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2024/01/05

【建設業の働き方改革~第九回】働き方改革について

2024年4月に迫った時間外労働の上限規制への対応のため、時間外労働の取り組みをご紹介していますが、働き方改革は時間外労働の上限規制だけではなく、他にも改正点があります。今回は、上限規制以外の法改正について解説をしていきます。

1.年次有給休暇の年5日取得義務(2019年4月1日施行)

2019年4月から、年次有給休暇が10日以上付与される労働者に対しては、年5日の有給休暇を取得させることが使用者の義務となりました。本来、年次有給休暇は労働者本人が自分の希望する時期に取得するものですが、年5日の休暇を取得できない場合には、会社が時季を指定してでも取得させなくてはならないというものです。しかし、技能労働者を抱えているところでは、未だ日給月払いのところもあり、なかなか有給休暇が浸透していないというのが実態です。

【原則となる有給休暇の付与日数】

【原則となる有給休暇の付与日数】

【パートタイム労働者など、所定労働日数が少ない労働者に対する付与日数】

【パートタイム労働者など、所定労働日数が少ない労働者に対する付与日数】

有給休暇の取得促進のためには、半日単位の取得や時間単位の取得を推進していくことをお勧めします。また、会社の風土として「有給休暇を取りにくい」ということであれば、計画的付与制度の導入や有給推奨デーを設けるというのも有効です。有給休暇の取得しやすい会社を目指していきましょう。

【計画的付与制度とは?】
計画的付与制度とは、年5日を超える部分については、会社と労働者と協定を結び、あらかじめ年次有給休暇の日付を設定できるという制度です。例えば、「8/13,14,15の3日間は、会社の休日とし、8/15,16はそれぞれの有給休暇から消化しよう」といったことを事前に決めることができるのです。この計画的付与制度を導入し、年5日を決定しておけば個別の取得状況を確認しなくても済むため、有給休暇の取得率が低い、一部の人がなかなか有給を取らないという会社にはおすすめです。

例)年次有給休暇の付与日数が11日の労働者

例)年次有給休暇の付与日数が11日の労働者

2.労働時間状況把握の実効性確保(2019年4月1日施行)

労働時間の状況の把握の実効性確保とは、現認や客観的な方法による労働時間の把握を義務化するというものです。いわゆる時間の記録です。この時間の記録とは、実際に何時から何時まで働いたか?ということを労働者ごとに日々記録をすることをいいます。建設業の場合、雨、台風等の自然相手の業務であるため、時間管理がなじまない業界ではありますが、労働者である以上は、すべての方が労働法の対象となり、時間の記録をしなくてはいけません。時間管理に、建設業だからといった例外はありません。今までのような出面表での管理ではなく、始業と終業の記録を残してください。そして、労働時間とは在社時間ではありません。仕事をしている時間です。メリハリある時間管理を心がけていきましょう。

【時間管理のポイント】
□始業と終業の時刻を記録する!!
□管理監督者も対象!!
□出来る限り客観的な方法で!!

(例)・職長などが、何時から何時まで働いたか記録をする
・タイムカードの打刻
・スマートフォンのアプリ等での記録

3.同一労働同一賃金(大企業2020年4月1日 中小企業2021年4月1日施行)

同一企業において、いわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働同者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者等)との間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。単に「正社員」「パート」といった雇用形態の違いで待遇差をつけるのではなく、仕事の内容や配置転換の範囲等を根拠として、労働者を適正に処遇していこうというものです。正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差をなくすために、企業経営において目指すべき考え方の一つが「均衡待遇・均等待遇」です。

同一労働同一賃金

  • ・均衡待遇とは、正規労働者と非正規労働者との間に仕事内容に違いがあれば、その違いに応じた合理的な待遇や賃金を受ける権利があるという考え方

  • ・均等待遇とは、雇用形態に関わらず、同じ仕事をしているのであれば、同じ賃金や待遇を受ける権利があるという考え方

【同一労働同一賃金確認のためのステップ】
①現在の雇用の形態を整理する
②賃金、賞与、各種手当、福利厚生等について正規社員と非正規社員の違いを洗い出す
③洗い出した内容について、違いを明確化しておく
④違いが明確にならないものは、内容を再度検討する

【まとめ】

建設業の働き方改革というと、2024年の時間外労働の上限規制ばかりに目がいってしまいますが、働き方改革自体は2019年よりスタートをしています。「出来ない」ではなく、これからの雇用の定着のためには労働環境整備は最低条件です。各社が工夫をしながら取り組んでいきましょう。

連載一覧はこちら
第一回『なぜ時間外労働の削減に取り組まなければいけないのか?』
第二回『時間外労働の上限規制って何?』
第三回『労働時間の管理と監督者の役割』
第四回『労働時間削減のために(1)』
第五回『労働時間削減のために(2)』
第六回『効率化のためにできること』
第七回『他業種との比較』
第八回『教育の重要性』
第九回『働き方改革について』
第十回『魅力ある建設業へ』
第十一回『まとめ』

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