ConCom Constructor's Community
建設技術者のためのコミュニティサイト
2015/7/30
建設業界、特に土木工事では、進捗が天候に左右されることが多く、また同じ条件の現場が少ないことから、過去のデータと比較してコストを予測することが難しいと考える技術者も多いようです。
しかし、現場の段取りは前もって行うのが常です。遅くとも前日夕方には翌日の材料や作業員、機械の手配を済ませます。本号では、これまで行ってきた過去の「コスト集計」や「コスト管理」を、段取りに合わせて“先行的に管理する”効果について紹介します。
終わった作業コストをより少ないタイムラグで集計することが大切であることは、これまでも繰り返し説明してきました。「過去」のコストを集計し、反省点や改善点を考え、明日からの作業コストを先行的に管理することに活かすことが大切です。建設業では昔から「段取り八分」と言われ、朝8時には現場作業を始められるように、測量や丁張りがけ、材料や機械の手配をそれまでに済ませておく監督さんがほとんどです。作業コストも先行管理するクセをつけましょう。それでは、明日の作業コストが事前にわかるとどのように現場管理に役立つのか、以下で説明しましょう。
実行予算作成時の歩掛と比べ、実際の施工時には人員や機械の種類・数量が他の現場との調整によって変更となる場合があります。その際には実行予算から計算された作業単価を基に、作業コストに見合った施工数量を逆算し、損益分岐点を「知る」ことが重要です。
施工数量を事前に把握し、朝礼で作業員などの関係者に目標数量を明示することで、「本日の施工目標」が明確化され、目標達成のための工夫が生まれやすくなります。
損益分岐点を意識して「施工目標を明確にする」と予算と比較して進捗が進まなかった場合又は予想以上に施工数量が伸びた場合に、何が原因であったかを見つける(考える)ことが日常的に行われるようになります。つまり「作業コストに見合った施工数量を逆算する」ことで、自社の歩掛(作業コストに見合った施工数量)を数値化して施工能力を感覚として身につけることができるようになります。机上で「どれくらいの生産性があるか」と考えるよりも、予定を先行管理することで、実際の生産性に基づいて安心して施工することができます。その結果、品質や安全に一層留意する余裕が生まれます。つまり、歩掛を感覚として身に付けることは、今後の建設技術者としてのスキルを上げることにもつながります。
コスト管理は現場でないとわからないので、先行管理ができるかどうかは現場監督にかかっています。
請求書とはコスト結果の一覧表です。支払先ごとにその集計がわかったとしても、工程に対して進捗が予定通りに進んだのか?実行予算通りにコストは収まっているのか?はわかりません。また使ってしまったコストを変えることはできません。先行管理で「リアルタイム」にコストを体感すると、採算性を修正しやすくなります。
先行管理をすることで、日々の進捗と今後のコストを予想しやすくなります。最終的なコストを予想して施工体制を考えていくことが、よりコスト管理の能力を高めていきます。
コスト管理を身につけるためには、「現場を知る」ことが重要です。ある会社では、新入社員が早く現場を覚えようと野帳に使用機械を書き、コストを集計している姿が見られるようになりました。該社では、この方法をロスノートと名付け、自分が取り組める「気付き」を記録させています。
次号では、自社のコストだけではなく協力企業と一緒に施工力や利益率をあげるための管理手法について紹介します。
現場の失敗と対策
コラム
トピックス
2021/03/30
国土交通省では2017年より「i-Construction大賞」を創設し、建設現場の生産性向上を進めるために、優れた取り組みを表彰して広く紹介しています。有効性・先進性・波及性の観点から選考された第4回の...
トピックス
2021/03/30
コンコムを運営している一般財団法人 建設業技術者センターでは、良質な社会資本整備の前提条件である建設技術者の確保・育成に寄与することを目的に、建設技術者及び建設工事の施工管理に関する調査...
Copyright © 2013 一般財団法人 建設業技術者センター All rights reserved.