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現場探訪 優れた工事成績評定の現場、話題の新技術、人材確保に役立つ情報をレポート

話題の現場 

作業者の負担を大幅に軽減
安全性と施工性にも優れた次世代足場
「Iq(アイキュー)システム」

2014/12/25

くの建設現場の必需品である「足場」。日ごろ、当たり前のように何往復もしている足場に、何か不具合や不満を感じたことはないでしょうか?

今回の現場探訪は、足場の「何故?何で?」を解消し、より優れた安全性と施工性を実現した次世代足場『Iq(アイキュー)システム』を紹介します。先日終了した「建設技術展2014近畿」にて“注目技術賞”を受賞したこの製品。「何故こんな発想がなかったのか」「発想を具現化するための苦労」「今後の展開」など、開発までの経緯、製品の特長・概要を含め、エスアールジータカミヤ(株) 執行役員機材運用部長 清水貞光氏、ホリー(株) 執行役員開発本部長 南雲隆司氏に伺いました。

次世代足場~Iq(アイキュー)システムの特長

特長1:広い作業空間と安全性を実現
写真1)階高1,900mm、先行手すり1,010mmで安全性を実現(従来品との比較)写真1)階高1,900mm、先行手すり1,010mmで安全性を実現(従来品との比較)
  • 階高1,900mmと先行手すり高1,010mmの採用によって、一般的な成人男性(平均身長172cm)が屈むことなくかつ安全に作業することができる。
  • 支柱間隔1,107mm、建地と床材のすき間も解消。足元を気にせずに作業ができる。
  • 床板に自社製品「Gウォーク」を採用。完全フラットでつまづきの心配を解消。
特長2:軽量化とアイデアで施工効率を大幅に向上
写真2)軽量高張力鋼管を使用した支柱写真2)軽量高張力鋼管を使用した支柱
  • 支柱に軽量高張力鋼管を使用し、重量を約15%軽減。
  • 手すり、支柱結合部に抜け止め機能を設置。大組、大払しも安全スピーディーに。
特長3:組立解体効率を大幅に向上
写真3)緊結部に「横スライド装着方式」を採用写真3)緊結部に「横スライド装着方式」を採用
  • くさびを横からフランジに差し込む「横スライド装着方式」を採用。スピーディーな組立解体が可能。
特長4:コスト削減につながる運搬効率の向上と保管場所の省スペース化を実現
図1)従来品の約60%のダウンサイジングを実現図1)従来品の約60%のダウンサイジングを実現
  • クサビを本体内に格納。梱包状態で従来製品の60%のダウンサイジングを実現。
  • 積載運搬効率を大幅に軽減し、保管時の保管場所面積も約半分に。
動画でみる「Iqシステム」
動画でみる「Iqシステム」
https://www.youtube.com/watch?v=eAeJR6igSK0
  • NETIS(国土交通省 新技術情報提供)/登録番号 HK-140003-A

開発者に聞く

「Iq(アイキュー)システム」を開発しようと思ったきっかけは?
写真4)エスアールジータカミヤ(株) 執行役員機材運用部長 清水貞光氏写真4)エスアールジータカミヤ(株)
執行役員機材運用部長 清水貞光氏

「『Iqシステム』は足場メーカーの光洋機械産業(株)との共同開発によるもので、光洋機械産業さんが新製品として開発した『OKアバンティ』という製品をベースにしています。従来、軽仮設足場業界では、それぞれのメーカーが独自性を重視し、各社独自に規格を定めて開発する傾向が強くありました。このため周辺部材の開発製造も、それぞれの規格を検討し、共通化させる労力がかかってしまいました。また共通化できない場合もあり、この際には製品の種類が増え、少量多品種生産を強いられることから、コストも必然的に高くなる傾向にありました。これは、購入する側からすると、コスト高はもちろん、製造が一社に限定されることによる調達への不安、採用した製品がシェアを落とすリスクなどを抱えることにもなります。」

「こうした業界の現状を踏まえ、弊社グループでは、大規模なアンケートやリサーチを行った結果、業界統一規格を定め、複数メーカーが連携して量産体制を構築することが、コスト面でも、安定的な資材の供給という面でも必要だと考えたわけです。そんな中、たくさんのメーカーに集まっていただき、『次世代の足場』のあるべき姿を検討したわけですが、弊社の想いに積極的に賛同していただいた光洋機械産業さんと連携し、具体的な開発へ進んできたわけです」。

業界のカラを破って、新しい試みへチャレンジした理由は?

「弊社グループは、レンタル・販売を行う「エスアールジータカミヤ」と、製造・販売を行う「ホリー」を中心にビジネスを展開しています。エスアールジータカミヤの社長、髙宮一雅は、次世代足場は『より安全な機材をより安価で供給する』ことが必要で、これを実現するためには、過去の通念にとらわれず、統一規格の製品を複数メーカーで製造し、安定的に購入することで、メーカーを支援する必要があると考えました。一方、ホリーの社長である髙宮章好は、すでに社内で開発を進めていた足場の新製品の発売を中止し、顧客への安定供給をめざすために、光洋機械産業さんが提案した新しい規格による製品の採用に踏み切りました。当然、これまでの自社開発製品を否定するわけですから、社内の反対も少なくなかったと思います」。

「実際に現場で足場を組み立てる職人さんの安全確保と、購入されたレンタル会社や業者の皆さんの整備、保管、運搬によるコストの負担を減らすという両社長の共通の想いが、次世代足場の開発を牽引したのだと思います」。

開発はスムーズに進んだのでしょうか?

「当初は私も、高さ1,900mmは高すぎるのではないか、手すり1,010mmもそれほど評価されないのではないか、支柱を軽量化しても特に意味はないのではないか、などとこれまでの経験から事前にネガティブな結論を出していました。結果として、できない理由を探していたように思います。しかし、現場からの声を聞いてみると、例えば1,900mmの階高にしても、現場の評価は高く、私の調査不足を痛感させられました。いつの間にか先入観や建設業界の古い体質に浸かっている自分に気づかされました。新しいことにチャレンジするキモチを持ってからは、既成概念に捉われることなく進められたと思います」。

従来の足場と「Iq(アイキュー)システム」の最大の違い・差別化は?

「足場の高さ1,900mm、手すりの高さ1,010mmは大きな特徴ではありますが、他社製品との差別化という点では、それほどのことではないと考えています。最も大きな差は、横架材と布板のすき間のない『Gウォーク』と1,107mmの足場幅です。

写真5)すき間のないGウォークを採用(従来品との比較)写真5)すき間のないGウォークを採用(従来品との比較)

これまでの足場は、すき間が大きく、そのすき間を埋めるために手間や労力をかけていました。しかし、この『Gウォーク』と『Iqシステム』を組み合わせることで、まったくすき間のない足場を組み立てることができます。また布板には、240mm幅と490~500mm幅の2種類があり、全種類を組み合わせると布板だけで10種類の布板が使われています。これを490mm幅1種類で対応できるのもこの組み合わせの大きな利点です。さらにこの組み合わせにより、保管コストの削減、すき間を埋める養生コストの軽減、加えて使用後の廃材がなくなることで廃材処理費も削減でき、大きなコスト削減につながることも当システムの特長です」。

今後の課題・改善点、目標は?
写真6)ホリー(株) 執行役員開発本部長 南雲隆司氏写真6)ホリー(株)
執行役員開発本部長 南雲隆司氏

「目標は、このシステムを導入していただいた元請けの企業さんのコスト削減と安全性の向上を実現し、削減されたコストの一部を現場の安全対策費として下請企業に適切に支払っていただく。これによって、組立を行う業者の採算性も向上し、現場で作業を行う職人さんもより安全で快適な空間で作業を行うことができる。工事に関わるすべての企業・業者・人が幸せになることが究極の目標ではないでしょうか」。

「おかげさまで、『Iqシステム』の発売から約半年で50社以上の企業、500以上の現場で導入していただいています。しかしまだまだ製品としてスタートしたばかりです。建設現場ごとに、足場のカタチは異なります。そうしたひとつひとつの現場に対応できるような付属品の開発については、これから、現場の声を拾いながら作り上げていく必要があると思います。また、現在でも、光洋機械産業さんとの2社製造体制で、コスト面や在庫管理面でのメリットはありますが、マーケットに浸透していくことで、もっとメリットを還元することができると思いますので、これからも積極的に製品のPRをしていかなければならないと考えています」。

おわりに

たちも現場取材で度々登らせていただく足場。実は昭和30年代にアメリカから輸入された当初は、「1,930mm」の高さがあったそうです。当時の日本人には高すぎるということで、今普及している1,700mmに改良され、以来、50年以上もそのまま使われていることに驚きました。

厚生労働省が平成26年11月7日に発表した労働災害発生状況は、前年同期1.6%増、の12,909人、うち死亡者は299人(19.6%増)。相変わらず事故の中では「墜落・転落」が最も多く34.6%の4,473人でした。安全な現場の実現こそ、業界全体が掲げている若年層の入職促進への第一歩であることは間違いありません。

安全性と作業性を飛躍的に向上させたこの次世代足場『Iqシステム』が、近い将来、足場のスタンダートとなるのではないでしようか。

取材協力

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