ConCom Constructor's Community
建設技術者のためのコミュニティサイト
2014/09/29
近年の建設業界は10数年来先の見えなかった負の螺旋階段から抜け出せる好機がやってきています。ここでは地域の建設業界を支える技術者に向けて、コスト管理で利益を上げている会社の共通点を具体的な事例を用いて説明します。「監督力向上」が「建設企業力アップ」に直結すると意識して読んでいただければ幸いです。
建設業界で生き残っていくため、また着実に成長しながら安定的な経営を維持していくためには「会社の儲け=利益」を増やさなければなりません。この利益を増やすためには、一般的に次の3つの方法があります。
① 会社の売上を増やすこと
より多くの工事を受注し、売上高を伸ばすこと。これは営業担当者の役割と言えるでしょう。
② 固定経費(一般管理費)をカットしてコストダウンを図ること
毎年かかっている経費は、時代の流れに合っているのか?目的が不明瞭な経費を少し見直すことで、コストダウンを実現することができます。これは、普段、固定費を管理している経理担当者の役割です。
③ 現場の利益率を上げること
これが、実際に現場を管理している監督さんの腕のみせどころです。しかし現状では、現場のコスト管理の方法を確立できている建設会社は少ないのではないでしょうか。
現場管理能力は、これまで工程管理や安全管理、品質管理が最重要だと教育されてきました。しかし①や②をいくら強化したところで、建設会社の利益の源はなんといっても[現場]です。③の現場の利益率が1%あがるだけで、建設会社の本質ともいえる現場力を強くし、会社の経営も改善に向けて大きく舵をきったといえます。
1%の利益アップと言われても、すぐにピンとこないかもしれません。仮に年間工事高3億円、平均粗利益率15%の企業を想定します。この企業の年間粗利益は4,500万円です。この企業が1%の利益改善を実現できれば年間粗利益は4,800万円となり、300万円の利益アップになります。
図1)1%粗利改善のイメージ
「1%=300万円」の利益アップのイメージをさらにわかりやすく現場単位で考えてみましょう。
『〇〇建設』が年間に施工を行う日数を250日、1日の平均現場数を5現場とします。利益を300万円増やすためには
300万円÷250日÷5現場=2,400円
つまり1現場で1日2,400円の改善で、年間を通せば300万円の改善になります。
5人の作業班でひとつの現場を担当していると考えてみましょう。1日8時間労働で1人あたりの日当が13,000円の場合、1分あたりにかかる人件費は
13,000円×5人÷8時間÷60分=135円
わずか135円。
2,400円÷135円=17.77分
ひとつの作業班で1日約18分の時間を短縮するだけで実現できることになります。現場を管理する監督さんが、この数字を掴めるか、掴めないかが1%の利益率UPの別れ道といえます。日頃の現場作業で、「たった18分だから...」と無為な時間を費やすのではなく、「18分の時間をムダにしない」という時間管理、ひいてはコスト管理の視点の切り替えが必要です。
実際の現場は、天候等の条件に左右されることもあり、予定通りにいかないことも多々あります。しかし、「1%の利益改善」の基本は1日1日の積み重ねであることを常に意識して現場管理を行っていれば、必ず結果はついてくるはずです。
今号では、現場の利益率をあげる基本的な考え方について取り上げました。「人件費にして18分の改善ができるかどうか」という監督さんの段取り力を一旦振返り、今後の工事管理を行ってみてください。次回以降、事例紹介を交えてさらに具体的なポイントを紹介していきます。
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