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話題の現場

~地方から建設業を変える~
YDN(やんちゃな土木ネットワーク)の活動とドローン自動航行アプリについて

2018/07/30

YDN

土交通省では、平成27年から、建設業の生産性の向上を図り、魅力ある建設現場をめざす取組み「i-Construction(アイ・コンストラクション)」を進めています。平成29年には、こうした動きをさらに加速させるため、「i-Construction大賞」を創設。12月に第一回の受賞者(「国土交通大臣賞」2件、「優秀賞」10件)が発表されました。国の施策として「ICT」の建設現場導入が進められる中、地方の中小企業でも、生産性向上・施工の効率化をめざす動きが始まっています。中でも、すでに業界誌等で紹介されている地方中小建設業による技術集団「YDN(やんちゃな土木ネットワーク)」は、そのトップランナーとして活動が注目を集めています。今回、コンコムでは、「YDN」の代表を務める株式会社 正治組(静岡県伊豆の国市)の大矢洋平さんに、「YDN」の設立経緯、活動、成果等についてお話しを伺いました。以下、ご紹介します。

Q 「YDN」を始めた時期ときっかけ、設立の目的について教えてください。

私個人の話から始めると、少し長くなるのですが、私は19歳の時に今の会社に入社しました。そこから4~5年間は現場作業員として工事に携わっていましたが、社長の意向もあり、下請業から元請に移行する中で、現場監理をするようになりました。しかし、いざ現場を監理するようになると、やること、やるべきことが目の前にたくさんあり、中でも現場測量と座標計算や高さ計算に膨大な時間と労力がかかっていることに不満を持ちました。教えてくれる人もいないため、自分で調べるしかなかったこともあって、現場への移動時間も含めれば、一日の勤務時間は20時間近くになることも少なくありませんでした。今なら完全に過労死レベルで問題になりますよね(笑)。10年ほど現場を経験すれば誰でも図面通りのものを、工期内に作ることは当たり前にできるようになると思います。

写真1)YDN代表 大矢洋平さん(株式会社 正治組) 写真1)YDN代表 大矢洋平さん(株式会社 正治組)

しかし、若い社員にこれからも同じことをさせるのか?このまま次の世代に引き継いでいいのか?という思いはありました。自分なりに「どうしたら仕事が楽になるか」を考えてやっていましたが、この状況は数年前まで変わりませんでした。
そして平成27年4月に「YDN」を設立しました。そんな中、懇意にしていたCAD等のソフトウェア会社が、ICT普及のための全国キャラバンを行うので、大矢さんもそこで現場の効率化・生産性向上の取組みを講演してみませんか?という話をいただきました。全国にはきっと自分と同じような考えを持っている中小企業がいるはずだと思っていましたので、二つ返事でこの話を受けました。このキャラバンで全国をまわるうち、私の考えや取組に賛同してくれる企業や個人が少しずつ増えていきました。

Q 現在「YDN」が取り組んでいる活動についてご紹介ください。
写真2)勉強会の様子 写真2)勉強会の様子

わたしたちの理念は、既存技術に頼りがちで新技術や新素材の導入になかなか踏み出せない土木技術者に対して、有益な情報や手段を提供しようというものです。その理念のもとに、これからの建設業を変えたい、自分たちの仕事を変えたいという情熱を持った人たちの集団です。しかし、志は同じでも、みんなでひとつのことを一緒にやりましょうというのではなく、加盟会社の担当者がそれぞれにやりたい分野について自由に取り組んでいます。強制ではなく、好きだからやる部活のようなイメージです。今も「VR」をはじめ「UAV」「地盤改良」「BIM/CIM」「新商材」といった部があり、それぞれ意見交換や勉強会を開いています。

Q では、加盟している企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか?また、参加の条件は?

メリットはたくさんあります。情報化施工や新技術、新資材、施工事例といった新しい情報を加盟会社内でいち早く共有することができます。またそれに付随して、導入の際の技術指導も積極的に行っています。さらに、災害復旧工事等でマンパワーや重機等を必要としている地域の企業に対して、ネットワーク加盟会社が調整し、人的・物的サポートを行う「繁閑調整」も可能です。「YDN」のメンバー内メッセンジャーでは、技術者同士の質問解決コーナーも設置していますので、工事での疑問や質問から人材育成の悩みまで、闊達に意見交換を行うこともできます。現在19社(平成30年6月時点)が加盟していますが、参加条件の前提は他の加盟企業と地域で競合しないこと。1年以内に公共土木工事の元請け受注の実績があること。逆に参加できない条件は、従業員数300人以上かつ資本金1億円以上の企業。中小企業一社ではできないことを協同で進めて「地域でオンリーワン」の企業をめざすことが目標です。

Q 先ごろ、「YDN」の活動から生まれた空中撮影の新技術をNETIS登録されたそうですが、どのようなものですか?

ドローン自動航行アプリ『Drone-ize ✕ YDN PRO』ですね。「i-Construction」で用いられるドローンを使った空中写真測量に対応し、誰でも簡単に「i-Construction」基準に沿ったドローンの自動航行設定が可能なiOSアプリです。アプリとドローンを連動させて、測量する範囲をタブレット上で指示するだけで、高度・オーバーラップ・サイドラップ・撮影パラメーターが自動で設定されます。たったそれだけでドローンの自動航行が実行可能です。設定した内容は帳票データとして保存され、しかもそのまま施工計画書に添付する資料として利用できます。

【Drone-ize ✕ YDN PROの使用イメージ】

①機体選択

②カメラ設定

カメラ設定はタップ一つで自動設定DJI社製のドローン最新型(A3は非対応)にも対応。アプリ購入後すぐにフライト可能。リストに無いカメラの追加もできます。

③ミッション設定

速度・高度・解像度・シャッター間隔・オーバーラップ・サイドラップを簡単設定。リアルタイムに「i-Construction」基準の「対応・非対応」を確認しながら設定が可能なので、効率よく作業を進めることができます。(カメラの選択と同時にデフォルトで「i-Construction」基準に設定されています。)

④飛行経路の設定

「i-Construction」新基準に完全対応。国内初、広範囲測量・分割機能搭載で、マップ上をタップするだけで、飛行経路の設定完了。撮影も全て自動で行えます。

⑤飛行開始

⑥空中写真測量計画を帳票出力

ミッション設定した飛行計画を元に、飛行時間・飛行距離・撮影枚数・撮影範囲・高度・地上解像度・ラップ率などの予定を簡単に帳票に自動出力。計画書としてクライアントに提出できます。

Drone-ize ✕ YDN PRO紹介サイト
Q 今後の活動の目標、新しい取組(アイデア)はありますか?

やはり、ネットワークの加盟会社をもっと増やしていきたいですね。今、岩手県から福岡県まで広がっていますが、47都道府県にメンバーがいると、協力にもスケールメリットが出てくると思います。技術開発の面でも、建設現場のニーズと技術力を持ったメーカーや開発会社のシーズを上手くマッチングさせていけたら良いと思っています。そのために、建設関連のメーカーだけでなく、ITベンチャーの起業家たちとも積極的に交流していきたいと考えています。建設業界は長い間、「井の中の蛙」状態でしたが、私たちの世代がどんどん異業種交流を進めていくことで、建設業界がもっと楽しく、もっとかっこいい世界になっていくと信じています。

Q 大矢さんがYDNの活動、また自社の工事現場等でこころがけていることは?

何でも楽しんでやることが大事だと思っています。そして、楽しむためには三つの「余裕」が必要だと。『時間』・『お金』・『こころ』。この三つに余裕があると、どんなことでも楽しいと感じられるのではないでしょうか。今、当社では、私を含めて5人の現場監督がいます。今年もそれぞれが過去最高の売り上げ、過去最高の利益、そしてほとんど残業ナシを達成できると思います。これらも、それぞれが作成した設計データをクラウド上で共有できるようなデータ管理の工夫や、最新ソフトウェア活用の成果だと思っています。また、加盟会社の中には、本年度の国土交通省発注の「ICT活用工事」を受注した企業もあります。YDNの活動が確実に実を結んできている手ごたえを感じていますので、これからもアンテナを張って、失敗を恐れずに進んでいきたいですね。

おわりに

今回、「EE東北」の会場にブースを出展していた「YDN(やんちゃな土木ネットワーク)」に取材を申し込んだところ、代表の大矢さんは、すぐにその場でスマホのスケジュールを確認して、二週間後のアポイントを入れてくれました。YDNの活動が注目され、発注者やコンサルとの勉強会等も増えている中、貴重なお時間をいただきました。本業の工事は大丈夫なのかと思うほど忙しい大矢さんですが、施工高は社内トップ、利益率も社内トップだそうです。地方の中小建設会社が取り組む生産性の向上と改革。これからのYDNの活動に、要注目です。

取材協力・資料提供

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