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2025/03/03

日常の労務管理Q&A
第6回~育児休業について

第6回 育児休業について

Q男性社員から育児休業を取得したいという申し出がありました。男性の育児休業の制度を教えてください。

男性には出生時育児休業(通称:産後パパ育休)制度と育児休業制度の2つの種類があります。
産後パパ育休とは、育児休業とは別に子の出生後8週間以内に4週間(28日間)まで取得可能な制度です。育児休業とは、原則、子が1歳になるまで取得できる休業のことをいいます。

産後パパ育休 育児休業
対象期間 子の出生後8週間以内に 原則、子が1歳に達する日まで
日数(上限) 28日間 特になし
申出期限 原則、休業の2週間前まで 原則、休業の1か月前まで
分割取得 分割して2回取得可能
(初めにまとめて申し出ることが必要)
分割して2回取得可能
(取得の際にそれぞれ申出)
休業中の就業 労使協定を締結している場合に限り可能 原則不可
育児休業給付 あり あり
産後パパ育休と育休を分割して取得すれば、最大4回にわけて育児休業を取得することができます。

Q育児休業を取得したとき、会社は給与を支払わなくていいのですか?

育児休業期間中はお仕事をしていませんので、その期間の給与は発生しません。とはいえ、収入がなくては生活できませんので、休業期間中の生活を支えるために、雇用保険制度から「育児休業給付」をもらうことができます。育児休業給付の対象者は、1歳に満たない子を養育するため育児休業を取得する人です。

育児休業給付の内容と支給申請手続き

Q育児休業を延長した場合、育児休業給付も延長して取得できますか?

育児休業給付金は、原則1歳になるまでですが、保育所等に入所を希望していたにもかかわらず、入所ができないといった場合に、1歳6か月に達する日の前日まで給付金をもらうことができます。また、同様の理由で1歳6か月以後も引き続き育児休業を取得する場合、最大2歳に達する日の前日まで再延長をすることができます。ただし保育所等へ入所できずに延長申請をする場合には、保育所等の入所不承諾書の通知書等が必要になりますので、注意が必要です。

Q育児休業期間中、社会保険料が免除されると聞きましたが本当ですか?

被保険者および事業主負担分の社会保険料が免除されます。

■毎月の報酬に関わる保険料の免除

①産前産後休業期間
休業開始日の属する月から休業終了日の翌日の属する月の前月分までが免除

②育児休業期間等
休業開始日の属する月から休業終了日の翌日の属する月の前月分までが免除
これまでは、開始日の属する月と終了日の属する月が同一の場合は、終了日が同月の末日である場合を除き、免除の対象となっていましたが、令和4年10月1日以降に開始した育児休業等については、育児休業開始日が含まれる月に14日以上育児休業等を取得した場合にも免除となりました。

■賞与に関わる保険料の免除

令和4年9月30日以前に開始した育児休業期間等では、月末が含まれる月に支給された賞与にかかる保険料は免除の対象でしたが、令和4年10月1日以降に開始した育児休業等については、当該賞与月の末日を含んだ連続した1ケ月を超える育児休業等を取得した場合に限り、免除の対象となっています。

Q社員の育児休業取得にあたって、会社として対応しなくてはいけないことはありますか?

令和4年10月1日から産後パパ育休が創設されたこともあり、育児休業を取得しやすい雇用環境の整備、個別周知・意向確認の措置が義務化されました。

①育児休業を取得しやすい雇用環境の整備
事業主は、下記のいずれかの措置を講じなければいけなくなりました。

①育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施

②育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備(相談窓口設置)

③自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供

④自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

②妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置
本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して、事業主は育児休業制度等に関する以下の事項の周知と休業の取得意向の確認を、個別に行わなければなりません。
※取得を控えさせるような形での個別周知と意向確認は認められません。

周知事項

①育児休業・産後パパ育休に関する制度

②育児休業・産後パパ育休の申し出先

③育児休業給付に関すること

④労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取り扱い

個別周知・
意向確認の方法
①面談  ②書面交付  ③FAX  ④電子メール等 のいずれか
注:①はオンライン面談も可能。 ③ ④は労働者が希望した場合のみ。

Q育児休業を希望している社員がいます。営業所の事務担当者ですが、会社として営業所に新規の人員を配置することが難しい状況です。いつ復帰するかもわからないので、次の人を採用したいのですが、退職を促すことは問題でしょうか?

育児休業等の申し出・取得を理由に、事業主が解雇や退職強要、正社員からパートへの契約変更等の不利益な取り扱いを行うことは禁止されています。妊娠・出産の申し出をしたこと、産後パパ育休の申し出・取得、産後パパ育休期間中の就業を申し出・同意しなかったこと等を理由とする不利益な取り扱いも禁止されます。また、事業主には、上司や同僚からのハラスメントを防止する措置を講じることが義務付けられています。

●ハラスメントの典型例

・ 育児休業の取得について上司に相談したら「男のくせに育児休業を取るなんてあり得ない」と言われ、取得を諦めざるを得なかった。

・ 産後パパ育休の取得を周囲に伝えたら、同僚から「迷惑だ。自分なら取得しない。あなたもそうすべき。」と言われ苦痛に感じた。

【まとめ】

育児休業というと「女性のための制度」といったイメージが強かったかもしれませんが、最近では男性の育児休業の取得率も上がっています。最近の若年者には、男性が主で働き、女性はサポート的な仕事を行うという考え方は減っています。このため、終身雇用が当たり前の中で育ってきた上司と、今の若年者との間には価値観のギャップがあるように感じます。女性の育児休業は受け入れられつつも、未だ男性の育児休業には抵抗を感じる方も多いのではないでしょうか。核家族化が進む中で子育てをしていくのであれば、男性も育児に参加をしていかなければ女性が就業を継続していくのは難しいのです。男性の育児休業の取得についても、社内での受け入れ体制が重要になっています。社内での周知、教育を実施し、誰もが当たり前に育児休業を取得できるようにフォローをしていきましょう。

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