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現場探訪 優れた工事成績評定の現場、話題の新技術、人材確保に役立つ情報をレポート

話題の現場 

地域のニーズに産学官の連携で向き合う。
復興への課題を協働で解決する新しいカタチ
~復興大学

2014/09/29

「産学官」の協働と連携----いろんなメディアで耳にしたこともあるのではないでしょうか。文字通り、地域の企業や教育機関、行政がそれぞれの得意分野で知恵を出し合い、地域の発展へ向けた協力体制を表すものですが、具体的な取り組みや、こうした動きの中で具現化されている技術については、身近に見聞きする機会は少ないと思います。

今回の現場探訪では、東日本大震災後、宮城県の大学等高等教育機関を中心に設立された「復興大学」の取組を紹介します。産学官の連携の中心となって、地域の企業・団体・行政の抱える問題を解決する新しいカタチとして、ぜひご一読ください。

1. 復興大学の概要

「復興大学」の目的は、被災地に存在する高等教育機関、仙台市、宮城県ならびに県内の自治体等と協力して、大震災からの復興に寄与すること。目的の達成へ向けて、人材育成、教育支援、企業・団体支援、ボランティアの4つの事業を推進しています。

復興大学全体を主管するのは東北工業大学です。

復興人材育成教育コース(事業担当大学:東北大学)

写真1)復興の科学技術(現場実習)写真1)復興の科学技術(現場実習)

「復興大学」の楚となっている「学都仙台コンソーシアム」に加盟する学生を対象。地域の復興に関わりながら、「復興の経済学」、「復興の科学技術」等6科目のコースを修了し、大学卒業後には災害時対応のリーダー的役割を果たす人材を育成する。また、一般市民向け「復興大学公開講座」も実施している。

※学都仙台コンソーシアムとは

平成18年に設立。宮城県を中心とした大学、高専、仙台市、宮城県、商工会議所等が参画している。加盟校に所属する学生は、他大学等で開講される科目を規定の範囲内で履修することができる「単位互換制度」を活用し、学生間の交流を図っている。

学都仙台コンソーシアム
教育復興支援(事業担当大学:宮城教育大学)

写真2)夏休み学習会(南三陸町立志津川小学校)写真2)夏休み学習会(南三陸町立志津川小学校)

震災後の県内の教育の復興、県内の児童・生徒の確かな学力の定着・向上、および現職教員の支援を行う。ボランティアを活用した児童・生徒への学習支援「夏休み学習会」等を実施している。

地域復興支援ワンストップサービス(事業担当大学:東北工業大学・石巻専修大学)

写真3)コーディネーターによる地域巡回訪問写真3)コーディネーターによる地域巡回訪問

被災した企業・団体の活動に必要な支援活動を実施。仙台と石巻にワンストップサービスセンターをそれぞれ設置し、コーディネーターによる地域巡回訪問を通して、地域や企業の抱える課題を調査・抽出し、アドバイザーの助言をもとに、課題内容に応じた学術機関や大学教員とのマッチング、外部資金獲得に向けての支援、解決のためのプロジェクト化の推進、各大学・高専との共同研究等、課題解決に向けた支援を行う。

災害ボランティアステーション(事業担当大学:東北学院大学・尚絅学院大学)

写真4)大学間連携災害ボランティア夏ボラ活動(気仙沼漁業支援活動)写真4)大学間連携災害ボランティア夏ボラ活動
(気仙沼漁業支援活動)

ボランティアステーションを中心に、他地域大学や県内大学の活動内容情報の相互交換、ボランティア活動の相互支援を実施。地域支援を目的としたさまざまな災害ボランティア活動を通して、幅広い地域間連携を行っている。

2. 課題の抽出から解決へ向けた研究開発までサポート

「復興大学」が展開している事業の中で、地域の企業・団体等に対して具体的な支援を行っているのが、前述の『地域復興支援ワンストップサービス』です。

今回、平成25年度 ワンストップサービス仙台センター長、現 復興大学推進本部長を務める、東北工業大学工学部 都市マネジメント学科 今西肇教授に、当事業の取組について詳しくお聞きする機会をいただきました。以下、紹介します。

1) センターの活動の概要について

写真5)今西肇教授(東北工業大学)写真5)今西肇教授(東北工業大学)

図1)フォロー企業・団体・自治体の課題抽出表図1)フォロー企業・団体・自治体の課題抽出表

「平成23年3月11日、東北地方を襲った東日本大震災は、東北の産業・企業に甚大な被害を及ぼしました。悲劇からの一日も早い地域の復興とそれを支える産業の振興を実現するために、被災企業支援を目的に『復興大学 地域復興支援 ワンストップサービス 仙台センター』が設立されました。当センターは、仙台を中心とした教育機関、行政、企業が一体となって、まさに「産学官」協働によるさまざまな取組を効果的に進めています。」

「活動の中心は、地元企業の経営者、大学教授等で構成されるコーディネーターやアドバイザーによる企業・団体・自治体への巡回訪問活動です。これを通じて、今、被災企業等が抱えている問題や課題(ニーズ)を抽出し、委員会で「産学連携」「産産連携」のマッチングを検討します。平成25年度は186件、のべ332回の巡回訪問を行いました。計算では、ほぼ毎日誰かが、被災地のどこかの企業や団体などを訪問していることになります」。

「課題は、技術や商品の開発・改善に関するものから人材不足・育成、資金調達など多岐にわたります。これらをA~Eの5段階にレベル分けし、特に対応が必要と思われるA~Cについて学術機関との連携、産産連携のフォローを実施します。平成25年度は、継続案件も含め、A~Cに該当するフォロー企業・団体・自治体は63件でした。またこれらの案件とは別に、中長期的な課題に対しては、プロジェクト化を図って対応しています。」

※各項目の割合数値は、全体(63件/沿岸:44件・内陸:19件)を分母として算出。

2) 具体的な対応

「上記の63件では、短期課題対応として、『産学連携』のマッチング(13件)、『産産連携』のマッチング(7件)、『研究・支援機関』のマッチング(3件)が具体的支援としてカタチになっています。その他の案件に関しても、コーディネーターによる対応やマッチング先の検討、さらなる課題の抽出を行っています。」

「中長期課題への対応としては、現在、以下の3課題4テーマのプロジェクト推進を図っています」。

写真6)塩釜地区の地盤沈下の様子写真6)塩釜地区の地盤沈下の様子

『技術課題支援』

塩釜水産団地地盤沈下対策
橋梁等の診断システム開発

『地域再生・持続可能な社会づくり支援』

雄勝地区生産とくらしの再生

『商品化支援』

防災減災関連の新商品提案
3) その他の取組

「私たちの使命は、東北復興の鍵となる産業振興の中心となり、企業や団体、自治体の活動を支援することです。平成23年に文部科学省『大学等における地域復興のためのセンター的機能整備事業』が5年間の時限事業として採択され、事業開始から3年が経過しました。平成25年からは、企業・団体・自治体支援と併せ、『復興人材育成』にも積極的に取り組んでいます。学生が復興現場の見学やインターンシップの受け入れを通じて、技術を知り、復興に対して何ができるかを肌で感じてもらうことで、将来のキャリア支援につながればと思っています」。

「また、普段、企業人・社会人と接点を持つ機会の少ない学生に、視野を広く持って、就職活動や将来への選択肢を増やすことに役立てて欲しいという目的から、さまざまな職種の若手企業人・関係機関を招いて、学生が気軽にトークを楽しめる『復興未来カフェ』を開催しています。こうした取り組みを通して、復興を担う人材育成に貢献できればと考えています」。

4) 今後について

「前述の通り、当事業は折り返し地点を迎えました。これまでの活動の中で、地域が抱える課題にもさまざまな変化が見えてきました。例えば内陸部では新しい商品開発等の積極的な投資が進み始めていますが、沿岸部では事業をいかに継続するかが依然として課題とされています。人材の確保にしても同じです。内陸部は発展へ向けた戦略として経験値の高い人材を求めています。一方沿岸部は、事業継続のための労働力の確保が喫急の課題です。ひとことで『東北』といっても、震災後の状況は地域ごと、企業ごとに違います。こうした違いを敏感に拾い上げながら、ひとつひとつ課題を解決していくことができればいいなと思います」。

コンコム事務局より

次回の現場探訪では、この「復興大学~地域復興支援ワンストップサービス」の取組によって生まれた「塩釜水産団地地盤沈下対策~塩釜プロジェクト」と、プロジェクトの調査・研究から開発された新技術『壁基礎工法』について紹介します。さらに、プロジェクトの核となった東北工業大学・都市マネジメント学科・今西研究室の取組について、研究室で学ぶ生徒さんのインタビューを交えて掲載する予定です。日ごろ、なかなか知る機会のない大学教育の現場と、次代の建設業を担う学生が、今、建設業界に対して何を考えているのかをお伝えします。お楽しみに。

取材協力

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