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2014/04/24
前回は、「安全施工サイクル活動」の中の「各種安全活動」の内、「KY活動」の活性化について述べたが、今回は、「ヒヤリハット運動」「一声かけ運動」「災害事例教育」について述べる。
この安全運動は投稿ポストとヒヤリハット用紙、筆記用具等を用意し、作業員の休憩所等に置いてヒヤリハット事例を集め、投かんされた用紙を確認し、ヒヤリハットの原因・対策を考え、その対策を現場作業に反映していく運動であるが、以下の問題点がある。
① マンネリ化し、宣伝はしてもいつの間にか集まらなくなってくる。
② 提出してから対応までに時間がかかる。
③ 対策を作業員自身が考えず、その指示が元請からの一方的なものになりがちである。
ヒヤリハット運動の良い事例(仮に「一時間ヒヤリハット運動」と称する)を紹介する。公共工事では月に1回、半日以上の安全教育が義務付けられている。その安全教育の一環として実施してもよい。しかし毎月行っても意見が出にくくなるので、3か月~4か月程度の頻度で行うとよい。その手順を以下に記す。
一時間ヒヤリハット運動の手順
① ヒヤリハット用紙と筆記用具を用意する。
② 作業員を小グループに分けて元請職員をそれぞれのグループに配置する。
③ 最初の10分でヒヤリハット用紙に「最近のヒヤリハット」を記載してもらう。
(10分は長いが黙って待っていると何か書いてくれる)
④ 次の25分でヒヤリハットを発表してもらい、全員で「原因」と「その対策」を考えてもらう。
一つの事象で対策が多く出た場合は2つ以内に絞る。(いくつも決めると焦点がボケるのでこれだけを守れば災害が発生しないと思われるものに決定する。)採用しない対策もせっかく意見を出してくれたのだから、発言者に「あなたが提言した対策も大事ですので、あなた自身でその対策も行ってください。」と指示する。
⑤ 次に全員が集まって20分程度で各グループの発表を行い、小グループで決めた安全対策の周知徹底を行い、最後の5分で総括する。
この方法だとヒヤリハットの募集から始めて、元請職員、職長、作業員等、全員で考えた安全対策が、その場で1時間の内に全作業員に周知徹底されることになる。
作業員の危険行動や近道行動を見つけたら直ぐに注意をしなければならないが、最近、元請職員・協力会社職長等に声が出なくなってきている傾向が見受けられる。危険行動を見ても瞬間的に反応出来なくなっているのである。そこで「一声かけ運動」が大切な安全運動の一つとなっている。多くの現場で実施されてきているが、実際には声をかけづらく、かけ声倒れになっている現場が散見される。
この安全運動をより活性化するためには、ヘルメットの前・後に大き目のシールを貼り、名前を記入する。そして朝は大きな声で「○○さんおはよう」の挨拶から始め、仕事の指示や安全の注意まで普段から名前を呼び合うようにすると声が掛けやすくなる。一声かけ運動をやる際は、“名前シール貼り”も併用すると活性化される。
災害事例教育は、最近発生した災害事例や他現場で発生した災害事例等を、集合教育として朝礼又は安全教育として会議室で行ったりしている。しかし、この方法だと朝礼又は安全教育等が終わり、作業員が安全広場や会議室を出た途端に頭の中はリセットされ、現場ではいつものモードに戻ってしまいがちである。
災害事例教育は現場に関係のある事例を用意し、現場で再現する。そして作業する人達全員で原因を考え、対策を考える。このような手法で実践すると自分達で考えた安全対策が具体的なこととして把握され、実行されやすくなる。対策は、一つか二つにし、多くても三つ。多くあると焦点がぼけて、頭の中に入りにくくなってします。「これだけを守っていれば災害は起きない」という一つの対策が一番いいのである。元請職員、職長、作業員それぞれの立場で守る対策を一つずつあげてもよい。
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