働き方改革 建設業界で話題の出来事をConCom独自の視点でご紹介

2024/05/01

日常の労務管理Q&A
第1回~労働時間の基本

建設業においても時間外労働の上限規制がスタートをしました。工期の問題等様々な問題を抱える中で、今後は厳しい時間制約の中で業務を行わなくてはなりません。しかし最終的には「担い手確保」につながるものでもあります。人材の定着のために、日常の労務管理の問題点を解決し誰もが働きやすい職場をつくっていきましょう。

第1回 労働時間の基本

Q法定労働時間と所定労働の違いって?

労働基準法では、1日8時間1週40時間以内と定められており、これを法定労働時間といいます。また、休日は原則として、毎週少なくとも1回与えることとなっており、これを法定休日といいます。そして、所定労働時間とは、会社ごとに定められている労働時間をいいます。たとえば、始業9時、終業18時、休憩はお昼に1時間、午前午後に各15分ずつであれば、休憩が1.5時間ありますので、この会社の所定労働時間は7.5時間となります。
時間外労働の上限規制においては、法定労働時間を超えた時間をカウントしていきます。この会社の場合、1日の所定労働時間は7.5時間ですから、この時間を超えれば「残業」となります。しかし、法律上の時間外労働とは法定労働時間の8時間を超えた部分を「時間外労働」としてカウントしていきますので、注意が必要です。同様に、週休2日の会社であれば、いずれか1日が法定休日、もう1日は所定休日となり、所定休日の労働は時間外労働としてカウントしていくことになります(休日労働ではありません)。

労働時間・休日に関する原則

Q2024年4月~施行された時間外労働の上限規制って何ですか?

時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間と決まっています。そして、臨時的な特別な事情がなければこれを超えることはできません。今回の上限規制は、この臨時的な特別の事情があって労使が合意したとしても、下記の上限が決められたものです。

☑ 時間外労働の合計が年720時間以内
☑ 時間外労働が月45時間を超えることが出来るのは年6回まで
☑ 時間外労働と休日労働の合計は月100時間未満
☑ 時間外労働と休日労働の合計は複数月を平均して80時間以内

違反した場合には、時間外労働の指示者及び事業主に6ケ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される場合があります。

Q「労働時間」って何ですか?

労働時間とは「使用者の指揮命令下に置かれた時間」をいいます。そして、労働時間とは賃金が発生する時間であるため、労働時間に含まれるか否かの判断が難しい場合もあるかもしれませんが、以下の例のように明確に区分されます。

■研修時間
特別研修、安全教育等、会社が参加を求める研修は労働時間にカウントします。
自己啓発のための資格取得等に通う時間であれば労働時間にはカウントしません。

■朝のラジオ体操
会社として参加を必須としていれば労働時間でカウントします。始業前にラジオ体操の音楽はかけるが、参加は自由であれば、労働時間にカウントしません。

■始業前の準備
業務に必要な準備であれば労働時間です。

■手待ち時間
使用者の指示があった場合に、即時に業務に就くことが求められている場合は、その間業務をしていなかったとしても労働時間となります。(労働時間にカウントされない休憩時間は、即座に業務に就くことが求められません)

■移動時間
直行直帰であれば、労働時間ではなく通勤時間と考えます。
自家用車で会社に行き、会社で車を乗り換えて現場へ向かった場合の、会社から現場への時間は、通勤の延長と考えます。
同様に朝会社へ行き、車を乗り換える際に、積み込み作業や段取りの打ち合わせを行ったのであれば、積み込み時間や打ち合わせ時間、およびそれ以降の移動時間も労働時間となります。

移動時間が労働時間に当たらないとされるケース"

【まとめ】

建設業においては工期が優先されるため、労働時間に対しての意識が他の業界に比べて低かったように感じます。しかしながら、建設業においても同様の時間外労働上限規制が求められる中、改めて労働時間についてしっかり整理、理解をしていきましょう。

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