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話題の現場

話題のマンホールカードの発行にも参画
「マンホール蓋」製造メーカー
長島鋳物株式会社

2017/09/28

話題のマンホールカードの発行にも参画「マンホール蓋」製造メーカー 長島鋳物株式会社

年8月、東京ビックサイトにて開催された「下水道展'17東京」において、注目を集めているブースがありました。色とりどりのマンホール蓋が展示され、多くの来場者が熱心に見学をしていました。

今回の現場探訪ではマンホール蓋の製造メーカーである長島鋳物株式会社さんに訪問しました。製造工場も併設されている久喜事業所(埼玉県久喜市)にて、マンホール蓋の製造方法や、安全・安心への取り組み、最近話題となっているマンホールカードなどについてお話をうかがい、製造工場や検査場等の見学もさせていただきました。

以下、紹介します。

マンホール蓋についてお聞かせください。

写真1)久喜事業所 長島所長/営業部 梶山部長 写真1)久喜事業所 長島所長/営業部 梶山部長

当社が主に製造しているのはマンホールと呼ばれる管理用立坑の鉄蓋と受枠で下水道に関する製品が中心です。全国の自治体さんから発注をいただく製品には様々なデザインがあり、デザインの基になる木型の種類としては約8000種、木型を用途別に組み合わせて製作するため、製品としては約55000点となります。

現在、敷設されているマンホール蓋は約1500万個あるとされていますが、表面の摩耗や破損、腐食などの老朽化が進んでおり、安全基準を満たしていないと思われるものは300万個にのぼると言われています。平成元年~10年くらいがマンホール蓋敷設のピークであり総需要で年間50万基程度ありましたが、最近では年間で20万基程の敷設でその約半数が更新になりますので、耐用年数が車道15年、歩道等30年と規定されているマンホール蓋の更新は、早急に計画的に実施すべき喫緊の課題です。

マンホール蓋の製作方法についてお聞かせください。

マンホール蓋は、木型から砂型を造形し、1500度に溶解した鋳鉄(「湯」と言います)を砂型に注湯し、冷却した後に仕上げ・機械加工・塗装・部品組み付けするという工程です。マンホール蓋と対になる受枠も同様に製作します。以前は砂型の造形および注湯は熟練の作業員が担当していましたが、設備が老朽化したこともあり、一昨年より造形機、注湯機を順次自動化し、更新を完了しました。

熟練の技が必要であった、砂を振動と圧力で固める作業や、砂型の隅々まで均等に「湯」を注ぐ作業が自動化されたことにより品質が安定し、製作スピードもアップしました。力仕事も減ったので、従業員の負担も軽減することができました。

写真2)砂型造形と大型モニター写真2)砂型造形と大型モニター
写真3)自動化された注湯機写真3)自動化された注湯機

自動化された造形ラインでは、ボタン操作一つで製造に必要なデータが伝わり、それらは工場内の大型モニターで確認しつつ、必要な作業指示も自動で表示される仕組みとなっています。これらのデータはスマートフォンやタブレットでも確認でき、営業職員も受注した製品の進捗状況が見られるようになっています。

写真4)着色の様子写真4)着色の様子

また最近は、各自治体さんから観光名所や「ゆるキャラ」をモチーフとしたデザインのマンホール蓋の発注も増えてきていますが、そういった多品種少量生産にも迅速な対応が可能となっています。

造形後の粉体塗装はライン上で行っていますが、カラーデザイン蓋の色付けは手作業で行っています。鋳造工場の振動による粉塵が影響を与えないように、別棟の2階が作業場となっています。

蓄光性能のある塗料を用いた、防火貯水槽用のマンホール蓋もこちらで作業しています。

写真5)夜間に光る防火貯水槽用蓋写真5)夜間に光る防火貯水槽用蓋
写真5)夜間に光る防火貯水槽用蓋
カラフルなマンホール蓋が増えてきていますね。

やはり、「マンホールカード」の影響が大きいです。当社も第1弾のマンホールカード発行時から関わらせていただいていますが、今年8月に第5弾のマンホールカードが発行され、全部で192自治体、222種類のカードが存在しており、配付総数も100万枚を突破しました。最近ではマンホールカードの発行を検討してカラーマンホール蓋の問い合わせをされる自治体さんも増えています。

マンホールマニアと呼ばれる方から始まったマンホールカードですが、メディアに取り上げられることでマンホール蓋の認知度が上がり、下水道インフラの一部として更新の必要性などの理解が進むことはうれしい限りです。

製造メーカーとして目指していることはなんでしょうか?

やはり道路の一部であるということで安全・安心を重要視しています。そのための設備投資、技術開発、技術提案を行っています。

写真6)MCフリクションテスター写真6)MCフリクションテスター

群馬大学と共同でミニバイクの実際のタイヤを使用しスリップ性能を検査する「MCフリクションテスター」を開発しました。これまではテストコース上でテスト走行を繰り返し行い、検証を行っていましたが、MCフリクションテスター導入により検査時間の短縮に成功しました。

摩耗しても滑りにくさを維持するデザインや従来品よりも摩耗しにくいデザイン(ASPS-Neo)も研究開発、技術提案をしており、これらの製品はMCフリクションテスターの導入によって、動摩擦係数データの蓄積・検証が可能となり開発されたものです。

また、カラーのデザイン蓋を製作する場合、発注元の自治体さんよりデザイン案をいただきますが、安全面を考慮して、例えば背景の植物を増やしたり、山であれば稜線に書き込みを加えたりして滑りにくくなるようなデザインを提案しています。

写真7)営業部 渡邉さん/営業部 井上課長写真7)営業部 渡邉さん/営業部 井上課長

当社ではマンホール蓋の更新工法である「パラボラ工法」の普及やその技術研修にも力を入れています。この工法は、パラボラアンテナ状のブレードを搭載した路面カッターによりマンホール蓋周辺を切り取り、受枠を交換する工法です。

・使用機材が小さく、従来の工法よりトータルコストが安いこと
・円形球面状の切断面が補修箇所の陥没を防ぎ、雨水の侵入を防止すること
・パラボラ工法専用の超速硬性無収縮モルタル使用により、舗装切断から3時間以内で交換工事が完了するため早期道路開放が可能なこと

といったメリットがあり、普及が進んでいます。

また、全国パラボラ工法協会では民間資格として「鉄蓋診断士」の制度を導入しています。鉄蓋の健全性や周辺舗装・枠調整部の不具合に関する診断知識・技能を判定する試験を経て、現在約580名が登録され、マンホール蓋が起因の事故防止に努めています。

これからは維持更新の時代になりますので、間違いなく需要が高まってくると考えています。

全国パラボラ工法協会ホームページ
http://www.parabola-system.jp/index.php
写真8)プリントシール蓋写真8)プリントシール蓋

マンホール蓋の更新がなかなか進まないことはやはり自治体さんの予算的な問題もあると思います。そこで弊社では、既設のマンホール蓋上に、カラープリントをしたシートを圧着する「プリントシール」も提供しています。

シート表面にエンボス加工が施されており、摩耗した鉄蓋を滑りにくくする性能があります。歩道用マンホール蓋および受枠や周囲の舗装タイルまで更新することが難しい場合には、応急処置的に対応しつつ、更新の予算をより計画的に組むことが可能となります。

プリントシールは異なる図柄を製作しても金額的には大きく変わりませんので、民話や歴史などストーリー性を持たせて観光資源として使用されている例もあります。

安全・安心な道路をめざして、これからもマンホール蓋製造メーカーとして、提案をしていきたいと考えています。

写真9)エペットさん写真9)エペットさん

存在することが当たり前すぎて、そこにあっても視界には入りづらいマンホールの蓋。意識をして見てみると、非常に多くの形・模様・色の鉄蓋が日常生活の中で足元に存在していることがわかります。マンホールがあることにより下水道インフラと我々の生活が守られますが、その蓋にも我々の安全のための様々な工夫が施されていることを知りました。

また、長島鋳物さんでは、マンホールトイレも開発されています。阪神・淡路大震災の教訓から開発した「エペットさん」は、災害時にマンホールをトイレとして代用する世界初の製品。支援に行かれた神奈川県の相模原市さんと共同開発をしたそうです。

仮設トイレと異なり入口の段差がなく、介助が必要な方でも利用しやすいことから、先の熊本地震の際にも活躍。マンホールの蓋を造り続けてきた長島鋳物さんならではの商品だと感じました。

(文責 前田 健二)
取材協力・資料提供

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