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2015/11/26
当社は元々、四万十川の上流の津野町を本拠とした重機の会社でした。重機を使って土工事を行うと必ずのり面ができますが、そののり面保護工事は小さい工事でも全国大手の専門会社が施工していました。その様子を見ていると自分たちでも出来ると思いましたので、のり面工事に進出しようと考えました。
この際、営業エリアも県下全体に拡大しようと考えましたから、資機材を自社保有として「機械力」を前面に出してセールスポイントにしようと考えた次第です。ですから、スカイステーションを導入するときも会社の存在をアピールすることが目的の一つだったので、稼働率や採算性はあまり考えなかったというのが実体です。
ただし、スカイステーションに関していえば、風力発電の工事やメンテナンスの仕事が出てきましたし、ゼネコンから要請があってスカイステーションとオペレーターを派遣するケースもありますから、元は取れたと考えています。派遣先のゼネコンからは工事が早いという評価をいただいているので、建設機械としても優れたものを購入したと考えています。
(コンコム事務局;スカイステーションについてはホームページに写真が掲載されています。是非ご覧ください。http://www.tanibuchi.co.jp/99_blank002.html)
自社で資機材をできるかぎり保有しようとしたもう一つの理由は、リース頼みでは社員に真の技術力がつかないと思ったことです。今回の工事でもそうですが、現場条件と自社にある資材を両にらみして、どういう段取りで施工しようかと考えるからそれが新しい工夫につながるし、ノウハウとして蓄積されていくことになって会社の強みになると思っています。今回のような難易度の高い現場で結果がでると達成感もあります。
当初設計は無足場工法でした。しかし、厳しい工期の中ですべてのアンカーを安全に無足場で施工しきれるだろうかと思いました。それは会社全員の認識でした。そこで、社長も交えてみんなで経験を出し合って検討しました。社長も現場を3回見に行っています。そうするとのり面の下で足場を組めるのではないか、「足場+無足場」の併用を提案しようということになりました。自社で保有している仮設材の組み合わせを熟知しているから出来た提案だと思っています。発注者にも変更設計でみてもらいました。
今回のような現場では、作業員が安心して作業に専念できるようにすることが安全対策の基本だと思っています。ですから会社独自の取り組みとして三点取り組みました。 まず、「しっかりした足場を組む」というのが安全対策の基本です。足場を利用して施工する範囲をできるかぎり広くすることを考えました。
二点目です。今回の工事はできるかぎり原地形に手をつけないという方針だったため、アンカーの台座と地形の間に隙間が出来てしまい、受圧板で押さえるまで台座が不安定だったのです。そこで用心鉄筋で台座を縦方向に連結して動かないようにしました。
三点目は施工斜面を事前に入念に点検したことです。この結果、不安定な個所があることがわかり、事前協議を行ってモルタル吹きつけをして施工中の災害を未然に防ぐ対策をしています。
この現場には前工事から使っていた伸縮計が設置されていましたから、伸縮計が作動した時の避難訓練もやっています。気象情報もインターネットで入手するようにしていました。
フィットフレーム工法などのり面工の本体工自体は実績の多い工法だったので問題はなかったです。ざぶとん裏込め工で仕上り面の通りをよくすることがポイントですね。
県工事は多くやらせてもらっていますが、国土交通省の砂防工事は最近実績がなかったので、書類整理の仕方を勉強するのが大変でしたね。インターネットで書類のひな形が入手出来るのでこれを参考にしたり、前年度の施工会社さんに作成方法を教えてもらうこともしました。監督官詰所にも相談にのってもらいました。
当社は県の次世代育成支援企業の認定を受けていて、申し出があれば育児期の若い社員には残業をさせないようにしています。だから、書類整理などは自ずとベテランが残業することになります。書類の簡素化をもっと進めてもらえるとうれしいですね。
変更で路側側壁が追加されました。作業の種類が違うので、のり面工の部隊に負担が掛からないよう別のパーティを編成して施工にあたらせました。ここは四国でありながら雪の舞う地域ですから、寒中コンクリートになったことも苦労した点です。いずれにせよ、現場に任せっぱなしということでなく、状況の変化に応じて本社の応援があったので助かりました。
「残業しなくても良い」ということは採用する時にはPRしていますが、学生さんの表情をみているとピンときていないかも知れません。
若い社員の教育では、ベテランと一緒に仕事をさせるようにしています。出来る限りフォローするようにはしていますが、見よう見まねで身につけてもらうしかないのではないかと考えています。
今までの自分の経験で考えると、発注者が考えている標準工期は厳しいことが多いように思いますね。それから工事内容にもよりますが、工期短縮に効果がありますから、二次製品をもっと活用してもいいのではないかと考えます。
二点目は、当初設計に詰めが甘いケースがあるように思います。この場合は設計変更が避けられなくなる。完全な事前調査はできないということもわかるし発注者も忙しくて現場をみる時間もないということもわかりますが、発注者・受注者は協働事業者という認識にたってお互いの立場を尊重して変更協議にのぞむ姿勢が大事だと思います。
作業員が働く環境を整えることが重要と考えます。
安心して作業が出来る環境を作ることを心がけています。自分で現場を歩き、ここにはこんな物が必要とか、ここをこうすれば安全に作業が出来るのでは。色々な対策を常に考え、時には、現場にかかわるすべての人の知恵を絞り出して安全を考えることもあります。作業員の休憩所には、エアコン・暖房施設を設け、気持良く過ごせる環境も作っています。
また、厳しい条件下での作業が多く、作業員にも厳しい指示をする場面も多々ありますが、命令ばっかりではだめで、休憩中等に作業員・協力会社の人といろいろな話をし、時には冗談話で現場の雰囲気を和ますことも大事な心がけです。
(文責 森田悦三)
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