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土木学会が平成12年に設立した認定制度──『土木学会選奨土木遺産』。顕彰を通じて歴史的土木構造物の保存に資することを目的に、すでに400近い構造物が認定されています。
コンコムでは、たくさんの土木遺産の中から、最寄り駅から歩いて行ける土木遺産をピックアップし、「土木遺産を訪ねて─歩いて学ぶ歴史的構造物─」を不定期連載します。構造物までの道程、周辺の見どころ等、参考になれば幸いです。
みなさんも旅のついでに少しだけ足を延ばして、日本の土木技術の歴史にふれてみてはいかがでしょうか。
認定年 | 平成16年度(2004年度) |
---|---|
所在地 | 福岡県福岡市東区 |
全長 | 204.1m |
全幅 | 24.0m |
構造形式 | 鉄筋コンクリートアーチ橋 |
完成年 | 昭和8年(1933年) |
設計者 | 後藤龍雄 |
総工費 | 416,883円(昭和8年当時) |
当時の国道2号(現在の国道3号)の一部として、福岡県によって施工された名島橋。昭和8年(1933年)の完成ですが、当時としては、破格の規模を誇っていました。なぜ、このような大きな橋を架ける必要があったのか、その建設目的は謎に包まれていて、飛行場の代用施設、路面電車を通すためなどさまざまな説があります。半世紀以上経った現在でも、幹線道路端として、北九州など多々良川以北の主要地域と福岡市都心部を結ぶ重要な役割を担う名島橋。御影石張りの、美しく雄大な姿は、福岡市民のシンボル的存在として愛されていますが、戦時中には空襲から守るために、表面を真っ黒に塗ったという逸話も残っています。(名島歴史散策銘板より)
名島橋を訪れたのは1月の下旬、まだ雪がチラついているころでした。当日は風も強く、薄曇りでしたが、天気が良ければ、遠くの玄界灘と「香椎かもめ大橋(愛称:シーガルブリッジ)」が見えるかもしれません。名島橋は全長約200メートル。ゆっくり歩いても5分程度です。また博多市街からも30分程度で行けます。GWに「博多どんたく」を観たついでに訪れてみてはいかがでしょう。
名島歴史散策銘板によると、この『名島橋』は新潟の信濃川に架かる『万代橋』と兄弟橋となっているそうです。どちらも御影石張りの鉄筋コンクリートアーチ橋ということもあり、名島橋架橋60周年を記念して、平成6年に縁組されました。
次回、機会があれば『万代橋』も訪れてみたいものです。(事務局 N)
【今回歩いた距離:約1.2km(片道)】
※名島橋は、平成30年3月9日開催の文化審議会において、国の登録有形文化財(建造物)に登録するよう文部科学大臣に答申されました。
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