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2024/09/02

日常の労務管理Q&A
第3回~適正な労働時間管理

第3回 適正な労働時間管理

Qなぜ労働時間時間管理をしなくてはいけないのですか?

労働時間管理には3つの大きな役割があります。1つめは、法定の労働時間を遵守しているかを確認するため、2つめは時間外労働の割増賃金を含めて適正な賃金の支払いをするため、3つめは、長時間労働が労働者の健康を害することから、面接指導に該当しないかの確認をするためです。

Q管理監督者は、労働時間に関する定めが適用除外となっていますが、この人たちも労働時間管理をしなくてはいけないのですか?

今までのガイドラインでは、労働時間管理の趣旨が法定労働時間や割増賃金の支払いといった労働基準法を遵守することを目的としていたため、労働時間に関することが適用対象外である管理監督者については、労働時間を客観的に把握すべき対象者とはなっていませんでした。しかし、今回の働き方改革により、今までガイドラインとされていたものが法制化され、労働安全衛生法に位置づけられることになりました。そのため、労働時間の状況を把握する目的が、労働安全衛生法に定める「面接指導」を適切に実施することとなり、職場で働くすべての従業員の労働時間を把握することが必要になりました。

Q適正な労働時間管理とは何をすればいいのでしょうか?

適正な労働時間管理とは、単に1日何時間働いたかを管理することではありません。
労働者の労働日ごとの始業・終業時間を記録することをいいます。

Q労働時間管理の方法はどのような方法で実施すればいいですか?

労働時間管理は、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基に、使用者が確認をすることになっています。

Q最近、アプリで労働時間管理をしているという話をききますが、どのようなアプリがありますか?

下記はアプリの一例です。最近では工程管理のアプリ等でも就業時間管理ができるものもありますので、自社で現在利用しているシステムも確認してみてください。

CLOUZA KING OF TIME ジョブカン Focus U
タイムレコーダー
HRMOS ジンジャー勤怠
モバイル利用
(打刻、申請承認)
有給管理機能 △(オプション) △オプション
申請・承認機能
(時間修正)
△オプション
コスト 200円/人 300円/人 200円/人 30名まで:3,000円移行利用人数により金額設定有り 30名まで:無料
31名以上:100円/人
300円/人

Qアプリの活用を考えていますが、費用もかかるので悩んでいます。アプリ活用のメリットを教えてください。

アプリは単に始業と終業時間の記録だけではなく、時間外労働の申請や有給休暇の管理等もでき、うまく活用すると労務管理を効率的に行うことができます。
大きなメリットとして下記の点があげられます。

①長時間労働が継続するときにアラートをかけることができる
時間外労働上限規制がはじまり、36協定の範囲を超える前に、アラートをかけることができます。

②リアルタイムでの時間管理ができる
タイムカードの管理ではどうしても1ケ月の集計が出てからの指導となるため、過去のことを思い出すことが大変です。アプリであれば画面での確認ができるため、即時に時間外労働が多い人については即時に確認・指導ができます。

③時間外労働の申請ができる
時間外労働の申請も画面でできるため「勝手に残業」を防ぐことができます。

④有給休暇の管理ができる
有給休暇の付与日は入社日ごとに違うため、紙での管理は煩雑になりがちです。また、半日単位の有給休暇、時間単位の有給休暇の付与等、取得方法も様々になっているため、アプリ管理をすることで会社側が個別にアナウンスしなくても個人の画面から確認することができます。また、会社としても有給休暇の取得状況を一覧で確認できるため、働き方改革によりスタートした年5日の取得義務についても確認が容易にできます。

⑤その他
アプリは多くの種類があり、交通費の精算、給与のWEB明細等に対応しているものもあります。自社にあったものを選んでいきましょう。

Q弊社は8時始業ですが、毎日7時に出社をしてタイムカードを打刻する社員がいます。
この場合は7時からが始業時間になりますか?残業代をつけなくてはいけないのでしょうか?

タイムカード=労働時間とは限りません。というのは「労働時間とは使用者の指揮命令下に置かれている時間」をいいます。この場合、毎朝7時に出勤するように会社が指示していないのであれば労働時間にはなりません。ただし、早めに出勤をして業務を行うことが通例化し、会社としてそれを黙認しているということであれば労働時間になる可能性があります。そのため、必ず、タイムカードの記録と実際の在社時間に乖離がある場合は、実態調査をしていきましょう。難しいことではなく「なぜ7時に出勤しているの?」と声かけをしてください。そのときに「朝は道路が混むので、早めに家をでてきているのです。」という回答であれば、本人に労働時間ではないことを確認の上、タイムカードを補正してください。管理職の方にとっては「面倒くさいな」と思われるかもしれませんが、労働時間を適正に把握するのは、使用者の義務である以上、日々確認をしていくことが重要です。

Q残業は何分単位でつけなくてはいけませんか?

残業については1分単位で管理や計算をしなくてはいけません。ただし、厚生労働省の通達により、割増賃金について、1賃金計算期間を通算して計算する場合の端数処理として、時間外労働の合計が、30分未満の端数を切り捨て、30分以上の端数を1時間に切り上げるといった運用が可能となっています。要は1日単位での端数処理はできませんが、1ケ月で集計をした際には、端数処理が可能となっています。 (基発第150号)

・ 使用者が急な需要に対応するために事業場において待機を命じ、自由利用が労働者に保障されていないと認められる場合には労働時間に該当

(例)15時間25分残業 → 15時間で計算
15時間35分残業 → 16時間で計算

【まとめ】

建設業においては「工期」が先にあるため、時間という意識が薄くなりがちです。労働時間の管理は残業代を適正に支払うためでもありますが、やはり、健康の管理面でも重要な要素を占めています。一般的に80時間の時間外労働は過労死ラインともいわれ、長時間労働が身体に及ぼす影響は大きいとされています。働き方改革は「生産性向上」です。「工期」があり「やらなくてはいけない」という状況は今も変わってはいませんが、少しの工夫、少しの意識を変えることで時間外労働を減らしていきましょう。それには、まずは適正な労働時間管理をし、どのような時間配分で仕事をしているかを見直してみることが重要です。

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