土工事、コンクリート工事、基礎工事の事例
コンクリート工事
2)打設中(締固め)
2023/01/04
山間地の道路改良工事の一環として、河川の護岸工事で切土部の石積工を施工した。設計では石積(間知石)であったが、石工が手配できないこと、冬季と限定された条件での高速施工が求められたことから、ブロック積に変更してもらった。ブロックの形状を図1に示す。
建設中のブロックが低い段階での胴込コンクリートはミキサー車からシュートを使って打ち込んでいたが、施工基面より打込み位置が高くなるとバックホウ(0.45m3)のバケットを逆さに取り付けてコンクリートを運搬した。この方法で届かなくなるとバックホウでホッパ(0.5m3)を吊り上げ、コンクリートを打ち込んだ。さらに高くなったのでクローラクレーンにてホッパを運搬する方法を採用した。
ブロック積みの施工は、常に2か所を確保した。1か所あたりの長さは20m程度である。ブロック積みを1列行うと、胴込コンクリートを打ち込み、翌日に裏込め砕石を投入後、上段のブロックを敷設する。胴込コンクリートは1回の打込み量が生コン車1~2台分と少なく、その割に時間がかかるため、まだ打込みが完了していない状況でもできるだけ追加注文することはしなかった。胴込コンクリートは上下のブロック間のせん断強度を増すため、ブロックの天端から10cm程度下げた状態で均している。(図2)
ある時、別の構造物を打ち込んでいたコンクリートが余り、急きょブロック積みの胴込コンクリートに回ってきた。まだ、ブロックは12~13m程度しか敷設していない状態であり、敷設した区間のコンクリートの打込みを終わってもミキサー車には約1m3のコンクリートが残っていた。そのため、作業員がブロックの上面までコンクリートを打ち込んでしまった。
同様の失敗をしないために、
①コンクリートの打ち込みには職長が就く。就けない場合は職員が指揮をする。
②作業員に胴込めコンクリートの天端を下げる理由を繰り返し説明する。
③いつでも胴込めや小口止め等にコンクリートの受入れが可能な場所を用意しておく。
④胴込コンクリートの注文は計算した量より少なめにする。
ホッパによるコンクリートの打込み作業において、施工時に良く起こる安全面での留意点を以下に述べる。
①ホッパは押さずにクレーンでこまめに移動
ホッパのコンクリートを下ろした後、まだホッパに残っているコンクリートを隣に卸すため、作業員がホッパを押しながら底蓋を開けている状況を良く見かける(写真1)。ホッパの中身が空になると、クレーンで吊っていた荷重がフワーッと抜け、押した力による反動でホッパが揺れアッパーカットを食らうことがある。特に、ホッパを強く押しているとその反動は大きい。打込みに際しては打込み箇所までクレーンをこまめに移動させ、鉛直に吊っている状態でコンクリートを卸すようにすることが重要である。
②クレーンが回転する時、旋回方向とは逆方向に退避する。
特に切土法面での施工ヤードは狭いことが多い。クレーンで吊った軽くなったホッパは、クレーン回転時に大きく揺れる(写真2、3)。ホッパの落下、生コンの落下など、絶対に無いとは言えない。逃げ場を確保するという観点から、クレーンの旋回方向とは逆方向に退避するのが良い。
③墜落防止への備えを怠りなく
ブロック積が低いうちは良いが、高くなると墜落の危険が出てくる。このためブロック前面に手すりまたは足場が必要になる。ところが毎日のようにブロックの高さが高くなるので、ついつい後回しになる。そこで親綱を張り、墜落制止用器具の使用に頼らなくてはならない(写真4)。
ブロックの高さが高くなると施工基面から足場を設置するのではなく、水抜き穴を利用して足場を設置することもある(写真5)。
④合図者がクレーンのオペから見えない場合は差し棒を使用
大型パネルの裏込めコンクリートなど、クレーンのオペレータから合図者が見えない場合がある。当然、無線を使うことになるが、差し棒(コーンバーや測量のポール)を併用することによりオペレータの視覚に訴えることで、作業の安全性および効率が向上する(写真6)。
編集委員会では、現場で起こりうる失敗をわかりやすく体系的に理解できるよう事例の形で解説しています。みなさんの経験やご意見をお聞かせください。
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