2024/10/01
(表紙画像は出版社ホームページより)
発行/旬報社
著者/長谷川 敦
発行日/2022年8月
価格/本体1,600円(税別)
ISBN/9784845117703
明治時代の洪水被害を契機として、首都圏を水害から守るべく計画された人工河川「荒川放水路」は、100年の歴史の中で一度も決壊することなく、首都・東京の発展を支えてきた。こうした荒川の歴史と流域の暮らしの変化を丁寧に追いつつ、近年の大規模水害をどう防ぐかまで、荒川の過去・現在・未来にわたって解説している。
困難をきわめた荒川放水路の開削には、土木史上に名をのこす多くの土木技師が活躍した。現場全体の指揮をとり、隅田川と荒川放水路の分岐点「旧岩淵水門」の設計施工にも尽力した青山士(あきら)も、その一人。日本人として唯一パナマ運河の建設工事に携わった青山氏の経験が荒川でも生かされたことに、本書は度々ふれる。
小中学生向けとあって難解な言葉もなく、あっという間に読めるのが一番のポイントだが、広い川幅、本堤から直角方向に築いた「横提」の役割など、荒川中流部の調節・遊水機能についても丁寧に描く。10月12日には、通水100周年を迎える荒川放水路。これを機に、ぜひ手に取ってみてほしい。
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