トピックス 建設業界で話題の出来事をConCom独自の視点でご紹介

2023/12/01

『マダム、これが俺たちのメトロだ!インドで地下鉄整備に挑む女性土木技術者の奮闘記』

『マダム、これが俺たちのメトロだ!インドで地下鉄整備に挑む女性土木技術者の奮闘記』

(表紙画像は出版社ホームページより)

発行/佐伯印刷株式会社出版事業部(現・株式会社佐伯コミュニケーションズ)
著者/阿部玲子
発行日/2018年3月
価格/本体1,500円+税
ISBN/978-4905428831

「けんせつ小町」「ドボジョ」―――。日本の建設業でも、女性活躍の場が広がりつつある。国内でさえまだ女性進出が珍しかったころ、すでに海外で土木技術者として活躍した女性がいた。当著は、日本のODA(政府開発援助)によるインド初の地下鉄「デリーメトロ」整備に、2007年からトンネルエキスパートとして指揮を執った唯一の女性土木技術者「マダム・アベ」こと、阿部玲子氏の奮闘記である。
著者は、地元・山口の海底を貫く関門海峡トンネルのスケールに圧倒され、幼少期から「大きなものを作りたい」と土木工学の道を志した。「女性だから」という偏見や〝見えないバリア〟に屈することなく、土木技術者として活躍の場を求め、海外留学、ゼネコンから建設コンサルタントへ転職。メトロ整備には知見やノウハウをもたない事業主に代わり、入札書類の準備から契約、施工監理、運営・維持管理、品質・安全管理に至るまで各工程を統括するエキスパートの一人としてのぞんだ。
読みどころの一つが、安全管理への対応だ。現地では作業員がヘルメットや安全靴すら装着しないこともあり「日本での当たり前が当たり前でなかった」というが、その現地の人々に〝日本流〟の安全管理を根付かせるべく、安全、環境対策を自ら提案。人脈をフル活用して解決に挑む姿が頼もしい。
「一人でも多くの若者に同じ道を志してほしい」との思いから、自身が入職して土木エンジニアとして独り立ちするまでの軌跡、紆余曲折も盛り込んだ。タイトルには、「現地のタクシー運転手が誇らしげに話してくれた、最もうれしかった言葉を選んだ」と振り返る。国際協力に関心のある方、土木分野を志す女性必読の一冊。

新着記事

現場の失敗と対策

2024/05/01
基礎工事 3)既製杭 中掘り拡大根固め工法での根固め部の負圧発生による杭の沈下

土木遺産を訪ねて

2024/05/01

File 35 梅小路機関車庫

今回の歩いて学ぶ土木遺産は、JR京都駅から、土木遺産に認定されている扇状の機関庫「梅小路機関車庫」(京都鉄道博物館内)をめざす行程です。京都駅からJR嵯峨野線に乗って...

トピックス

2024/05/01

「監理技術者制度運用マニュアル」を改正 ~国土交通省~

国土交通省では、令和4年(2022年)5月にとりまとめた「技術者制度の見直し方針」において示された ① 技術者の専任制度の見直し(専任現場の兼任、営業...

今月の一冊

2024/05/01

『トコトンやさしい 土木施工の本』

土木工事の施工方法は、安全性はもちろんのこと工事費や工期だけでなく、構造形式、材料、環境条件など、さまざまな要因によって変わる。本書は、そうした施工方法を...

働き方改革

2024/05/01

日常の労務管理Q&A 第1回~労働時間の基本

建設業においても時間外労働の上限規制がスタートをしました。工期の問題等様々な問題を抱える中で、今後は厳しい時間...