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土木遺産を訪ねて 最寄り駅から歩いて行ける土木学会選奨土木遺産を紹介。周辺の見どころ等、旅の参考にしてください。

木学会が平成12年に設立した認定制度──『土木学会選奨土木遺産』。顕彰を通じて歴史的土木構造物の保存に資することを目的に、すでに400を超える構造物が認定されています。
コンコムでは、たくさんの土木遺産の中から、最寄り駅から歩いて行ける土木遺産をピックアップし、「土木遺産を訪ねて─歩いて学ぶ歴史的構造物─」を不定期連載します。駅から歴史的土木構造物までの道程、周辺の見どころ等、参考になれば幸いです。
みなさんも旅のついでに少しだけ足を延ばして、日本の土木技術の歴史にふれてみてはいかがでしょうか。

File 18

六郷水門

【六郷水門】

認定年令和3年度(2021年度)
所在地東京都大田区
竣工昭和6年(1931年)

Start

写真1)京浜急行八丁畷駅

写真1)京浜急行八丁畷駅

今回の歩いて学ぶ土木遺産は、京浜急行八丁畷(はっちょうなわて)駅から土木遺産「六郷水門」へ向かう行程です。「六郷水門」へは、京浜急行の六郷土手駅が最寄りですが、今回は、六郷土手駅から横浜方面に2つ先の駅である八丁畷駅からスタートし、旧東海道の「川崎の宿/八丁畷~六郷の渡し」を歩いて、宿場町の名残を感じながら「六郷水門」をめざします。八丁畷は、川崎宿の京都方面の出入り口から西へ八丁(約870メートル)にわたって田んぼの間のあぜ道(畷・なわて)がつづいていたことから、この付近を八丁畷と呼んだことが由来とされています。

Point 1

写真2)芭蕉の句碑

写真2)芭蕉の句碑

東口改札を出て右手の横断歩道を渡ると旧東海道です。ここには、「芭蕉の句碑」があります。写真では少し見えにくいかもしれませんが、石碑には『麦の穂を たよりにつかむ わかれかな 芭蕉』と刻まれています。元禄7年(1694年)、江戸をたち、故郷の伊賀(三重県)に帰る際に、江戸から川崎の宿場はずれまで見送ってきた弟子たちとの別れを惜しんで詠んだ句だそうです。

その時に弟子たちが詠んだ句も「芭蕉の句碑」から100メートルほど進み、川崎警察署を越えた辺りに造られた「芭蕉ポケットパーク」で見ることができます。余談ですが、「芭蕉の句碑」の左脇には、一般の方が投句できるよう投句用紙と投句箱が設置されていました。自信のある方は一句詠んでみてはいかがでしょうか。

写真3)芭蕉ポケットパーク

写真3)芭蕉ポケットパーク

Point 2

そのまま旧東海道を進み、市電通り(昭和44年/1969年まで路面電車が走っており、今も通りの名前として使用されています)を渡ります。次に見えてくる大きな通りが新川通りです。旧東海道と新川通りの交差点の歩道(駐輪スペースの脇)には、「小土呂(こどろ)橋の親柱」が保存されています。

写真4)小土呂橋の親柱

写真4)小土呂橋の親柱

ここには、江戸時代に開削された新川堀が流れており、この川を渡るために「小土呂橋」が架けられていました。2本の親柱と併せて、当時の「小土呂橋」の写真も見ることができます。

Point 3

新川通りを渡り、150メートル程進むと、川崎信用金庫のビルがあります。この敷地内には、「佐藤惣之助の碑」が建っています。佐藤惣之助は大正から昭和初期に活躍した詩人で、ここ川崎宿の生まれです。詩人として数多くの詩を残しただけでなく、俳句・歌謡・小説等でも名作を残しています。歌謡の世界では「赤城の子守歌」「隅田川」が有名ですが、「大阪タイガース(現阪神タイガース)の歌/通称・六甲おろし」も佐藤惣之助の作詞と聞いて驚きました。

写真5)佐藤惣之助の碑

写真5)佐藤惣之助の碑

Point 4

写真6)旧六郷橋親柱

写真6)旧六郷橋親柱

JR川崎駅前から延びる大通りが市役所通りです。ここで旧東海道から寄り道して、市役所通りを右折。市役所方面へ向かいます。川崎市役所は現在、令和5年(2023年)の完成に向けて、大規模工事が行われていました。完成すると地上25階地下2階の新庁舎になるそうです。工事中の現場を横目に100メートル程で第一京浜(国道15号)との交差点手前にある稲毛公園に到着します。公園内には、寄り道をした目的である「旧六郷橋親柱」が2本移設されています。市役所通りは歩道も広く、とても歩きやすいです。旧東海道散策の寄り道として、足を延ばしてみてはいかがでしょうか。

Point 5

旧東海道に戻って探訪のつづきです。旧東海道の散策で必ず訪れて欲しいのが「東海道かわさき宿交流館」です。この交流館は、東海道川崎宿の歴史や文化を学び、それを後世に伝えていくための施設として、平成25年(2013年)にオープンしました。1階では約20分の動画「川崎宿今昔物語」が鑑賞できます。2階は当時の川崎宿の街並みを再現した模型の展示や「六郷の渡し」の物語を映像で紹介しています。
また旧東海道の歩道には、そこかしこに川崎宿をイメージさせる工夫が施されています。観光スポットを紹介したガイドパネルはもちろん、通りを示す看板にも江戸の文化が描かれていたり、「東海道五十三次/川崎宿」の絵画が描かれたマンホールを見かけたりします。こうした街並みのちょっとした工夫を探すのも、旧東海道散策の楽しみかもしれません。

写真7)東海道かわさき宿交流館<br>
					◎開館時間/9:00~17:00<br>
					◎休館日/月曜(月曜休日の場合翌日)<br>
					年末年始<br>
					◎入館料/無料<br>

写真7)東海道かわさき宿交流館
◎開館時間/9:00~17:00
◎休館日/月曜(月曜休日の場合翌日)
年末年始
◎入館料/無料

Point 6

写真8)明治天皇六郷渡御碑

写真8)明治天皇六郷渡御碑

交流館で1時間ほど川崎宿について学んだ後、いよいよ多摩川と六郷水門をめざします。交流館を出て最初の大通りは大師通。川崎大師(平間寺)につづく道です。大師通を越え六郷橋の下流側のたもとが「六郷の渡し」跡です。残念ながら、現在は渡し船の渡し場の面影はありませんが、欄干の渡し船のモニュメントとともに渡船跡の碑と明治天皇六郷渡御碑が建てられています。

Point 7

慶長5年(1600年)に徳川家康が架けた六郷橋は、当時は「六郷大橋」と呼ばれていました。洪水によって何度も流され、その度に修復や架け直しが行われてきましたが、貞享5年(1688年)の大洪水で流された後、復旧をあきらめ、明治時代に入るまで「船渡し」となりました。大正14年(1925年)には、長さ446メートル、幅16.4メートルの近代的な鉄橋(旧六郷橋)が架けられましたが、交通量の激増や車両の重量化に対応できなくなり、「1985年(昭和60年)、現在の六郷橋が架橋されました。

新しい六郷橋は長さ443.7メートル、幅34.4メートル、片側3車線で、旧六郷橋の倍の幅があります。橋の上からは、上流側には京浜急行とJRの列車を、下流側には羽田空港の飛行機を眺めることができます。また六郷橋は、お正月の箱根駅伝では、往路の第1区、復路の第10区の勝負所の坂としても有名です。六郷橋の上流側を渡り、土手を越えた辺りの階段を降りると、旧六郷橋の橋門と親柱が移設されています。川崎宿から東京方面に橋を渡る際には、ぜひ上流側を歩いてください。

写真9)六郷橋

写真9)六郷橋

Goal

写真10)六郷水門

写真10)六郷水門

六郷橋を降りたら下流方向へひたすら土手を歩きます。土手には桜の木がたくさん植えられていますので、春に桜並木を見ながら散策するのも良いかもしれません。土手を歩くこと約1,500メートル。レンガで作られた水門が見えてきます。今回の探訪のゴール「六郷水門」です。多摩川の下流部は明治から大正にかけて高潮や洪水の被害に見舞われることが多く、大正7年(1918年)から昭和8年(1933年)にかけて、内務省直轄による多摩川改修工事が行われました。

この工事の一環として六郷水門が施工され、昭和6年(1931年)に完成しました。国土交通省 関東地方整備局 京浜河川事務所の「六郷水門紹介ページ」によると、設計者は、ドイツ人の神智学者シュタイナーではないかといわれていますが、残念ながら特定する資料は残っていないそうです。当初の役割は平時には六郷用水を排水し、洪水時にはゲートを閉じて多摩川からの逆流を防ぐというものでした。六郷用水がなくなった今でも、逆流防止の機能を有し、現在まで80年にわたって使用されています。

写真11)高欄の町章

写真11)高欄の町章

六郷水門は側面のレンガの赤茶色と、水門のブルーのコントラストがとても美しく、写真映えする構造物です。ちなみにこの側面のレンガは、当時の内務省多摩川改修事務所長であった金森誠之(かなもりしげゆき)氏が考案した「金森式鉄筋レンガ」で、この工事で初めて使用された新技術だったそうです。また、水門に架かる橋の高欄には、地元である旧六郷町の「町章」がデザインされています。

Topics

今回の探訪は、旧東海道の川崎宿を散策しながら、土木遺産「六郷水門」を訪ねる行程でした。川崎宿めぐりでは、案内板や史跡紹介の看板など、川崎市と地元町内会や商店会が協力して、さまざまな街並み整備を行っている様子がわかりました。この案内板のおかげで、現存していない史跡についても知ることができました。また、文中でも紹介しましたが、「東海道かわさき宿交流館」には、街歩きガイドなどの資料もそろっていますので、必ず立ち寄ってください。六郷水門へつづく多摩川土手は、春、桜の季節の来訪がオススメです。

Album

  • 芭蕉の句碑に設置された投句箱

    芭蕉の句碑に設置された投句箱

  • 昭和初期の小土呂橋

    昭和初期の小土呂橋

  • 大規模工事が進む川崎市庁舎

    大規模工事が進む川崎市庁舎

  • 川崎宿の史跡を紹介したガイドパネル

    川崎宿の史跡を紹介したガイドパネル

  • 江戸文化が描かれた通りの看板

    江戸文化が描かれた通りの看板

  • 東海道五十三次/川崎宿のマンホール

    東海道五十三次/川崎宿のマンホール

  • 六郷橋欄干の渡し船のモニュメント

    六郷橋欄干の渡し船のモニュメント

  • 旧六郷橋の橋門と親柱

    旧六郷橋の橋門と親柱

Map

地図

地理院地図をもとに当財団にて作成

詳細地図(出典:国土地理院)

【今回歩いた距離:約5.0km 京浜急行八丁畷駅~旧東海道川崎宿~稲毛公園~旧東海道川崎宿~六郷橋~六郷水門】

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