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2023/10/02

【建設業の働き方改革~第六回】効率化のためにできること

前回まで、労働時間の削減方法についていくつかご案内をさせて頂きました。今回は、業務効率化についてご案内します。

1.効率化の考え方

効率化については以前も少しご案内をしましたが、効率化をする以前に、社内の業務で「やらないこと」を決める必要があります。「やらないこと」とは「やる必要がないこと」であり、「その作業がなくても業務の進行に支障がないこと」です。移動時間については勤怠管理アプリを導入して直行直帰を推進する、テレワークの一部導入、書類を探すことに時間を要しているのであれば、データでの保存や保存ルールを決める、また歴史のある会社ほど、新しいシステムを導入したにもかかわらず、以前からのやり方も辞めないため業務がさらに増えてしまっているようなケースをよくみます。「やらないこと」を決めるには決断が必要です。

効率化の考え方

2.効率化のためにできること

「やるべき」ことが決まれば、その業務を徹底的に効率化する必要があります。これから人口が減っていく中で、限られた人数で業務を遂行していくにはITの活用、業務のやり方の見直しは必須です。しかしながらITを導入したからといって、すぐに効率化できるわけではありません。活用する側が理解して使いこなしていかなければ、システムを入れたけれど、結局は使いこなせずに終わってしまったということになってしまいます。活用を決めたのであれば徹底的に使いこなすことが重要です。労働時間に関することは小さなことの積み重ねです。1つ1つ取り組んでいきましょう。

(1)業務の細分化(分業化)
技術者の方の場合、現場ごとの特殊性から業務が個人に偏っている、要は属人化しているケースをよくみます。これでは、万が一その方がお休みをしてしまった場合、業務がまわらなくなってしまいます。もちろん、ベテランでなくては出来ない業務はありますが、業務を細分化することで、本人にしか出来ない業務なのか?他の人でも頼める業務なのか?と分けることができるはずです。「自分でやった方が早いから」という言い訳は卒業していきましょう。しかしベテランの方のノウハウを誰か1人が引き継ぐのは本当に難しいのです。そのため、業務を細分化した上で、業務の一部を経験年数の浅い人に教えていくことも重要です。今までのように「見て覚えろ」ではなく、細分化した業務をマニュアル化し、それを展開していきましょう。面倒くさいようですが、こうした積み重ねが新人の教育にもなり、一定の業務に専念することで即戦力にもなりやすいのです。また、書類の作成業務であれば、テレワークの活用等も可能になってきます。これからは必ずしもフルタイム働ける正社員だけではなく、多様な働き方も増えてきます。その際に、業務が細分化され、それぞれのやり方が標準化されていれば、業務を効率的に進めることができます。最初は面倒くさいかもしれませんが、取り組んでいきましょう。

(2)業務の集約化
同じような書類を作成しているようなケースであれば、1つの書類に集約をしていく、個々人で担当している業務を場合によっては横断的に1人の人にまとめることで業務の効率化を図ることもできます。日々の業務を洗い出してみましょう。

業務の集約化

(3)業務のやり方の見直し
業務のワークフローの見直しは、効率化につながります。同じ業務でも人によって時間のかかり方が違います。能力的な問題であれば教育が必要ですが、それ以前にやり方を標準化していく必要があります。「このやり方でないと納得できない」と言い、自分のやり方に固執する人がいますが、仕事は個人ではなく組織としてやるものです。本人のこだわりに理由があれば、全体的なフローに入れていくべきですが、そうでないのであれば、業務のワークフローを決定し、その中で業務を行ってもらいましょう。こだわりをなくすことは手を抜くことではありません。なぜ、業務のやり方を見直さなくてはいけないかを考えて進めていきましょう。

(4)業務のマニュアル化
ワークフローの見直しをしたところで、業務マニュアルについても作成していきましょう。マニュアルだらけになってもいけませんが、その業務の目的、着地点、業務フローについて記載をします。社内で、マニュアルの雛形を準備し、同じ形式にすることで業務の引継ぎも楽になりますし、新人の教育にも活用することができます。最初から完璧なものである必要はありません。まずはマニュアル化できる業務からスタートしていきましょう。

すぐできる見直し

会議のやり方の見直し
会議は業務運営においては必要なことです。しかしながら、結論のでない会議、報告だけの会議等をしていないでしょうか?会議のやり方についてご案内します。

◆参加者の選定
会議に参加する人について、改めて検討してみてください。「とりあえず参加して」では時間を無駄に使うことになってしまいます。

◆目的・ゴール
「何のために話しあい、どこまで決めるか」という、目的とゴールを明確にしておくと、会議がスムーズに運びやすいです。参加者とは必ず目的とゴールを共有してスタートしましょう。

◆課題・時間割
「どの順番で、どの課題にどれくらいの時間を割くか」というアジェンダを作成して、会議をスタートしましょう。時間割のない会議はダラダラになりがちです。

◆役割
誰が進行役を務めるのか、プレゼンターは誰か等役割をきめておくと進行がスムーズになります。

◆その他
スタンドアップミーティングといって、立ったまま会議をする会社もあります。立ったままの会議だと長時間にはなりません。いろんなやり方を試してみましょう。

3.効率化で気をつけなくてはいけないこと

「効率化」のためにITの活用は必須ですが、やみくもにシステム導入をすれば費用がかかったり、複数のシステムを導入することでかえって手間がかかったりしてしまう可能性もあります。システム導入にあたっては、目的は何なのか?他と連動できるものはないか?ということを意識しながら決定していきましょう。そして、一度導入したら、徹底的に使いこなしてください。システムは導入したものの、結局は使いこなせないということであれば時間と費用のムダになってしまいます。新しいことへのチャレンジは時間がかかります。一度決めたのであれば、まずはやり切ることが重要であり、使いこなした上で、次の展開を検討していきましょう。

【まとめ】

業務の効率化は生産性向上のための手段であり、目的ではありません。「効率化をしたら仕事が減った」のではなく、次のステップは「本来やるべき業務」に時間を使うことなのです。1つ1つ取り組んでいきましょう。それが習慣になっていきます。

連載一覧はこちら
第一回『なぜ時間外労働の削減に取り組まなければいけないのか?』
第二回『時間外労働の上限規制って何?』
第三回『労働時間の管理と監督者の役割』
第四回『労働時間削減のために(1)』
第五回『労働時間削減のために(2)』
第六回『効率化のためにできること』
第七回『他業種との比較』
第八回『教育の重要性』
第九回『働き方改革について』
第十回『魅力ある建設業へ』
第十一回『まとめ』

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