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話題の現場

専門知識を基礎から学び、実践的技術者を育てる
~香川高等専門学校 建設環境工学科の教育~

2016/06/28

はじめに

今回の現場探訪/話題の現場は、香川県高松市にある国立 香川高等専門学校の高松キャンパスを訪問しました。高等専門学校は専攻科まで含めると中学卒業後の15歳から22歳まで幅広い年代の学生が学ぶ教育機関です。 香川高等専門学校の建設環境工学科 学科長の小竹望教授に、カリキュラムの特徴、学生指導などについてお聞きしました。以下に紹介します。

香川高等専門学校 建設環境工学科をご紹介ください。
写真1)小竹 望教授写真1)小竹 望教授

香川高等専門学校は、平成21年に建設環境工学科のあった高松工業高等専門学校(現 高松キャンパス)と、電子系の詫間電波工業高等専門学校(現 詫間キャンパス)が高度化・再編され、設置されました。

建設環境工学科の定員数は各学年40名で、学生の出身地は県内が8割、隣県である徳島・愛媛、瀬戸内海を挟んだ岡山が各1割という割合が例年の傾向です。隣県出身の学生や県内でも遠隔地の学生は、敷地内にある寮から通っています。女子学生は各学年2割程度ですが、他の学科と比べると多い割合となっています。建設業界の景気が上向いてきたことや学内外での様々な取り組みで入学希望者数は安定しており、昨年度、学力試験の入学倍率は建設環境工学科が学内で一番高い結果となりました。

専攻科の定員は建設環境工学コースが6名で1~2名が女子学生です。昨年度から、本校専攻科は「独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構」の特例認定が適用されています。これまでは、特別研究論文を提出し、筆記試験合格を経て「学士(工学)」の学位が授与されていましたが、昨年度から学内の審査で学位授与ができるようになりました。

特徴的なカリキュラムを教えてください。
写真2)測量実習の様子写真2)測量実習の様子

高等専門学校は5年間の本科と2年間の専攻科で、実践的技術者教育を行うことを目的としており、大学とほぼ同等の専門教育を行います。

低学年(1~3年生)では、国語や英語、数学といった一般教育に加えて、力学など工学の基礎を徹底的に学習します。土木技術者として身につけるべき能力としてまずは基本が重要であると考えるからです。以前行った卒業生へのアンケートでも「役に立った教育」という項目で「力学などの基本」という答えが多く出ました。また、1・2年生では測量学の講義の中で実習も行いますが、学生には測量士・測量士補の資格試験に挑戦し、合格することを奨励しています。

低学年、特に1年生の内は自分がやりたいことや就きたい仕事もぼんやりしています。そのため、構造・土質・水理・コンクリートなど各専門分野の教員が、授業の中で「これは将来何のために必要か」と伝えることで、学生への興味付けを行っています。

4年生以降(高学年)になると構造工学・水理学・地盤工学に加え環境系、計画系など専門教育が中心となりますが、キャリア教育(技術士会の出前授業や進路説明会等)で、学んでいる内容と具体的な仕事との関連性を把握していきます。進路を決める4年生の3月には、本学卒業生から仕事・キャリアなどの話を聞く「桜下の会」という活動も行っています。学生達も先輩の話は信頼性があるため、進路決定の参考にしています。50年の歴史がある同窓会の支援は大変ありがたいです。

卒業後の進路状況を教えてください。

本科卒業後の進路は、就職6割・進学4割です。20名程度の就職希望者に対して100件以上の求人があるため、企業側の要望にはお応えできていません。就職先としては、公務員と鉄道・電力・ガスといったインフラ等に関わる公益企業が半数弱、ゼネコンやコンサルタント・建設関連業が半数強というところです。学生は地元志向が強く、四国での就職が多いです。血縁・地縁など繋がりを重視する傾向にあるようです。女子学生は特に地元志向が強いですが、やはり保護者の意向が強いようです。地域社会のために働くことは重要で尊重できるものです。一方、日本全国・海外と広い視野を持ってもらいたい気持ちもあります。

公務員志望の学生に対して特別なカリキュラムでの指導は行っていません。公務員試験中級~大卒に合格するのは、本科4年生までの学習を基礎に対応でき、それが学習の到達レベルと考えています。試験対策は学生同士の連携で、必要な参考書等の情報を得て自主的に学習しています。

進学に関しては、香川高専の専攻科に進む学生が多いですが、長岡・豊橋の技術科学大学や近隣の国立大学に編入する学生もいます。

受験をする中学生へのアピールポイントは?

受験をするのは中学生ですので、保護者への説明・理解が重要です。本校全体の取組みで、中学校での学校説明会・オープンキャンパスを開催しています。また、進学塾が進路の情報源となるため、進学塾への訪問・説明も実施しています。説明の際には「創造力に富む実践的な技術者の育成」という本学の使命を伝え、先程お話ししたような就職や進学に対する強みをアピールポイントとしています。

本学科の取組みとして、小・中学生とその保護者を対象とした土木施設見学バスツアーを毎年開催しています。これは、地域の方にもっと土木のことを知ってもらう目的ではじめました。平成22年度に始め、これまで6回開催しています。県内の土木施設をバスに乗って訪問し、現地では本校卒業生に案内してもらっています。こういった取り組みも高専を知ってもらうこと、高専のアピールのひとつになっていると思います。

  • 図1)現場見学会チラシ図1)現場見学会チラシ
  • 小・中学生とその保護者を対象とした現場見学会
    「がいにみてんまーい」

    香川県の方言で
    「よく見てください」という意味
    がいに:よく、激しく
    みて:見て
    まい:~しなさい(薦める意味)

女子学生の活動が活発なようですが
図2)たかまつ土木女子の会図2)たかまつ土木女子の会

香川高専 建設環境工学科の在校生とOGで構成された「たかまつ土木女子の会(通称:どぼじょの会)」が運営されています。各学年の女子学生から、会長・副会長・会計書記・学年代表を執行部として選出する自主活動で、教職員もオブザーバーとして参加しています。

在校生の学年を超えた交流、就職・進学に向けての意識向上、女性技術者の役割を考える場を女子学生自らの手で作っていくことを目的としており、OGによる女性技術者講演会、女性のライフサイクル講演会などを実施しています。

「くらしと技術の建設フェア四国」や「土木ふれあいフェスタin高知」などのイベントへの参加、中学生向けイベントの主催なども積極的に行い、一般の方や女子中学生に学生から見た「土木」についてさまざまな角度から伝えています。毎年、女子中学生向けの学科紹介パンフレットも作成・配布しており、本学建設環境工学科のPRにも一役買ってもらっています。

インフラ(整備)の重要性に関して、学生にどのような指導を行っていますか?

地域内の現場見学会や国土交通省四国地方整備局長の特別講演などは、整備事業とその目的の理解を図る機会になっています。今年の1月には徳島県鳴門市の防災事業の現場見学に行きましたが、実際の現場(堤防の改修工事等)を見ながら事業全体の説明を受けることで、南海トラフ地震に対する防災事業の重要性を理解することができたようです。

先程紹介した本学主催の現場見学会や、さまざまなイベントへの参加によって、地域住民へインフラ(整備)の重要性を伝えることにも本校学生が一役買っている様に思われます。

おわりに

取材終了後、建設環境工学科の林准教授に校内を見学させていただきました。まず、各研究室がガラス張りでオープンな雰囲気がありました。研究室内部にパーテンションで仕切られた教員室からも、廊下からも室内の様子を見ることができ、見学の際も学生達が熱心に研究・学習・議論をしている様子をうかがうことができました。また、材料工学・地盤工学などの実験室も充実しており、林准教授いわく「授業での実験実習を重視して整備してきた経緯があり、数多くの実験を通じて土木工学の理解を深めることができる」とのこと。

学内には学生寮もあり、自宅が遠隔地にある学生は15歳の春から集団生活の中で、未来の技術者としての第一歩を踏み出していきます。高校受験を控えるお子様を持つ技術者の皆様、高等専門学校も選択肢の一つとしてはいかがでしょうか。

あらためて、取材にご協力いただいた香川高等専門学校のみなさまにお礼申し上げます。

(文責:前田 健二)

取材協力

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