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地域維持型JVの導入事例について
~青森県下北地区における試行から見えた改善点~

2013/06/20

地域維持型JV(建設共同企業体)とは

地域維持型JVの導入事例について

設投資の減少や受注競争の激化等に伴い、災害時の緊急対応、除雪、インフラ維持管理を担う能力のある地域建設企業が減少し、地域社会の維持に不可欠な最低限の維持管理等までもが困難となる地域が生じかねない状況にあることから、国土交通省は平成23年8月に「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」を一部変更、同年11月には、中央建設業審議会において「共同企業体の在り方について」を答申し、地域維持型契約方式を打ち出した。

同方式の導入により、地域のインフラ維持管理を担う企業の経営が安定するなどの効果が期待されている。

地域維持型契約方式とは

図)地域維持型JVのタイプと技術者配置のイメージ図)地域維持型JVのタイプと技術者配置のイメージ

地域維持型契約方式とは、地域維持事業(社会資本の維持管理や災害応急対策など)の担い手の確保が困難となるおそれがある場合に活用することのできる方式であり、今回共同企業体運用準則の中に「地域維持型建設共同企業体(地域の維持管理に不可欠な事業につき、地域の建設企業が継続的な協業関係を確保することにより、その実施体制を安定確保するために結成される共同企業体)」が新たに規定された。この共同企業体には図にあるように甲型と乙型の2タイプがある。

青森県下北地区の試行の状況と課題

業務概要
契約名 平成24年度 国道279号外道路維持管理業務委託
業務場所 下北地域県民局管内
契約者 下北地域道路維持型建設共同企業体
(乙型、構成員13社、代表者:杉山建設工業株式会社)
工期 平成24年4月1日~平成25年3月31日
業務委託費 2億6985万円(税込、当初契約額)
業務内容

① 道路維持補修業務

② 舗装維持補修業務

③ 道路清掃(側溝含む)業務

④ 除草業務

⑤ 機械除草業務

⑥ 路面清掃業務

⑦ 防雪柵管理業務

⑧ 防雪施設管理業務

⑨ 一般除雪(排雪含む)業務

⑩ 春除雪業務

⑪ 道路管理集計等業務

図)平成24年度 道路管理業務の管轄 図)平成24年度 道路管理業務の管轄

今回、全国に先駆けて地域維持型契約方式を導入した青森県の下北地域県民局管内の事例について

平成24年12月、導入の経緯や目的、発注時の発注者側の考え等を、 青森県県土整備部道路課の笹森正幸氏に伺った。

なぜ今回、下北地区で地域維持型JVの試行に踏み切られたのでしょうか?

青森県県土整備部道路課<br />
笹森正幸氏青森県県土整備部道路課
笹森正幸氏

「維持管理に関する建設投資の減少、企業体力の低下、技術者・労務者の減少などの厳しい環境の中、道路利用者の安全安心の維持と災害時などの迅速な対応をする持続可能な維持管理体制が必要であり、また受注者側も発注者側も、人材が足りなくなりノウハウの伝授ができなくなるのではないかという懸念もあり、道路課としても、平成20年度ころから、持続可能な維持管理体制を模索していました。このような状況下で、地域維持型JVが提議されたので試行してみることにしました」。

「下北地区は、現状、オペレーターの高齢化や重機の不足といった問題に直面しているわけではありませんが、近い将来、確実にその問題が発生すること、維持管理の業務の集約化が図られていたことなどから、業者への制度説明を行い、意見を聞くなどした結果、試行にふさわしいと思いました」。

実際に試行を決めるにあたって、受注者側とどのような話し合いがなされたのでしょうか?

「受注者側にとっても、初めての試みとなるため、不透明な部分に対する不安も多かったと思います。しかしながら、インフラの維持管理の重要性や、持続的な施工体制が確保されることの意義、受注者側に大きなデメリットはないということを説明し、理解してもらいました」。

「また当初、県は複数年契約を提案しましたが、受注者側から『初の試みであり運用をみたい』という意見があり、本年度は単年度契約としました」。

試行によって、発注者としてはどのようなメリットを期待していましたか?

「試行前には、発注者として様々なメリットを予測していました。試行によって業者間の交流が盛んになって業者間のノウハウの共有が成され、作業の質の向上・平準化につながるのではないかと考えました。また、災害時や緊急時には業者間の連携によって、人や機械の手配について臨機応変の対応が可能になると考えました」。

「発注者側としては、前年は22本の設計書を必要とした当該業務の契約が一本化したことで、契約業務が大幅に効率化され、経費も削減できました」。

上記のような経緯で全国に先駆けた試行となった下北地域のJVであるが、実際のところどうだったのか。新たな課題が発見されたのか。

平成25年5月、一年の業務を終えたところで、今回の試行の状況や課題、次年度の取組みについて、実際の業務管理を行った下北地域県民局 地域整備部道路施設課の埀井祐司氏とJVの代表者である杉山建設工業 株式会社の白川利郎氏に伺った。

一年の契約を終えて、発注者としての率直な感想を聞かせてください。

下北地域県民局 地域整備部 道路施設課  埀井祐司氏下北地域県民局 地域整備部 道路施設課
埀井祐司氏

埀井:「今回は、地域維持型の『乙型』での契約でしたので、これまでも下北地域の維持修繕に関わってきた業者がそのまま同じ地域、同じ業務を担当していただきました。幸い、大きな災害や緊急対応といったことも起きませんでしたので、発注者としては大きな変化を感じることはありませんでした」。

「しかしながら、県と各社の連絡会議も定期的に開いていましたし、それとは別にJV業者同士での会議も行っていただけたようですので、管内の作業の質の平準化は図れたと思います」。

「まだ初年度ということで、具体的なカタチになっているわけではありませんが、続けていくことで、確実に効果が具現化してくると思っています」。

受注者としてはどうですか?

JV代表者杉山建設工業 株式会社<br />
白川利郎氏JV代表者杉山建設工業 株式会社
白川利郎氏

白川:「今回はあくまでも『試行』という段階でもあり、今後、目に見えるカタチで受注者側にメリットがないと、このままの形態で契約をつづけていくことは厳しいような気もします」。

では逆にデメリットはありましたか?

白川:「業者にとって一番の誤算は支払の問題でした。業務委託での契約でしたので、前払いによる入金がなく、出来高払いとなったため、結果として業者側の経費の借入期間が長くなり、負担になりました」。

今年度も地域維持型JVを続けていくようですが、一年目を終えて、契約の仕方などで改善されたのですか?

埀井:「昨年度の試行を経て、見えてきた課題については、可能な限り変更しました。特に支払の面については、受注者の方々にとっては切実な問題です。今年度は業務委託による契約ではなく、工事発注による契約とすることで、発注時に40%の前払い、中間にはさらに20%の前払いが出来るようにしました。また、春除雪のように年間を通して行うことのない作業については、JVの業務から外すことで対応しています」。

地域割についても変更されたようですが?
図)平成25年度 3JVの管轄 図)平成25年度 3JVの管轄

埀井:「今年度は下北地区を3つに分け、3JVとの契約に変更しました。JV参加の企業の担当地域や業務に変更はありませんが、地域をよりコンパクトにすることで、緊急時対応等の対応がスピーディに行われると思います。また、3JVに分割されたとはいっても、連絡会議については定期的に開催していますので、地域全体の情報交換等は、昨年と同様に行われています」。

一年を終えて、課題を改善しながら、より良い運用を模索しているといったところでしょうか?

埀井:「そうですね。昨年度は試行 (初年度)ということもあり、発注者側、受注者側ともに、手探りの状態で実施してみて、やってみたら想定外の問題点が出てきた。今年度はその課題をひとつずつ改善してやってみようというところです。もちろん、本年度の契約がベストだとは思っていませんし、災害や事故などの不測の事態が起きれば、新たな課題が出てくる可能性もあります。実績を重ねていくことで、発注者、受注者ともにメリットがあるものになればと思っています」。

白川:「受注者側にとって目に見えるような明確なメリットを感じることができれば、それがベストだと思いますけど、地域にとって不可欠な作業ですから、何よりも従来の契約と比べてデメリットがない。というカタチが確立されればいいと思っています」。

取材協力

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