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話題の現場 

独立行政法人 土木研究所
『寒地土木研究所』と『表面含浸工法によるコンクリートの耐久性向上技術』

2013/08/20

独立行政法人 土木研究所『寒地土木研究所』が取組む研究と成果

地土木研究所は、寒地土木技術に関する研究開発、技術指導、成果の普及等を通じて、土木技術の向上を図り、良質な社会資本の整備および北海道開発の推進に寄与することを目的に設立された試験研究機関です。

昭和12年(1937年)8月、内務省北海道庁土木部監理課所属の「土木部試験室」として発足し、昨年75周年を迎えました。発足以来、日本で唯一の寒地土木技術の試験研究機関として様々な研究を行ってきた「寒地土木研究所」ですが、寒冷地以外に暮らす皆さんにとっては、あまり馴染の深いものではないかもしれません。しかし、平成24年度の「全建賞」を受賞した『表面含浸工法によるコンクリートの耐久性向上技術』のように、北海道だけでなく全国の現場で活用されている技術を数多く研究発表しています。

今回、普段はなかなか見ることのできない「寒地土木研究所」の内部を取材させていただくことができました。この機会に研究所の概要と最新の研究の一部、そして「全建賞」を受賞した『表面含浸工法によるコンクリートの耐久性向上技術』についてご紹介します。

1.寒地土木研究所の概要

加納民雄企画室長加納民雄企画室長

地土木研究所の組織について、企画室室長・加納民雄さんにお聞きしました。

「寒地土木研究所の研究組織は、『5つの研究グループとそれに属する複数のチーム』、『技術開発調整監』、グループやチームを超えて横断的に研究を行う『研究ユニット』で構成されています。

寒地基礎技術研究グループ

寒冷な自然環境下における道路構造物の機能維持のための技術開発や斜面災害の減災などのための技術開発に関する研究を行う。

  • 寒地構造チーム・寒地地盤チーム・防災地質チーム
寒地水圏研究グループ

河川流域や沿岸域の人々の暮らしの安全・安心の確保と、自然環境の保全を両立させる技術開発に関する研究を行う。

  • 寒地河川チーム・水環境保全チーム・寒冷沿岸域チーム・水産土木チーム
寒地道路研究グループ

積雪寒冷地道路の効率的・効果的な冬期道路管理技術や冬期交通事故に有効な事故対策および雪氷災害対策に関する研究を行う。

  • 寒地交通チーム・雪氷チーム
寒地保全技術研究グループ

積雪寒冷地におけるコンクリート構造物や舗装などの耐久性を向上させ、機能を適切に維持するための施設設計や保全に関する研究を行う。

  • 耐寒材料チーム・寒地道路保全チーム
寒地農業基盤研究グループ

気候変動や自然環境の変化、農業をとりまく社会的環境の変化に対応して、農地や農業用水、農業水利施設などの農業資源を将来にわたって効率的かつ良好に保全・管理するための研究・技術開発を行う。

  • 資源保全チーム・水利基盤チーム
技術開発調整監

北海道内外における研究成果の普及や知的財産のマネジメント、積雪寒冷地における機械技術や情報通信技術を駆使した研究開発を行う。

  • 寒地技術推進室・寒地機械技術チーム
研究ユニット

社会・行政ニーズに対応した先駆的な研究について、研究グループおよびチームの枠にとらわれず横断的に研究・調整を行う。

  • 地域景観ユニット・防災気象ユニット

「日本の約半分の地域は積雪寒冷地です。中でも北海道は特に冬の寒さが厳しく、氷点下の日が長期間つづく厳冬期には、地盤の凍結・凍上現象や河川・湖沼の結氷がみられます。また、北海道の都市は諸外国の積雪寒冷地域と比べて降雪量が格段に多く、凍害による社会基盤施設の劣化や損傷、豪雪や吹雪による交通障害の発生など、積雪寒冷地ならではの問題を数多く抱えています」。

「このような厳しい自然環境の中で、自然の恵みを活かしながら産業を維持発展させていくための技術、積雪寒冷地特有の問題を解決するための技術の研究開発が、私たち寒地土木研究所の使命といえます」。

「また、北海道に拠点を置く当研究所がこれまでに開発してきた寒地土木技術は、北海道で広く活用されるだけでなく、本州の積雪寒冷地にも普及しています。また、近年は、アジアを中心とした海外の積雪寒冷地にも研究成果を普及させるべく、国際的な研究提携も行っています」。

  • 寒地土木研究所施設図寒地土木研究所施設図
  • 路線のはみ出しを音と振動で警告するランブルストリップス<br />
※コスト面や除雪作業の支障となる中央分離帯等に代わって設置され、北海道内や本州においても普及が進んでいる路線のはみ出しを音と振動で警告するランブルストリップス
    ※コスト面や除雪作業の支障となる中央分離帯等に代わって設置され、北海道内や本州においても普及が進んでいる

2.平成24年「全建賞/調査研究等部門」を受賞した
『表面含浸工法によるコンクリートの耐久性向上技術』

建賞/調査研究等部門を受賞された「寒地保全技術研究グループ・耐寒材料チーム」の田口史雄上席研究員、遠藤裕丈研究員に、研究の概要と研究施設の説明をしていただきました。

「寒冷地の道路橋の地覆コンクリートでは、凍結融解と凍結防止剤の複合作用によって、表面がうろこ状に剥がれる“スケーリング”と呼ばれる凍害が多く発生しています。このため、鉄筋の早期腐食など構造物の耐久性の早期低下が懸念されています。多くの構造物の維持管理、長寿命化が重要視されるようになり、経済的かつ簡易にコンクリートの耐久性を向上させる劣化抑制対策が求められていました。今回の研究は、水や塩化物イオンの侵入を抑制する『シラン系表面含浸材』を土木コンクリート構造物の凍害対策として活用することを考え、その効果を検証することにより実用化を図ったものです。表面含浸工法には次のような特徴があります」。

  • 田口史雄上席研究員田口史雄上席研究員
  • スケーリングスケーリング
表面含浸工法の特徴

遠藤裕丈研究員遠藤裕丈研究員

工程が少なく、簡便で施工性に優れる
全般的に経済性に優れる
改質が必要な範囲に限定して施工できるため合理的である
被覆材と異なり、水蒸気透過性を有する
コンクリートの外観が大きく変化しないため、施工後の目視点検が可能である
不足性能を補うことが可能(かぶり不足など)
改修時の産業廃棄物の発生量が少ない(表面含浸材がコンクリートに含浸しているため)
含浸内部は紫外線の影響を受けない

「冬期間、凍結防止剤の散布が行われる北海道の道路橋の地覆コンクリートにおいて、5種類の『シラン系表面含浸材』の試験施工を行い、その後6年間、スケーリングの進行抑制効果、塩化物イオンの浸透抑制効果を調べるための追跡調査を実施しました。製品によって効果は異なりますが、適切な表面含浸材を選定することで、十分にスケーリングを抑制できること、塩化物イオンの浸透を抑制できることがわかりました」。

  • 試験施工(5社メーカーのシラン系表面含浸材を4m間隔で塗布)試験施工(5社メーカーのシラン系表面含浸材を4m間隔で塗布)
  • シラン塗布・無塗布による4年経過後の地覆の違いシラン塗布・無塗布による4年経過後の地覆の違い

「実測値を解析し、塩化物イオンの浸透予測を行ったところ、無塗布のコンクリートでは約50年経過時に鉄筋位置の塩化物イオン量が発錆限界値を上回ったのに対し、塗布した場合は100年経過後も発錆限界値に達しないという結果が得られました。さらに、地覆の供用100年までのLCC(ライフサイクルコスト)を試算したところ、シラン系表面含浸材の適用によって、LCCは15%~60%抑制されることが実証的に確認されました」。

  • 気仙沼線BRT専用道※塗布部は塩化物イオンがほとんど浸透していなかった。実測値をもとに塩化物イオンの浸透予測を試みたところ、100年も鉄筋が発錆しないことを確認。
  • ※供用100年までのライフサイクルコストは、打換1回とした場合の無塗布に比べて15%抑制。さらに、吸水防止層の状態が長期的に保持されると仮定し、再塗布を行わない場合は60%抑制される。※供用100年までのライフサイクルコストは、打換1回とした場合の無塗布に比べて15%抑制。さらに、吸水防止層の状態が長期的に保持されると仮定し、再塗布を行わない場合は60%抑制される。

今回、全建賞を受賞した寒地土木研究所の『表面含浸工法によるコンクリートの耐久性向上技術』の成果は、現在、北海道開発局道路設計要領等にも反映され、多くの現場で活用されています。また施工性、経済性にも優れたこの工法は、今後も様々なコンクリート構造物の耐久性の維持に使用されるのではないでしょうか。

参考:全建賞とは
取材協力

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