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話題の現場

アメリカ生まれのシステム吊り足場
「クイックデッキ」
無隙間無断差で安全・快適な作業空間を提供

2015/12/24

日発表された厚生労働省の集計では、建設業の労働災害発生状況は前年度よりも9.7%減っているものの、相変わらず「墜落・転落」事故が全体の3分の1強を占めている状況(平成27年12月7日現在速報値)であり、いかに安全な作業空間を確保するかが課題となっています。

今回の現場探訪で紹介する「クイックデッキ」は、こうした課題を解決すべく、安全な作業空間を簡単ですばやく施工することを可能とした商品です。今年NETISにも登録(TH-150007-A)され、EE東北や中部建設技術フェア等の建設技術展でも多くの参加者の関心を集めていました。日綜産業株式会社が、米国仮設資材最大手のセーフウェイ社の特許商品を日本向けに改良した「クイックデッキ」の概要・特長を執行取締役クイックデッキ事業部長 鈴木正人氏、広報室長 大久保工氏、セーフウェイ日本事務所代表 中桐敏夫氏に伺いました。

従来の吊り足場と比較して「クイックデッキ」の特長とは?

「組み立て・解体時の安全性向上はもちろんですが、足場内の作業性向上という大きな特徴があります。高強度チェーンを採用することにより、吊りチェーンの数を従来技術の1/4~1/6に削減したため、チェーンに煩わしい思いをすることが少なくなります。また、デッキ固定プレートにより無隙間無段差の作業空間ができますから、作業時の安全性・作業性も確保できます。つまり、足場組み立ての際だけではなく、その後の作業をする人も安全、快適に作業できるということに特徴があります。具体的には、」

写真1)従来の吊り足場(左)とクイックデッキ(右)写真1)従来の吊り足場(左)とクイックデッキ(右)
  • 簡易な組立
    「基本構成部材は全てシステム化されており、専用工具を必要とせず人力で組み立てが可能です。熟練工を必要としない簡易な組み立て方法により人手不足を解消します。」
  • 写真2)高強度チェーン写真2)高強度チェーン
    高いシステム強度と広い作業空間
    「トラス構造により高い強度と軽量化を実現したジョイスト(主梁)と専用の高強度チェーンの組み合わせにより最大積載荷重350kg/m2、最大吊チェーンピッチ5m×5mを実現しました。
    広い吊チェーン間隔とたわみが少なく段差や開口の無い快適な作業空間を創出できます。また、床がフラットなため、台車での荷物の運搬も可能です。」
  • 困難な足場架設を安全にスピーディーに
    「高い部材剛性と水平旋回式の組立方法により吊点からの跳ね出し最大5mの先行床施工が可能で、高所での危険作業なしで作業床を安全に施工できます。最初の1マス分の床ユニットを吊る ことができれば、空中で空間を伸ばしていくことが可能ということです。」
動画でみる「クイックデッキ」施工方法
https://www.youtube.com/watch?v=Sbcauhl7QGs
  • 写真3)電動チェーンブロックでの床ユニットの吊り上げ写真3)電動チェーンブロックでの床ユニットの吊り上げ
    ユニット吊り込みにより高所作業を大幅に削減
    「最大100m2の床ユニットを4点で吊り上げできます。また、同様に組み上げた床ユニットを立て吊りにして落とし込むことが可能です。地上での地組み作業を最大限にすることにより高所作業を最小限にし、安全性を向上させながら工期の短縮が図れます。」
「クイックデッキ」を導入するきっかけは?

「『クイックデッキ』は米国仮設資材最大手のセーフウェイ社で2004年に開発された製品です。2012年に販売を拡大したいセーフウェイ社の考えと、世界の優れたテクノロジーを日本へ導入したい当社の思惑が合致し提携に至りました。当時当社は吊り足場を扱っていませんでしたが、維持更新時代に突入する日本国内に、安全で快適な足場を提供できる優れた製品だと考えたことから、独占販売を行う総代理店契約と生産移管契約を結びました。」

  • 写真4)広報室長 大久保工氏写真4)広報室長 大久保工氏
  • 写真5)セーフウェイ日本事務所代表 中桐敏夫氏写真5)セーフウェイ日本事務所代表 中桐敏夫氏
アメリカで開発された「クイックデッキ」を日本国内で使用するにあたって日本仕様に改良した点などはありますか?

「足場組み立ての手順を見直しました。アメリカと日本でどちらが安全ということではないのですが、アメリカではデッキサポート(小梁)を取り付ける際にフルハーネスの安全装備を備えたうえでトラス材に跨って作業をします。もちろんパーツにも落下防止装置をつけますが、足場が落ちても人は落ちないという状態の中でないと施工することができません。しかし日本では、身を乗り出して作業をすること自体が不安全作業になってしまうという考えもあるため、トラス材に簡易組立用足場(チビック)を設けて梁を取り付けるという施工手順に見直しています。」

  • 写真6)チビック写真6)チビック
  • 写真7)チビック使用時写真7)チビック使用時

「また、アメリカと日本では装備に関する考え方の違いもあります。アメリカでは手すりの代わりにワイヤーロープが使用され、幅木の高さも80mm程度ですので日本の安全衛生規則には適合しません。当社の従来品のクサビ緊結式足場「3Sシステム」を用いた手すりと幅木に変更することでクリアしています。」

「さらに、安全性を高めるためにデッキサポートビーム(孫梁)を加えています。アメリカではデッキサポート(小梁)までですが、孫梁を加えることでデッキ材(足場板)を敷き込む際の落下を防止することはもちろん、足場板のたわみも軽減することから作業性も向上します。デッキ材(足場板)も合板がメインですが、寒冷地使用の際の強度や、プラント工場など不燃指定がされる場合も考慮して、アルミ製のデッキ材も準備しています。」

実際に使用された現場での声はいかがでしょうか?
写真8)橋梁施工現場写真8)橋梁施工現場

「最初は施工方法に戸惑う声もありましたが、その不安を解消するためにトレーニングセンターで事前トレーニングを実施しています。現在、全国の橋梁工事において『クイックデッキ』を提供していますが、安全で早く施工ができ、結果として工期も短縮できたと、一度使っていただくとファンになってもらえます。NETISに登録してからは特に橋梁関連の工事や駅舎の耐震工事など実績も増えてきています。」

「当社の検証では従来型工法に比べ足場工事期間が大幅に削減されます。導入によって機材費は増加しますが、足場の組み立て解体に関わる労務費や、工事に付随する交通規制に係わる人件費等が削減されます。全体として若干の費用増になりますが、安全性・作業効率の向上という大きなメリットを得ることが可能です。」

「橋梁工事でいえば、橋梁の下部工や橋台付近にユニット組みと吊り上げが可能なスペースがない場合でも、橋台や橋脚から吊り元を2点設置できれば、手組みでの施工が可能です。急峻な地形にある橋梁でも高い安全性を確保できるため、問い合わせが増えてきています。」

トレーニングセンターを設けているとのことですが、導入のためのサポートについてお聞かせください。
写真9)執行取締役クイックデッキ事業部長 鈴木正人氏写真9)執行取締役クイックデッキ事業部長 鈴木正人氏

「安全に施工をしていただくため、施工前にクイックデッキのトレーニングセンターで組み立てに関するトレーニングを実施していただいています。半日から1日かけてのトレーニングになりますが、パーツ構成等の座学から始まり、実際の現場で施工されている動画の視聴、国内の事例紹介を確認してもらいます。その後、まずは職員が施工するのを見学し、職人さんに実習していただきます。トレーニングを通じて作業手順を体験することで実際の現場でもスムースに施工することが可能になります。」

図1)クイックデッキ点検表図1)クイックデッキ点検表

「施工後は、全国仮設安全事業協同組合が発行する『仮設安全監理者』の資格保有者がクイックデッキ専用のチェックリストに基づいた安全点検を行っています。我々社員も資格を取得しているので、職員がチェックに出向いたり、パートナーと呼ばれる方に協力していただき、施工者以外の第三者が確認するシステムを設けています。また長期にわたる現場では、月例のパトロールに参加して足場の状態の確認もしています。

クイックデッキは製品だけ渡して後は組んでくださいという商品ではありません。工事の中にも入っていかないと確かな安全性はキープできないと考えていることから、施工前、施工後のサポートも万全の体制を取っています。『クイックデッキ』というハードだけではなく、トレーニングや安全点検といったソフト部分も高いレベルで標準化していくことが重要だと考えます。」

今後の課題・目標は?

「建設業従事者が減っていることが問題となっていますが、従来型の吊り足場を組める熟練の職人さんも減ってきています。枠組み足場は組めるけれども吊り足場は組めませんという方もいます。土木工事に関して言えば、今後増えてくる橋梁の点検・改修工事は吊り足場がメインとなります。こうした状況の中、システマティックで安全な吊り足場が増えなければ、工事も滞り、危険な橋が住民の方に使われ続けることになってしまいます。

ひとつ間違えば重大事故につながりかねない吊り足場の施工に、『クイックデッキ』という、より安全でより快適なシステムを提供することで日本の建設業界、インフラ整備に貢献したいと考えています。」

取材協力・資料提供

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