の建築・社会基盤学系に建築学コースと空間デザインコース、そして土木工学コースの3コースがあります。3コースあわせて学部学生は一学年で概ね70名。今年の入学者は大分増えて概ね90名です。残念ながら土木の学生数は減少傾向にあり15名前後です。少子化の問題もあるでしょうが2000年ころと比較して1割強のレベルになってしまいました。建築系は土木系ほどには減少していません。

たとえば東京スカイツリーで考えると、タワーがどんどん伸びていく様は話題にもなりかっこいいなということになりますが、基礎構造物は外からは見えないし話題になることはなかった。土木の人気がないのはそういうわかりにくさ、地味なイメージにも原因があるように思います。」

就職状況はいかがですか。

「建築・社会基盤学系の学生には求人は多いです。総合建設業に就職する学生が多いですね。コンサルタント業界からも求人はいただくのですが、まったく希望にお応えできていない状況です。リーマンショック以降、地方のコンサルタント業界が採用を絞って、一方で建設会社には苦しい中でもそれなりに採用して頂いていたので、その流れが続いています。土木の学生が少なくなったということもありますが。」

学生はどのような視点で就職先を選ぶのでしょうか。
親元に残りたいとか、休暇がちゃんと取れるか、などいろいろ言われていますが。

「おおざっぱにいって学生の4割は栃木県内、その他の関東圏が4割、2割が東北・信越出身といったところです。たしかに関東圏出身者は地元志向が強いのですが、それ以外の出身学生は親元に戻ることにはこだわりがないように思います。

4年生への進級を目前にした時期に大学がキャリアデザイン研究会という場を設けて学生と会社が接触する機会をセットし、これが会社訪問につながっていきます。

キャリアデザイン研究会キャリアデザイン研究会

そのときのやりとりを見ていると、学生は給与や休暇制度よりも仕事の内容や社会的な意義、会社の雰囲気に関心があるように思います。雰囲気というのはなかなか説明が難しいのですが、先輩社員や上司の面倒見が良いか、自分のフィーリングと合うかどうかということを学生なりにサウンディングしているようです。

先輩社員に本学の出身者がいれば学生獲得に有利です。また、会社がおやりになっている各種ボランティア活動も会社の社会的な評価を高めることになり学生が好印象を持つのでぜひ続けてほしいですね。」

処遇ではなく仕事の社会的意義が大事ということですね。やりがいですか。

「そうです。看護学部を新設しましたが、今の若者は自分の仕事が社会の役に立っているという実感を重視しているように思います。看護はそれがわかりやすい。だから建設業界がやっている仕事も社会の役に立っているということが理解出来れば彼らは納得します。この意味で根拠のない公共事業批判の罪は大きい。政治や官にはその辺りをもっとがんばってもらいたいし、建設会社も積極的に発信すべきです。現場見学会のように、土木の仕事が具体的に一般市民に見える広報が大事だと思います。

ところで、就職率でいうと本学は93%ということになります。求人は多いですから100%もあり得るのですがそうなっていない。就職意識が育ちきれない学生がいるのも事実です。我々も教育者として「働く」ということに関して学生のモチべーションを高めようとしているのですが、是が非でも働かなければならないという意識が希薄な学生が目立つようになってきているという面はあります。」

就職に有利ということは高校生の皆さんにもわかっているのだろうか。女子学生はいらっしゃいますか。

「たとえば情報系などはいかにも今風で実際に高校生に人気があります。しかし、就職状況はどうかというと経済情勢に影響を受けやすく、実際に相当に苦労した年もあります。一方、土木建築系は日々の生活や経済活動の下支えですから、防災が典型的だと思いますが経済情勢に関係なくしなければならない仕事はあり、求人も比較的コンスタントにあります。

そういうことがようやく高校生や親御さんにわかっていただいたようで27年度の新入生は3割増の90人になりました。

女子学生については、入ってくる年もあるし入ってこない年もあります。本学では明確な傾向はありません。」

入学者が増えるという傾向は大事にしたいですね。
これから業界を支えていくことになる学生さんのカリキュラムはどのようなお考えで構成されていますか。

水理実験棟の開水路水理実験棟の開水路

「1年次は数学とか英語など教養課程が中心で、2年生と3年生で構造力学、水理学、土質力学、材料工学の基礎をきっちり教えます。3年の後期には施工管理、土木法規、都市計画など実務に直結する科目が設けられています。CADやGISも4年生で選択でき、人気は高いです。マネジメントに関係する内容は実務系の科目の中で取り上げるように配慮しています。

測量は2年生で測量学を学習し3年で測量実習になりますが、実習ではまずトランシットを教えてからTSに移行します。いきなりTSでは測量の理屈がわからない。測量に限りませんが、ベーシックな知識がないと応用が利かないので、基礎をしっかり教えるということをカリキュラム編成の基本にしています。」

在学中に資格を取得することを奨励されていますか。

「資格試験に合格したら受験料を学校が負担したり、学食の食券を何枚かプレゼントするなどのサポートを行っています。

本学では、教員と会社側が就職情報などについて意見交換する場として就職情報交換会というものを企画しています。ここで会社から資格に直結する科目を増やしてほしいという声をいただきますが、土木建築系の資格は実務経験が必要となることが多く、大学だけで対応するには限界があります。会社と大学が協力して資格取得を応援するということは考えられると思います。」

学生が仕事の意義、やりがいを重視しているというお話には納得しきりでした。しかし、逆にいうとインフラの整備、維持管理の重要性について我々と一般市民との間に認識のギャップがあるということだと思います。業界を挙げて広報に努めてきているのに市民に伝わっていないということなのでしょう。考えさせられることです。

取材中も礼儀正しい学生さんに多くお会いすることが出来ました。あらためて、取材にご協力いただいた足利工業大学のみなさまにお礼申し上げます。

文責:森田悦三、濱田俊一

取材協力

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