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土木学会が平成12年に設立した認定制度──『土木学会選奨土木遺産』。顕彰を通じて歴史的土木構造物の保存に資することを目的に、500件を超える構造物が認定されています。
コンコムでは、たくさんの土木遺産の中から、最寄り駅から歩いて行ける土木遺産をピックアップし、「土木遺産を訪ねて─歩いて学ぶ歴史的構造物─」を不定期連載します。駅から歴史的土木構造物までの道程、周辺の見どころ等、参考になれば幸いです。
みなさんも旅のついでに少しだけ足を延ばして、日本の土木技術の歴史にふれてみてはいかがでしょうか。
認定年 | 平成22年度(2010年度) |
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所在地 | 愛知県名古屋市 |
塔高さ | (中川運河側)約20m(堀川側)約22m |
完成年 | 昭和5年(1930年) |
今回は名古屋駅から歩きましたが、最寄り駅である名鉄名古屋本線の山王駅からは徒歩5分程度です。山王駅から帰路につくことも考えましたが、松重閘門で中川運河とつながっていた堀川を上流に向かって5分程歩くと、同じく選奨土木遺産である『岩井橋』があるので訪ねてきました。
認定年 | 平成19年度(2007年度) |
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所在地 | 愛知県名古屋市 |
橋長 | 30.0m |
幅員 | 29.5m |
構造形式 | 鋼製アーチ橋 |
完成年 | 大正12年(1923年) |
岩井橋は日本に現存する2番目に古い鋼アーチ桁橋で、側面の半円アーチ形の飾り板が印象的です。岩井橋のかかる堀川は名古屋城築城時にその材料運搬のために開削された運河であり、江戸時代から昭和にかけて名古屋物流の中心として活用されてきました。橋の四隅には船の荷揚げ用の階段が今も残っており、その名残を感じさせます。
松重閘門は、新たに開削された中川運河と堀川をつなぐ閘門として昭和5年(1930年)に完成すると、物流量を大いに増大させました。しかし、物流が船から道路輸送へと変化したこともあり、昭和43年(1968年)に使用が停止され、その役目を終えました。松重閘門を解体する案もありましたが、塔の保存を求める市民からの声も多く、昭和52年(1977年)に永久保存が決定され、現在は松重閘門公園の一部として整備されています。
現在、名古屋市では『松重閘門』を再び堀川と接続することで、名古屋城から名古屋港までの観光船を就航し、観光資源として活用しようとする案も出ているそうです。『岩井橋』と『松重閘門』という2つの土木遺産を通る観光船、是非実現して欲しいと願います。
【今回歩いた距離:約6km(名古屋駅~松重閘門~岩井橋~名古屋駅)】
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