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2014/11/27
まず、今回の工事の概要について、中部地方整備局木曽川上流河川事務所・上野広志副所長、加納啓司工務課長にお伺いしました。
犀川流域の内水氾濫域に位置する本巣市・穂積市・大垣市・北方町は人口約26.6万人で、特に犀川が長良川に合流する内水氾濫域は、近年住宅化が進行しています。このため、概ね40年に1回程度起こる大雨により想定される内水氾濫被害を、排水機場等を整備することで軽減するため、当事業を実施しました。
本工事は、前年度までに新設の排水機場整備と既設の排水機場撤去を実施し、残りの築堤盛土、法覆護岸工、仮締切撤去及び付帯道路工等を24~25年度に実施したものです。
優良工事となったポイントは主に次の5点です。
①低振動工法の選定
既設の護岸に接する付近の鋼矢板引き抜き作業において、矢板と既設護岸本体基礎が50㎝程度しか離れていなかったため、既設護岸への振動による損傷を極力低減させることを目的に、影響範囲において低振動工法である油圧バイブロ工法を選定し実施するとともに、振動計を設置し確認しながら丁寧な工事を実施しました。
②盛土工の品質管理
盛土工において最も重要な項目は盛土材(山土)の含水比管理です。現場に到着する盛土材の含水比を毎日確認して、最適な含水比の確保を実施しました(通常は工事中1回、含水比を確認)。
③使用目的に合わせた発生土の品質管理
発生土(約4万㎥)の使用先が4か所に分かれる中、それぞれの使用目的に合わせて発生土を分類しました。特に木曽川右岸堤の築堤材として使用する発生土は、築堤材として良質な盛土材となるように、発生土の粒度振い分けを行い、粒度分布の良い状態で締固めを行いました。
④堤防道路の仮回し道路から本設道路の切り替え時の通行止め期間の短縮
約10000台/日の交通量のある県道の管理者との協議の結果、土日も継続して工事をすることにより、通行止め期間を当初より短い30日と設定し、完了しました。
⑤ダンプトラックの確保
当初発注時には、発生土の運搬先が2か所でしたが、契約後、市町村からの残土受け入れ要請等により、4か所に運搬することとなりましたが、運行計画の見直し、他からのトラックの確保により必要台数を確保することができました。運搬距離も長くなり、ダンプトラックの確保が非常に困難な状況の中で、安全管理を確保しつつ、効率よく土砂の運搬が行えるように工程管理を実施しました。
地元の高校からインターシップ活動として学生を招き入れ、本工事で現場体験を実施、また地元の工業高等専門学校生に対して、出前講座を開催し、その後、現場で「測量・丁張り体験会」を実施、建設業の魅力を実体験させることで、将来の建設業界の人材確保へ向けた取り組みを行いました。
では、実際の施工者は工程管理や品質管理等について、どのような工夫、注意をされたのか、杉山建設株式会社・杉山文康代表取締役、松岡英憲取締役技術部長、杉岡宏明工務部工務課長に話を伺いました。
前年度業者から3月の下旬に引き渡しがあり、出水期の6月までに残りの築堤護岸を完成する必要がありました。工期が短いため、盛土作業と法枠作業を併行して行いました。盛土作業は手戻りが許されないので確実な締固め管理が必要で、日々搬入されてくる購入土に現場含水比試験を実施し、その日の的確な対処方法(干す、散水する等)を行いました。
河川敷内で発生する土(4万m3)を残土受け入れ地へ運搬する必要がありました。そのうちの一つは32km離れた木曽川左岸で、土砂運搬中の交通災害が危惧される中、通常の安全管理(通行ルート調整、地元説明、工事用看板、運行マップ)に加え、運搬時における問題点を把握し日々改善していくために、全運転者に「運行なんでもメモ」を配布し、体験したこと、感じたことを報告する取り組みを実施しました。
また、期間が1か月間と制約された県道の復旧工事については、工程を組み上げるまで何度も見直しを行い、さらに発注者、受注者で幾度となく打ち合わせを行い、事前の工事管理計画の精査をしました。
常に先の先を読まないと現場が手詰まりになると心掛けていました。照査の時点でありとあらゆるリスクを割り出したことにより、工期内に完成することができました。また、出水期間中の作業は、非常に気苦労がありましたが、無事故で完成することができました。
工事に関係する全ての人に会って会話すること、また工事に起因する全てのリスクの洗い出しを行い、先行して協議簿を作成しています。
設計図書と現場が一致しているか現場を歩いて良く理解することも重要です。その地域の特有なこと、気象・地理・制約条件、諸官庁、地元、施工時期、施工内容をよく理解し、さらにこれらのことはどこかで因果関係を持っていると考えることです。
また、第三者の気持ちで現場を観察することです。
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