トピックス 建設業界で話題の出来事をConCom独自の視点でご紹介

2024/03/01

『ドボク模型 大人にも子どもにも伝わる最強のプレゼンモデル』

『ドボク模型 大人にも子どもにも伝わる最強のプレゼンモデル』

(表紙画像は出版社ホームページより)

発行/株式会社日経BP
著者/藤井 俊逸
発行日/2023年12月
価格/本体2,800円(税別)
ISBN/9784296203772

地滑りはなぜ起きるのか。落石をどう防いでいるのか――。
安全で快適な暮らしを支える土木は、その実態がほとんど知られておらず、よく分からないから人気もない。そんな土木への理解を深めてもらうため、著者自らが考案した「ドボク模型」を使い、イベントなどで土木技術の説明会を展開、好評を博している。「ドボク模型」は100円ショップ等で手に入る身近な材料を使い、自然災害や事故が起こるメカニズム、その防止策をわかりやすく伝える工夫が施されている。
 そうした数々の土木技術を紹介するため、日経コンストラクションで連載したコラム「ドボク模型プレゼン講座」をまとめた一冊だ。写真をふんだんに使用し、子どもでも分かるように模型の作り方や実験方法をやさしく紹介するだけでなく、その内容をわかりやすく説明するための方法やポイントも掲載しているのが特徴だ。
 特に興味を引くのが、第10章「土塊を動かす水はどこから?」だ。切土法面がしばらくしてから地滑りを起こすメカニズムを、地盤に見立てた豆腐を「おたま」でくり抜いて説明する内容には、思わず納得してしまう。

豆腐を地すべり土塊に見立て、地下水の流れを考察するドボク模型

豆腐を地すべり土塊に見立て、地下水の流れを考察するドボク模型

(出典『ドボク模型 大人にも子どもにも伝わる 最強のプレゼンモデル』
藤井俊逸 著、日経コンストラクション編、日経BP)

 本書の簡潔で分かりやすい説明が評価され、現在は建設コンサルタントやゼネコンなどの、土木を学んでいない新入社員教育などにも用途が広がっているという。中堅技術者にも好評で、設計の本質を再確認するため社員研修で活用される機会も増えている。著者は「デジタルが普及している今だからこそ、ドボク模型のようなアナログの良さがより実感できている気がする」と手応えを語る。「ドボク模型を前にすると、熟練技術者も若手技術者も、自然とディスカッションできる」「自分でものを作るのが楽しかった記憶をドボク模型で共有するので、自然と会話が弾むのではないか」とも。
 巻末にあるQRコードを読み込めば、本書で紹介している模型のつくり方や解説を数分の動画で見ることができる。若手技術者や学生、一般市民だけではなく、子どもの夏休みの自由研究の助っ人にもなってくれそうだ。

新着記事

インフラ温故知新

2025/06/02
vol.3 岩手のインフラ 釜石線と北上川ダム群を中心に

現場の失敗と対策

2025/06/02
土工事 2)盛土・軟弱地盤 カルバート工事における置き換え基礎の変状事例

コラム

2025/06/02
コンクリート工事における生産性向上とプレキャスト工法の活用

今月の一冊

2025/06/02

『インフラメンテナンス大変革 老朽化の危機を救う建設DX』

高度経済成長期に整備が進んだ社会インフラ--。その老朽化対策はいまや社会課題となり、維持管理や更新の在り方は岐路に立たされている。加えて...