現場の失敗と対策 このコンテンツは現場で働く皆さんの参考としていただきたく、実際の施工でよくある失敗事例と対策を記載したものです。土工事、コンクリート工事、基礎工事の3分野を対象として事例を順次掲載していきますので参考としてください。

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現場の失敗と対策

土工事、コンクリート工事、基礎工事の事例

基礎工事

2)その他の場所打杭

2022/1/28

細砂地盤での場所打ち杭の杭頭断面欠損

工事の概要とトラブルの内容

ル新築工事の基礎として、アースドリル工法により場所打ち拡底杭を施工した。杭の仕様は、軸部径φ1300mm、拡底径φ1800mm、杭長25.5m、掘削長28.0mで、全本数は12本であった。施工地盤は、GL-3.2mまでは埋土層、GL-22.5mまではN値15~25の細砂層、GL-26.2mまではN値12~14のシルト層、それ以深はN≧50の支持層(細砂層)となっていた。地下水位はGL-4.3mであった(図-1)。

基礎フーチングの施工にあたり、床付け掘削して杭頭部のはつりを行ったところ、全体の半数弱の5本の杭で、杭頭部の断面欠損が確認された(写真-1)。健全と想定されるコンクリートが出現するまで杭周囲をはつり撤去したところ、設計の杭頭高さから最大で40cmの深さに達していた。

図-1 場所打ち杭の概要及び土質柱状図図-1 場所打ち杭の概要及び土質柱状図

写真-1 杭頭コンクリートの断面欠損状況写真-1 杭頭コンクリートの断面欠損状況

原因と対処方法

発生原因について検討した結果、場所打ちコンクリート杭の杭頭部の欠損の原因としては、以下に示す①~④の項目が想定された。

①地質(細砂層が卓越)

GL-3.2m~GL-22.5mまでの19.3mの区間は細砂層が続いており、安定液中に細かな砂分が浮遊しやすい地層であった。

②2次スライム処理の未実施

底ざらいバケットによる1次スライム処理後のスライム厚さは、2次スライム処理が必要となる管理基準値の50mm以下であった。なお、1次スライム処理は、底ざらいバケットによる底ざらいのみで、良液置換は実施していない。鉄筋かご建て込み後にもスライム厚さを測定したところ、これも50mm以下であったため、2次スライム処理は実施しなかった。

③杭頭部トレミー管の長すぎる挿入長さ

杭頭部コンクリート打設時のトレミー管のコンクリートへの挿入長さは、4.5~5.0mとやや長かった(標準的には杭天端付近では2m以上4m以下で管理することが望ましい)。

④コンクリートの余盛り高さの不足

余盛り高さ800mmを確保する計画であったが、ケーシング引き抜き時にコンクリートの天端が想定以上に下がり、余盛り高さが400~500mm程度になったのではないかとの現場職員の報告があった。

なお、その他の杭頭欠損の原因として考えられることとして、⑤コンクリートの流動性不足、⑥杭頭部の主鉄筋の純間隔不足、⑦安定液の管理不良等があるが、以下のように良好であり、今回のトラブルの原因の可能性は低いと判断した。

⑤トラブルが発生した杭における受け入れ時のコンクリートのスランプは、20.5~22.0cmで、打設直前の流動性は確保されていた。また、杭頭付近のコンクリートの打設時間は約25分で、コンクリートのスランプロスの可能性は低い。

⑥杭頭部の主鉄筋の純間隔は、最も密な箇所でも122mmで、設計時点での望ましい純間隔100mm以上あり問題ない。

⑦コンクリート打設前の安定液は、比重1.03~1.05、粘性24~27秒、砂分2.0~2.5%であり、良好に管理されていた。

断面欠損の影響がないと想定されるコンクリート面(杭中央および周囲4箇所)においてシュミットハンマーでコンクリート強度を推定した結果、杭周囲のはつり面以深は設計基準強度を上回る強度を有していることを確認した。
杭頭部の断面欠損の対策としては、設計監理者と協議した結果、基礎フーチングを最大40cm下げて施工することとした。

同様の失敗をしないための事前検討・準備、施工時の留意事項等

細砂層が厚く堆積している地盤では、安定液中に浮遊している細砂が沈降するのに時間を要し、沈殿待ち後の1次スライム処理としての底ざらいだけでは十分に除去することは難しい。安定液中に一定量以上の細砂が浮遊した状態でコンクリートを打ち込むと、沈降した細砂がコンクリート天端に堆積し、コンクリート中に巻き込まれることで、コンクリートの品質不良や充填不良を引き起こすことがある(図-2 砂分による充填不良概略図1))。以下の①~③の項目に留意して、コンクリートの不良を防止する。

①細砂が厚く堆積している地盤でこのような不具合を防止するためには、1次スライム処理(孔底処理)過程で良液置換(水中ポンプなどで砂分を多く含んだ安定液を排出し良質な安定液に置換すること)を実施することが最も有効である。

②しかし、良液置換を実施するには杭体積の2.5~3倍程度の安定液を混錬できる水槽の確保が必要となり、狭い敷地では困難な場合が多い。このような現場では従来どおり底ざらいによる1次スライム処理後鉄筋かごを挿入し、十分に時間を取ったあとスライム量を検測する。スライム量の管理基準値を小さめ(30mm以下等)に設定して、これより多い場合はトレミー管を用いたポンプリフトにより2次処理を必ず行うようにする。さらにコンクリートの余盛りを多めに設定しておくとともに、余盛り高さの測定を鉄筋かごの内側と外側で実施して、一番低い位置で所定の高さを確保するようにする。

③杭天端付近は打設圧が小さいので、打ち込まれたコンクリートが上面に上がってくるためには、トレミー管下端からのコンクリート上面までの距離を小さくする必要がある。そのため、杭天端付近は2m以下のトレミー管の組み合わせとしておき、杭天端付近はコンクリートへの挿入長さを2m~4mの範囲となるように施工する。

図-2 細砂の沈降による充填不良概略図<sup>1)</sup>図-2 細砂の沈降による充填不良概略図1)

参考文献

1)一般社団法人 日本建設業連合会 地盤基礎専門部会 場所打ちコンクリート杭の品質管理の現状と課題WG:場所打ちコンクリート杭の品質管理のポイント,p.44,平成29年6月

「現場の失敗と対策」編集委員会

編集委員会では、現場で起こりうる失敗をわかりやすく体系的に理解できるよう事例の形で解説しています。みなさんの経験やご意見をお聞かせください。

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