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2014/11/27
実行予算書作成は、現場の歩掛(生産性)を予測し、工事費を構成する予定コストを積み上げ、利益の予定と全体の工事費を計算する作業です。前号では①実行予算は着工前までに作成すること②作成準備として作業をグループ化し現場に即した管理を行う方法について紹介しました。
今回は、現場運営でロスを最小限にするために活用できる実行予算の考え方(=ロス管理)について説明します。ロス管理とは、ミスや確認不足により生じる「時間」「支払」「生産性」などのムダを減らし、余分なコストが発生しないように管理するやり方です。
利益を増やすための考え方のひとつに「原価要素の単価を下げる」ことがあります。機械などをレンタルする場合、原価要素の単価を下げるためには、日契約よりも月極契約、もっといえば年間契約の方が、一般的に1日当たり単価が下がります。
例:バックホウの機械レンタルの契約について
会社によって自社機械とレンタル機械の保有比率は異なりますが、例のように小規模工事ではレンタル機械をスポット(日契約)で契約することがあります。ただし、日契約で10日を超えてレンタルするのであれば、月極契約のほうが安くなる地域が多いようです。なお、レンタル会社によっては、朝◯時までに豪雨や現場段取りの不測事態等で施工中止の連絡をすれば、その日のレンタル代が免除されるケースもあります。
上記の例で、それぞれの現場1日当たりのコストを確認します。
Aでは、請求期間の稼動日を把握せず1週間程度の工事と仮定し日契約を行っていた場合、現場に機械が置かれてあった期間のレンタル代が請求されます。
機械単価/日 110,000円÷7日=15,714円
Bでは、事前の契約で11日以上の期間になった場合月極契約に変更できるとしておくことで、月極の単価に変更できる場合があります。
機械単価/日 100,000円÷7日=14,285円
Cでは、非稼働日(日曜日、豪雨中止等)のレンタル代を免除できるように交渉している場合です。
機械単価/日 70,000円÷7日=10,000円
土木工事では、日曜日などの休みの他に予期しない状況で現場が稼働できないことがあります。
豪雨などの激甚な自然気象により現場施工を止めた(現場非稼働により生産できない)場合のレンタル費についても、免除されるケースがありますので、事前に協議しておきましょう。
実行予算作成の際の手順としては、①原価要素ごと(ここではバックホウを示す)に施工に必要な稼働日数を計算する②現場の休日を考えた時のレンタル期間は何日間になるのか③稼動日数とレンタル期間を比較して日契約の場合と月極契約の場合とどちらが最適であるのかを検討するとなります。
今回のように「契約の形態によっても現場のコストを下げる」ことができる場合があります。
燃料費のように単価の変動が頻繁にあるような原価要素について、綿密にコストを管理しようとすると、事務作業が煩雑になりがちです。
実行予算では、「運搬車両1ヶ月あたり◯◯円」と必要な車両の燃料費を積算し、日々の管理では数量で押さえ、請求書が届いた時にコストを確定させ金額が予算内であるのかを都度対比することとした方が現実的であり、そのように実施している企業も多いのです。
ロス管理とは、無駄な支出を最小限にするための考え方です。生産性を向上させることだけではなく、現場運営に無駄を発生させないことにも視点を向けて実行予算を作成していきましょう。
今号では、現場運営に役立つ、ロス管理の考え方について取り上げました。
次号では、実行予算書と工程表の関係について、ポイントを紹介します。
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